電気の契約ノート電気の料金プランを、切り替えの前に比べる

電気料金の内訳で託送料金は約3割。新電力に替えても払う送配電の費用

電気料金の内訳で託送料金は約3割。新電力に替えても払う送配電の費用
2026-10-22 公開・2026-10-23 更新

この記事の要点

  • 電気料金の内訳のうち、託送料金(電気を家まで送るための費用)は一般家庭の電気料金の約3割です。託送料金は、毎月払う電気料金の一部として入っています。二人以上の世帯の平均の電気代は月13,219円で、その約3割なら約4,000円です。
  • 新電力に替えても託送料金は払います。 大手電力の小売部門も、売った電気の量に応じて同じく負担しています。
  • 託送料金の単価は、全国10社の送配電会社が、5年ごとに経済産業大臣の承認を受けた収入の上限の範囲で決めます。託送料金は事業者の間の取引の料金なので、料金の認可のときに公聴会も消費者庁との協議もありません。
この記事の目次(8)
  1. 結論: 託送料金は電気代の約3割、平均の家庭なら月約4,000円
  2. 託送料金の仕組み: 何が入っていて、誰が決めるのか
  3. データで見る電気代と託送料金の動き
  4. 研究で分かっていること: 太陽光の家と原発の費用
  5. 自分の額で計算する託送料金の目安の表
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

託送料金はどの小売の会社でも売った電気の量に応じて負担するので、比べられるのは小売のプランの方です。基本料金ゼロのプランは月何kWhから得になるか、検針票のどこを見ればよいかは、次の記事で確かめています: 基本料金ゼロのプランが月何kWhから得になるかと、検針票で確かめる1か所

結論: 託送料金は電気代の約3割、平均の家庭なら月約4,000円

託送料金は、一般家庭の電気料金の約3割を占めます。経済産業省の審議会の資料では、家庭向けの電気料金の30〜40%程度とされています。

電力・ガス取引監視等委員会「託送料金制度(レベニューキャップ制度)における物価等の上昇及び事業報酬の取扱いについて」の「一般家庭における電気料金の内訳」の切り抜き。3の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 電力・ガス取引監視等委員会「託送料金制度(レベニューキャップ制度)における物価等の上昇及び事業報酬の取扱いについて」(2026-10-22 撮影)

二人以上の世帯の電気代は、2025年の平均で月13,219円でした。その3割なら約4,000円、4割なら約5,300円が、送配電の費用にあたる目安です。

家庭の電気料金に占める託送料金は約3割で、月13,219円の家庭なら約4,000円になることを示す図
電気代のうち託送料金の目安

公式の資料を並べると、電気代の約3割を占める料金なのに、認可のときに公聴会も消費者庁との協議も無いのは、調べて分かった意外な点です。

託送料金の仕組み: 何が入っていて、誰が決めるのか

託送料金は、全国10社の送配電会社が、5年ごとに大臣の承認を受けた収入の上限の範囲で単価を決めます。この決め方は「レベニューキャップ制度」と呼ばれます。レベニューキャップは、事業に必要な費用の総額を収入の上限として先に決める仕組みです。

送配電会社の事業計画から、大臣の承認、単価の設定、小売の会社の負担を経て家庭の料金に含まれるまでの流れを示す図
託送料金が家庭に届くまで

託送料金の中には、送配電部門の人件費・設備修繕費・減価償却費・固定資産税が入ります。ほかに、電源開発促進税、原発事故の賠償にあてる賠償負担金、原発の廃炉にあてる廃炉円滑化負担金なども含まれます。

賠償負担金について、資源エネルギー庁は、事故の前から賠償に備えておくべきだった総額約2.4兆円を、40年程度で回収するためと説明しています。この費用も託送料金の一部なので、契約している小売の会社に関係なく家庭の料金に入ります。

認可の決め方も、家庭向けの規制料金とは違います。託送料金は小売の会社と送配電会社の間の取引の料金なので、公聴会を開いたり、消費者庁と協議したりすることにはなっていません。

