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不動産投資の利回り計算シミュレーション:空き家率13.8%は賃貸の空室率ではない

不動産投資の利回り計算シミュレーション:空き家率13.8%は賃貸の空室率ではない
2026-10-22 公開・2026-10-25 更新

この記事の要点

  • 不動産投資の利回り計算シミュレーションは、広告の表面利回りから空室・固定資産税・経費・ローン返済を引いて、手元に残る額を出します。表面利回り5%・2,000万円の仮定の例では、手元に残る額は1年で約3.5万円のマイナスでした。
  • 空室率は6.9%と12.2%の2つで試します。よく見る「空き家率13.8%」は全部の住宅に占める空き家の割合で、賃貸の空室率ではありません。
  • 売るときの値段は利回りで大きく動きます。年間の純収益が100万円の物件なら、利回り3.6%で約2,778万円、4.6%では約2,174万円です。
この記事の目次(7)
  1. 利回り計算の例:表面5%・2,000万円の物件で手元に残る額
  2. 空室率は6.9%と12.2%で試す:13.8%を使わない理由
  3. 自分の数字で手元に残る額を出す試算表
  4. 利回り計算でよくある質問
  5. 研究で分かっていること
  6. 次に読む
  7. 出典

利回り計算の例:表面5%・2,000万円の物件で手元に残る額

表面利回り5%・2,000万円のワンルームを、頭金200万円・ローン1,800万円で買うと、手元に残る額は1年で約3.5万円のマイナスです。空室を12.2%にすると、約8.8万円のマイナスになります。数字は全部、計算のための仮定です。

段 空室6.9%の場合 空室12.2%の場合
① 満室の年間家賃(仮定) 100万円 100万円
② 空室を引いた家賃(①×(1−空室率)) 約93.1万円 約87.8万円
③ 固定資産税(仮定) 7万円 7万円
④ 管理費などの経費(仮定・月1.5万円) 18万円 18万円
⑤ ローンの年間返済(1,800万円・年2.0%・35年) 約71.6万円 約71.6万円
⑥ 手元に残る額(②−③−④−⑤) 約−3.5万円 約−8.8万円

⑤の毎月の返済は約59,627円で、12倍して約71.6万円です。金利と年数は仮定なので、自分が借りる条件で出し直します。

表面利回りが5%でも、ローンを返すと手元はマイナスになることがあります。「赤字でも節税になる」と勧められたら、自分の年収で税がいくら動くかを先に確かめます。

空室率は6.9%と12.2%で試す:13.8%を使わない理由

空室率は、6.9%で一度計算し、次に高めの12.2%で計算し直します。甘い試算を避けやすくなります。6.9%は民間データの空室率で、12.2%は首都圏の小さい部屋(25㎡未満)の空室率です。

空室率と空き家率は、分母が違います。空室率は、貸している部屋のうち空いている部屋の割合です。部屋が10室あって1室空けば10%です。空き家率は、全部の住宅に占める空き家の割合です。

総務省『令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報)』の切り抜き。13.8の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 総務省『令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報)』(2026-10-22 撮影)

総務省の2023年の調査で、空き家率は13.8%でした。ここには売却用の空き家なども入っています。賃貸用の空き家は、全部の住宅の6.8%です。

2023年の空き家率13.8%と賃貸用の空き家6.8%はどちらも総住宅数に占める割合で、49.3%は空き家全体に占める賃貸用の割合だと分母ごとに並べた図です。
空き家の3つの割合
2023年10月1日時点で、総住宅数は約6,502万戸、空き家は約900万戸、賃貸用の空き家は約443万戸だったことを示す図です。
住宅と空き家の戸数

自分の数字で手元に残る額を出す試算表

上の例の数字を、自分の物件の数字に入れ替えます。欄Aで毎年手元に残る額、欄Bで減価償却の年数、欄Cで売るときの値段を出します。

表面利回りから空室・固定資産税と経費・年間返済を順に引き、減価償却の年数と出口の価格まで見る6段の手順の図です。
手元に残る額を出す6つの段

欄A 手元に残る額

式: 満室の年間家賃×(1−空室率)−固定資産税−その他の経費−年間返済=手元に残る額

  • 満室の年間家賃: 月の家賃×12。広告の表面利回りの元の数字です。
  • 固定資産税: 課税標準(市町村が決める、税をかける元の額)×1.4%です。持っている物件なら、毎年届く納税通知書の税額を使います。
  • その他の経費: 管理費・修繕積立金・管理会社への手数料などです。
  • 年間返済: 銀行の返済の予定表にある毎月の返済額×12です。

空室率は6.9%と12.2%の2回で計算します。空室が長いと家賃も下がりやすいので、12.2%のときは家賃も少し下げて試すと安全です。

欄B 中古の耐用年数

減価償却の年数は、建物の構造と築年数で決まります。法定耐用年数(税の決まりで建物ごとに決まった年数)から、中古は国税庁の簡便法(中古の残りの年数を出す決まった計算)で出します。

式: (法定耐用年数−築年数)+築年数×0.2。法定耐用年数を全部過ぎた物件は、法定耐用年数×0.2。1年未満は切り捨て、2年に満たなければ2年です。

固定資産税の標準税率1.4%、住宅の法定耐用年数は鉄筋コンクリート造47年・木造22年、中古の簡便法では経過年数の20%を足すことを並べた図です。
試算に入れる公式の数字
物件 法定耐用年数 築年数 計算 使う年数
鉄筋コンクリート造・築20年 47年 20年 47−20+20×0.2 31年
木造・築25年 22年 25年(全部過ぎた) 22×0.2=4.4 4年

