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PT・OT・STの違い:国家試験の合格点はどれもほぼ6割なのに、合格率はSTだけ66.4%

PT・OT・STの違い:国家試験の合格点はどれもほぼ6割なのに、合格率はSTだけ66.4%
2026-10-22 更新

この記事の要点

  • PT・OT・STの違いは法律が決めた受け持ちにあります。PT(理学療法士)は体の基本の動き、OT(作業療法士)は生活の応用の動きと社会への適応、ST(言語聴覚士)は声・ことば・きこえの機能を受け持ちます。
  • 国家試験の合格点は3職種ともほぼ6割です。それでも2026年の合格率は、PT 89.7%・OT 91.2%に対し、ST 66.4%でした。
  • 日本のリハ職1,701人のうち、1年で辞めた人の割合はPT 10.3%・OT 9.5%・ST 9.0%で、職種による違いは小さめでした。自分の職場の値を出して並べる表も下に置いています。
この記事の目次(8)
  1. 結論:違いは法律の受け持ち、試験はSTの合格率だけ低い
  2. 法律の定義で見る3職種の違い
  3. 国家試験と人数の数字で見る違い
  4. 辞める割合とストレスの研究で分かっていること
  5. 自分の職場の1年離職率を出して比べる表
  6. PT・OT・STの違いのよくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

転職相談で担当者がリハ職に詳しいかを見分けたい人は、こちらへ: 転職相談の面談で、担当者がリハ職に詳しいかを確かめる6つの質問

結論:違いは法律の受け持ち、試験はSTの合格率だけ低い

3職種の違いの軸は、法律の定義に書かれた「何の回復や向上を受け持つか」です。PTは体の基本の動き、OTは生活の応用の動きと社会への適応、STは声・ことば・きこえ、それに飲み込みの訓練を受け持ちます。どの職種が向いているかは、法律の定義からは決まりません。

国家試験は、合格点の割合がほぼ同じで、合格率だけSTが低くなっています。受験した100人あたりに直すと、PTは約90人、OTは約91人、STは約66人が合格した計算です。

2026年の国家試験で、合格点の得点率は3職種とも約60%なのに、合格率はSTだけ66.4%と低いことを並べた表
合格点の割合と合格率

得点率は、合格点を満点で割った値です(PT 167点÷277点、OT 167点÷278点、ST 120点÷200点)。STの合格率はPTより23.3ポイント(89.7−66.4)、OTより24.8ポイント(91.2−66.4)低くなっています。公式の合格基準を並べると、合格点の割合はそろっているのに合格率はSTだけ低いことが分かり、これは調べて分かった意外な点です。

厚生労働省『第61回 理学療法士・作業療法士国家試験の合格発表』の「第61回理学療法士国家試験及び第61回作業療法士国家試験の合格発表について」の切り抜き。理学療法士の89.7と91.2の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『第61回 理学療法士・作業療法士国家試験の合格発表』(2026-10-22 撮影)
厚生労働省『第28回 言語聴覚士国家試験の合格発表』の「第28回言語聴覚士国家試験の合格発表について」の切り抜き。66.4の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『第28回 言語聴覚士国家試験の合格発表』(2026-10-22 撮影)

1年で辞めた人の割合は、3職種で近い値でした。詳しくは、下の研究の節と計算の表で扱っています。

法律の定義で見る3職種の違い

PTとOTは「理学療法士及び作業療法士法」、STは「言語聴覚士法」という別の法律で決められています。下の表は、それぞれの第2条の定義を、ふつうの言葉に置き換えて並べたものです。

PT・OT・STそれぞれについて、法律の定義が受け持つ対象と、条文にある手段の例を並べた表
法律の定義の早見表

PTとOTの定義には「回復」とありますが、STの定義は「維持向上」となっています。OTだけが対象に「精神」の障害を含みます。言語聴覚士法の条文は、制定時の条文で確かめています。そのため、大臣の名前などの字句は今の条文と違う所があります。

医師の指示は、条文のどこに書いてあるか

PTは、定義の条文(第2条3項)に「医師の指示の下に」理学療法を行う者と書かれています。STの定義の条文(第2条)には、この言葉がありません。STが医師または歯科医師の指示の下で行うのは、第42条の「診療の補助」で、嚥下(飲み込み)の訓練や人工内耳の調整などが挙がっています。