データで見る電気代と託送料金の動き

2025年の二人以上の世帯の電気代は、前の年より名目で10.1%、物価の動きを除いた実質でも4.6%増えました。電気代を含む光熱・水道は、月24,547円でした。

電力・ガス取引監視等委員会の2025年5月分の統計から、低圧の電灯の1kWhあたりの平均を出すと、全国で約28.98円、東京で約32.50円です。販売額を販売量で割った平均で、消費税や再エネ賦課金を含むかどうかは区別していません。

託送料金そのものにも、物価の上昇を反映する仕組みが入りました。電取委の2026年7月の資料によると、関連の省令などが2026年5月29日に施行されています。どの物価の指数を使うかで3つの案が並び、2024年度に当てはめた場合の全体の上昇率は、案②で+6.8%、案③で+12.2%です。

案②は、2025年12月の専門会合の資料で「適当と考えられるのではないか」とされました。取りまとめでは、費用の項目に消費者物価指数、投資の項目に建設工事費デフレーター(電力)を当てはめると整理されています。

低圧の電灯の1kWhあたりの平均が全国約28.98円・東京約32.50円であることと、託送料金の物価反映の案を2024年度に当てはめた上昇率が+6.8%と+12.2%であることを並べた図
電気の単価と物価反映の案

研究で分かっていること: 太陽光の家と原発の費用

神戸ほか(2021年)の計算のモデルの研究では、使った量に応じて払う今の託送料金の下で家庭の太陽光が大きく増えると、太陽光の無い家の負担が増えるという結果でした。日本の家庭を前提にしたモデルの結果で、実際の世帯では確かめられていません。

Johnsonほか(2017年)の研究では、米国ニュージャージー州の実際のデータを使った計算で、太陽光の無い家の請求の増え方は2%ほどにとどまり、心配は大げさな可能性があるという結果でした。米国の料金の制度での話で、日本の託送料金にはそのまま当てはまりません。

定松(2018年)の研究では、2016年後半に政府内で原発事故の賠償の「過去分」を回収すると決まったあと、自民党政務調査会の議論で託送料金への「上乗せ」が避けられ、大手電力の送電網の「合理化による捻出」に変わった過程が示されました。大手電力と契約している家庭にも、新電力と契約している家庭にも関わる話です。

大島(2022年)の論説は、自由化の後は託送料金も加わり、複雑な制度で原発の追加の費用が消費者に回されてきたと論じています。これは著者の評価を含む見方で、資源エネルギー庁は、事故の前から備えておくべきだった額を回収する仕組みと説明しています。

研究の読み方

研究 調べ方 対象 分かったこと 限界
神戸ほか(2021年) 計算のモデル(シミュレーション) 日本の家庭部門と電力部門のモデル 太陽光が増えると、太陽光の無い家の負担が増える。著者は基本料金の比率を上げることと、一部の発電側課金を解決策に挙げる モデルの前提の上での結果
Johnsonほか(2017年) 実データを使ったシミュレーション 米国ニュージャージー州の太陽光と電力市場のデータ 太陽光の無い家の請求の増え方は2%ほど 米国の制度での結果
定松(2018年) 政策の文書の分析(質的な研究) 2016年後半の政府の委員会と与党の議論 賠償の「過去分」の回収は政府内で決まったが、自民党の議論で託送料金への「上乗せ」は避けられ、「合理化による捻出」に変わった 1つの政策の事例。家計の負担額は扱っていない
大島(2022年) 論説・総説 日本の原発のコストと負担 費用が複雑な制度で消費者に回されてきたと論じる 新しいデータは無く、著者の評価が入る

4本とも、確かめたのは要旨です。

自分の額で計算する託送料金の目安の表

使い方: 検針票の「月の電気代」か「月の使用量(kWh)」を入れます。電気代から出すなら、平均の家庭の月13,219円で約3,966円〜約5,288円です。

出し方 入れる数字 式 例
A: 電気代から出す 月の電気代(円) 電気代 × 0.3〜0.4 13,219円 → 約3,966円〜約5,288円
B: 使用量から出す 月の使用量(kWh)と、自分のエリアの低圧の託送料金単価(税抜・円/kWh) 使用量 × 単価 × 1.1 単価は、エリアの送配電会社の託送供給等約款で確かめて入れる
賠償負担金の分 月の使用量(kWh)と、賠償負担金相当額(円/kWh) 使用量 × 賠償負担金相当額 廃炉円滑化負担金・電源開発促進税も同じ形