この簡便法が載っている国税庁のページは、法人税向けです。個人の申告で使う前に、税務署で確かめてください。

欄C 売るときの価格

式: 価格=年間NOI÷利回り。NOI(純収益)は、空室と経費を引いたあと、ローン返済の前に残る1年分の収入です。

年間NOI 100万円(仮定の例)で、利回りが3.6%から5.6%に上がると、価格は約35.7%下がります。下の価格は計算上の試算で、実際の売値とは違います。

利回り 年間NOI 100万円の価格 3.6%のときとの差
3.6% 約2,778万円 —
4.6% 約2,174万円 −21.7%
5.6% 約1,786万円 −35.7%

3.6%は東京・城南のワンルームの期待利回り(投資家が買うときに見込む利回り)で、4.6%・5.6%は1ポイントずつ上げた仮定です。

利回り計算でよくある質問

ローンの毎月の返済はどう出す?

借りる額・金利・返す回数から出します。元利均等返済(毎月同じ額を返す方法)の式は、毎月の返済額=借りる額×月の金利×(1+月の金利)^返す回数÷{(1+月の金利)^返す回数−1}です。月の金利は年の金利÷12です。

利回りの目安はどのくらい?

日本不動産研究所の2026年4月の調査で、東京・城南のワンルームの期待利回りは3.6%、ファミリー向けは3.7%でした。どちらも前回より0.1ポイント(3.7%→3.6%のような下がり方)下がっています。地域と部屋の種類で違うので、物件のある地域の数字で見ます。

「○年家賃保証」の広告の家賃を、そのまま試算に入れていい?

そのまま入れず、家賃が下がる場合の額でも試します。賃貸住宅の管理の法律は、サブリースの広告で家賃などを事実と大きく違えて表示したり、実際よりよく見せたりすることを禁じています。家賃の見直しや減額の請求ができるのに、それを書かずに「○年家賃保証!」と出す表示は、国土交通省のガイドラインで具体例に挙げられています。

若い人の不動産投資の相談は増えている?

国民生活センターが2019年に公表した数字では、20歳代の相談は2013年度の160件から2018年度に405件と、約2.5倍に増えました。2018年度は2019年2月28日時点の件数で、契約してからの相談が多く、平均の契約購入金額は2,000万円を超えて推移しています。国民生活センターは、投資にはリスクがあり、もうかるとは限らないと呼びかけています。

研究で分かっていること

個人のワンルームに一番近いのは宗(2017年)の研究です。国の統計の空室率は、民間データより高く出ていました。

研究4本の中身と限界(押すと開く)
  • 宗(2017年): 国の統計(住宅・土地統計調査)は空き家を目で見て調べていて、民間データ(SUUMO-ZENRINのもの)の空室率6.9%に対し12.3%でした。首都圏の25㎡未満の住宅は12.2%でした。比べた調査ごとに年と範囲が違い、2017年より後の様子までは分かりません。
  • 西・浅見・田中(2025年): 東京23区で、空室期間が比較的長い小さな市場ほど、空室期間と家賃の値下げに関係がありました。一つの管理データで、23区の外では確かめられていません。
  • 神崎(2013年): 日本の商業用不動産で、価値の変化の大部分は、家賃などのお金の流れではなく利回りの変化によるものでした。住宅ではなく、英文の要旨のみで確認しました。
  • 辻井・太田(2026年): 上場の不動産投資信託が持つ東京23区の物件で、貸す面積が小さいほど純収益の伸びが高い傾向でした。研究会の資料で、査読(ほかの研究者の審査)はありません。個人が買う区分マンションには当てはまりません。

次に読む

欄Aで手元に残る額が出たら、次の困りごとは、減価償却の赤字で税がいくら減るかです。

このサイトで次に調べる候補: 不動産投資 初期費用 シミュレーション(買うときにかかるお金を先に知りたい人向け)

出典

  1. 神崎清志(2013)「商業用不動産の実際のキャッシュフロー計測手法およびその不動産価格変動ドライバー計測への応用」日本不動産学会誌 27巻1号. https://doi.org/10.5736/jares.27.1_104
  2. 宗健(2017)「住宅・土地統計調査空き家率の検証」日本建築学会計画系論文集 82巻737号. https://doi.org/10.3130/aija.82.1775
  3. 西颯人・浅見泰司・田中和氏(2025)「賃貸住宅市場における空室期間と賃料の関係 ─東京23区におけるサブマーケット間の差異に着目して」都市計画論文集 60巻3号. https://doi.org/10.11361/journalcpij.60.1635
  4. 辻井浩平・太田明(2026)「用途別にみたキャップレート・純営業収益の決定要因に関する実証分析-J-REIT が保有する東京23 区のオフィス・共同住宅を対象として-」人工知能学会第二種研究会資料 BI-029. https://doi.org/10.11517/jsaisigtwo.2026.BI-029_04
  5. 総務省『令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報)』2023年. https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf
  6. 日本不動産研究所『第54回 不動産投資家調査』2026年. https://www.reinet.or.jp/pdf/REIS/published-document_main_the-japanese-real-estate-investor-survey_202604.pdf
  7. 国民生活センター 2019年3月28日公表の資料(PIO-NETの相談件数). https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190328_1.html
  8. 国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」. https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001368270.pdf
  9. 国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
  10. 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
  11. 総務省「固定資産税の概要」. https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/149767_08.html

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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