まず結論。場所は「時刻とセット」でしか意味を持たない
「どこが稼げますか」と新人に聞かれるたびに、俺は「何時の話?」と聞き返す。同じ栄でも、14時と22時は別の街だ。だから答えは一覧表になる。下の数字は、俺のアプリ「今どこ行く?」が乗務員の実測日報で較正した期待時給の試算(税別営収ベース)だ。
| 時刻 | エリア | 期待時給 |
|---|---|---|
| 09時 | 中村区・名駅 桜通口 | ¥8,250 |
| 13時 | 中区・栄 | ¥10,010 |
| 15時 | 中区・大須観音 | ¥10,380 |
| 22時 | 中区・錦三 | ¥11,800 |
| 24時 | 中区・女子大 | ¥12,600 |
| 金曜24時 | 中区・女子大週末 | ¥14,820 |
※ 実測日報で較正したモデルの試算値。天候・イベント・当日の車両数で上下する。保証値ではなく「比較のための物差し」として読んでほしい。
稼げる場所の三原則
一、需要の量ではなく「客と空車の比」を見る。客が多い場所には車も集まる。錦三に客が100人いても、空車が150台いれば取り分はない。逆に、客が10人しか湧かなくても空車が3台の場所なら、順番はすぐ回ってくる。稼げる場所とは「客がいる場所」ではなく、「客はいるのに車が足りない場所」だ。
二、時間の波に乗る。上の表の通り、同じ交差点でも時給は時刻で2倍近く変わる。朝は名駅への吸い込み、昼は栄・大須と病院、夜は繁華街から住宅地への吐き出し。波の頂点の30分前に着いていることが、行列の先頭に立つ唯一の方法だ。
三、歪みを取る。雨、電車の運転見合わせ、コンサートの終演、終電後、港への入船。街の均衡が崩れた瞬間、特定の場所だけ需要が跳ねる。ベテランの「勘」の正体は、この歪みのパターンを頭に入れているだけのことだ。
錦三の行列に、並ぶべきか
夜の錦三は名古屋で一番客が湧く。それは事実だ。だが金曜の乗り場に並ぶ空車の列を見てから判断してほしい。自分の前に30台いれば、1台1分で捌けても順番は30分後。その30分、空車3台の穴場で流していれば1本取れている——実効時給で考える癖がつくと、行列は「安心」ではなく「コスト」に見えてくる。
ただし錦三を捨てろという話ではない。試算では土曜0時台の錦三は平日昼の約4.1倍(時給換算 ¥11,360)まで跳ねる。要は、並んででも取る時間帯と、離れて流す時間帯を数字で切り替えること。それが「錦三に強い」の本当の意味だ。
歪みの実例——雨・遅延・終演・入港
雨が降り始めた瞬間、駅前と繁華街の需要は数分で跳ねる。電車が止まれば、その沿線の駅前に人が滞留する。ドームやセンチュリーホールの終演、栄・錦の終電後、名古屋港への客船入港。どれも「起きた瞬間に、いた者だけが取れる」需要だ。
俺はこの歪みを、長いこと勘だけで追いかけてきた。いまは自作のアプリが、気象と運行情報と催事の時刻を突き合わせて地図の点数に自動で反映している。勘を否定はしない。ただ、勘は引退する。数字は残る。
新人がまずやるべき、たった一つのこと
日報を記録して、翌朝に答え合わせをすることだ。「昨日のあの判断は正しかったか」を毎日確かめた人間だけが、1年で10年分の勘を手に入れる。目標の目安も書いておく。名古屋交通圏の隔日勤務で、トップ層の平均は1乗務あたり営収85,000円前後(税別)。雲の上の数字ではない。場所と時刻の選び方だけで、そこに近づいていける。
この記事の数字は、アプリでリアルタイムに見られます
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