※ 0.3は「約3割」、0.4は「30〜40%程度」の上の端です。×1.1は消費税10%を足す仮定です。Bの式は平均で見た目安です。

託送料金の目安を出す前に、検針票と約款と契約している会社の案内で確かめる4点を並べた図
計算の前に確かめる4点

よくある質問

検針票のどこに託送料金がありますか? 託送料金は、小売の会社に払う電気料金の一部に含まれています。検針票での書かれ方は、契約している会社の明細で確かめてください。

新電力に替えると託送料金は安くなりますか? 託送料金そのものは、どの小売の会社でも売った量に応じて負担します。

太陽光のある家と無い家で、負担は違いますか? 日本のモデルの研究では太陽光の無い家の負担が増えるという結果、米国の実データの研究では増え方は2%ほどという結果で、食い違っています。どちらも計算の研究で、日本の実際の世帯での差は確かめられていません。

託送料金はいつ変わりますか? 収入の上限は5年の期間ごとに決まります。物価の上昇の反映は2026年度と2027年度の2年間に限るとされ、関連の省令などが2026年5月29日に施行されました。2024年度からの発電側課金(発電する側にもかける送配電の費用)の導入に向けても、需要側(電気を使う側)の託送料金単価の見直しが必要とされました。

消費者の意見は聞かれますか? 事業者の間の取引の料金なので、料金の認可のときに公聴会を開いたり、消費者庁と協議したりすることにはなっていません。

次に読む

託送料金を差し引いた残りで、プランごとの差が出ます。基本料金ゼロのプランが月の使用量いくつから得になるかは、こちらで計算しています。

このサイトで次に調べる候補: 燃料費調整額の計算方法(検針票の燃料費調整額がどう決まるか知りたい人向け)

出典

  1. 神戸 健太郎・小宮山 涼一・藤井 康正(2021)「家庭部門と電力部門のエネルギー需給構造を詳細化した技術選択モデルによる送配電網の維持・運用費用に関する分析」エネルギー・資源学会論文誌 42巻3号. https://doi.org/10.24778/jjser.42.3_108
  2. 定松 淳(2018)「新電力への原発事故損害賠償の負担拡大決定過程の分析」環境社会学研究 24巻. https://doi.org/10.24779/jpkankyo.24.0_166
  3. 大島 堅一(2022)「コスト問題からみた原子力発電の現在」学術の動向 27巻4号. https://doi.org/10.5363/tits.27.4_59
  4. Johnson, E., Beppler, R., Blackburn, C., Staver, B., Brown, M., Matisoff, D.(2017)"Peak shifting and cross-class subsidization: The impacts of solar PV on changes in electricity costs" Energy Policy 106. https://doi.org/10.1016/j.enpol.2017.03.034
  5. 総務省統計局『家計調査(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要』2025年. https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf
  6. 電力・ガス取引監視等委員会『電力取引の状況(令和7年5月分)』2025年. https://www.egc.meti.go.jp/info/public/pdf/20250815001a.pdf
  7. 電力・ガス取引監視等委員会「託送料金制度(レベニューキャップ制度)における物価等の上昇及び事業報酬の取扱いについて」2026年7月. https://www.egc.meti.go.jp/info/public/pdf/20260708001a.pdf
  8. 資源エネルギー庁「料金設定の仕組みとは?」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/
  9. 資源エネルギー庁「事業環境の変化を踏まえた料金改定手続について」2017年7月7日. https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/004_08_00.pdf
  10. 電力・ガス取引監視等委員会 2024年1月11日の発表. https://www.egc.meti.go.jp/info/public/pdf/20240111001a.pdf

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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