「診療の補助」とは、看護師などの法律の決まりにかかわらず行える、医療の補助の仕事のことです。PTとOTも、第15条で、診療の補助として理学療法・作業療法を行えると決められています。

OTの範囲は、国の通知で具体的に書かれている

OTの仕事は、厚生労働省の通知で、ADL訓練とIADL訓練が例に挙がっています。ADL訓練は移動・食事・排泄・入浴などの日常の動作の訓練で、IADL訓練は家事や外出などの訓練です。日本作業療法士協会は作業療法を、医療・保健・福祉・教育・職業などの領域で行う「作業に焦点を当てた治療、指導、援助」と定めています。

国家試験と人数の数字で見る違い

PTとOTの試験は、合格点のほかに「実地問題」の足切りがあります。実地問題は、1問3点で採点される問題です。STの合格基準は、200点満点で120点以上の1本だけです。

職種 総得点の合格点 実地問題の足切り 足切りの得点率
PT 167点以上/277点 41点以上/117点 35.0%(41÷117)
OT 167点以上/278点 43点以上/120点 35.8%(43÷120)
ST 120点以上/200点 なし ―

新卒に限ると、PTの合格率は94.9%、OTは96.6%でした。STは全体の合格率だけで比べています。

2026年の合格者の数

2026年の合格者は、PTがOTの約2.3倍(11,156÷4,947)、STの約7.7倍(11,156÷1,453)でした。これは合格者の比で、働いている人の数の比ではありません。

2026年の国家試験の合格者数は、PT 11,156人、OT 4,947人、ST 1,453人で、比はおよそ7.7対3.4対1
2026年の国家試験の合格者数

資格を持つ人の数は、業界団体がそれぞれ別の日付で出しています。日付がそろわないので、下の数字どうしの比は出していません。

  • PT:日本理学療法士協会の会員は144,943人、国家試験の合格者の累計は247,546人(2026年3月末現在)
  • ST:日本言語聴覚士協会によると、有資格者は2023年3月に4万人近く、毎年1,600〜2,000人程度が合格

働いている場所

働く場所の数字は、PTは人数、STは割合で出ているため、同じ表では比べられません。PT協会の会員(休会者を除く)の勤務先の一部は次のとおりです。

PTの勤務先(一部) 会員の人数
急性期 24,101人
回復期リハビリテーション病棟 19,102人
介護老人保健施設 5,380人
訪問看護ステーション 4,996人

日本言語聴覚士協会の会員で働いている22,511人の勤務先の割合は、次のとおりです。

STの勤務先 割合
医療 60.70%
医療/介護 16.71%
介護 6.56%
福祉 5.26%
学校教育 0.37%

辞める割合とストレスの研究で分かっていること

日本のリハ職1,701人を1年追った研究では、辞めた割合は3職種で近い値でした。違いが出たのは、仕事への満足の中身の方です。

澤田ほか(2025年)の研究では、PT・OT・ST 1,701人を1年追うと、1年後に辞めた割合は3職種で近く、職務満足度の項目には職種で差がみられ、離職リスクと関係する傾向は職種ごとに違っていました。日本の病院や施設で経験7年前後のリハ職には当てはまりやすく、全国の平均を知りたい人にはそのまま当てはまりません。

Bruschiniほか(2018年)の研究では、イタリアのリハ職391人のうち14%が燃え尽きの高いリスクにあり、PT・ST・OTの間に有意な差は見られませんでした。イタリアで働く人の調査なので、日本の職場にそのまま当てはまるとは限りません。

西郡ほか(2021年)の研究では、総合病院のリハ職で、「イキイキ型」の組織風土の職場の人は、ほかの型の職場の人より職業性ストレスが低いという関係がありました。病院で働く人が職場を見る材料にはなりますが、職種ごとの違いを知りたい人には当てはまりません。

研究の読み方

研究 調べ方 対象と人数 分かったこと 限界
澤田ほか(2025年) 観察(1年の縦断) 日本のPT 795人・OT 672人・ST 234人、計1,701人 1年後の離職は167人。職務満足度の項目に職種で差 STが234人と少ない。全国の平均ではない
Bruschiniほか(2018年) 調査(横断) イタリアのPT 210人・ST 101人・OT 80人、計391人 燃え尽きの高リスクは14%。職種の差は見られず 便宜的に集めた人の調査。国も測った物も違う
西郡ほか(2021年) 調査(横断) 総合病院のリハ職102人中、回答89人 「イキイキ型」の組織風土で職業性ストレスが低い 人数が少なく、職種の内訳が分からない

3本とも観察か調査で、ランダム化の試験ではありません。澤田ほかは「職種で差がある項目」、Bruschiniほかは「燃え尽きに職種の差なし」で、結果の向きがずれるため両方を載せています。

自分の職場の1年離職率を出して比べる表

自分の職場の「年初の人数」と「その1年で辞めた人数」を入れると、研究の値と並べられます。式は、離職率=1年で辞めた人数÷年初の人数です。

比べる相手 年初の人数(A) 1年で辞めた人数(B) 離職率(B÷A)
自分の職場 (自分の数を入れる) (自分の数を入れる) (計算する)
記入例:研究のPT 795人 82人 10.3%
研究のOT 672人 64人 9.5%
研究のST 234人 21人 9.0%
研究の全体 1,701人 167人 9.8%

※比べる値は、澤田ほか(2025年)の研究に参加した1,701人の値で、全国の平均ではありません。

年初の人数と1年で辞めた人数から離職率を出し、研究の値と並べ、職場の風土も確かめる手順
離職率を出す手順

離職率の数字だけでは、職場の風土までは分かりません。転職相談を使って職場を探すなら、担当者がリハ職の職場に詳しいかを先に確かめると、風土のことも聞きやすくなります。確かめ方は転職相談の面談で、担当者がリハ職に詳しいかを確かめる6つの質問にまとめています。

PT・OT・STの違いのよくある質問

PT・OT・STは何の略ですか

PTは理学療法士、OTは作業療法士、STは言語聴覚士のことです。どれも国家試験に受かって免許を受ける資格です。

難易度はどれくらい違いますか

合格点の割合はどれもほぼ6割で、合格率はSTだけ低くなっています。数字は結論の節の表のとおりで、STの合格率が低い理由は合格発表には書かれていません。

医師の指示は要りますか

日本理学療法士協会は、理学療法は医療行為で「医師の指示に基づいて行われます」と説明しています。STは、嚥下の訓練などの診療の補助を、医師または歯科医師の指示の下で行います。

PTとOTとSTは、同じ試験ですか

PTとOTは同じ回の試験で、2026年は第61回が2月23日に行われ、合格発表も1つにまとめられています。STは別の試験で、2026年は第28回が2月21日に行われました。

次に読む

転職相談を使うなら、担当者がリハ職に詳しいかを最初に確かめると安心です。 転職相談の面談で、担当者がリハ職に詳しいかを確かめる6つの質問

OTの給料から手取りがいくら残るかは、次の記事で計算しています。 作業療法士の額面30万円から手取りを出す計算

このサイトで次に調べる候補: 言語聴覚士の年収の平均(STの給料を公式の数字で知りたい人向け)

出典

  1. 厚生労働省『第61回 理学療法士・作業療法士国家試験の合格発表』2026年. https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken08_09/about.html
  2. 厚生労働省『第28回 言語聴覚士国家試験の合格発表』2026年. https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken21/about.html
  3. 日本理学療法士協会『統計情報』2026年3月末現在. https://www.japanpt.or.jp/activity/data/
  4. 日本言語聴覚士協会「言語聴覚士とは」. https://www.japanslht.or.jp/what/
  5. 理学療法士及び作業療法士法(厚生労働省 審議会の参考資料1に載った条文). https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000168998.pdf
  6. 言語聴覚士法(衆議院 制定時の条文). https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/14119971219132.htm
  7. 日本作業療法士協会「作業療法の定義」. https://www.jaot.or.jp/about/definition/
  8. 日本理学療法士協会「理学療法とは」. https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapy/
  9. 澤田辰徳・山田愛理・友利幸之介・大野勘太・長山洋史(2025)「リハビリテーション職種の職務満足度の特性と離職リスクにおける縦断研究」作業療法 44(1):59-68. https://doi.org/10.32178/jotr.44.1_59
  10. Bruschini M, Carli A, Burla F(2018)「Burnout and work-related stress in Italian rehabilitation professionals: A comparison of physiotherapists, speech therapists and occupational therapists.」Work 59(1):121-129. https://doi.org/10.3233/WOR-172657
  11. 西郡亨・今井祐子・堀本ゆかり(2021)「病院に勤務するリハビリテーション専門職の認知する組織風土と職務満足度,職業性ストレスの関連」理学療法科学 36(1):53-. https://doi.org/10.1589/rika.36.53

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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