電気の契約ノート電気の料金プランを、切り替えの前に比べる

電力自由化の仕組みをわかりやすく。選べるのは小売だけ、低圧契約の25.1%が新電力

電力自由化の仕組みをわかりやすく。選べるのは小売だけ、低圧契約の25.1%が新電力
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 電力自由化の仕組みをわかりやすく言うと、2016年4月から選べるようになったのは「小売」の会社と料金メニューです。電線は今ある送配電網をそのまま使い、停電の起きやすさはどの会社から買っても同じです。
  • 2026年7月分では、家庭などの低圧の契約 89,477,218件のうち、新電力は25.1%でした。大手の規制料金は、おおよそ47.6%残っています(電力・ガス取引監視等委員会『電力取引の状況』令和8年7月分から計算)。
  • 2026年7月分の公式の表で並べると、自由化から10年たっても、大手の規制料金のままの低圧契約 42,552,273件は、新電力の 22,495,370件(低圧契約の25.1%)の約1.9倍(42,552,273÷22,495,370≒1.89)あるのは、調べて分かった意外な点です。
  • 切り替える前には、登録された事業者か(資源エネルギー庁「よくある質問」)、契約前の説明と契約後の書面(電気事業法 第2条の13・第2条の14)、燃料費調整の有無と上限を確かめます。
この記事の目次(8)
  1. 結論:自由化で変わったのは「どこから買うか」だけ
  2. 仕組み:発電・送配電・小売の3つの部門
  3. データで見る:10年でどれくらい切り替えたか
  4. 研究で分かっていること:人はなぜ切り替える・切り替えないのか
  5. 低圧の契約の内訳と、切り替える前の確かめ方
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

基本料金ゼロの料金の仕組みと、申し込む前に検針票で確かめる1か所(オクトパスエナジーの場合): 検針票で確かめる1か所を見る

結論:自由化で変わったのは「どこから買うか」だけ

電気の事業は「発電」「送配電」「小売」の3つの部門に分かれます。このうち、2016年4月1日に全面自由化されたのは小売です。この日から、家庭や商店も含むすべての消費者が、電力会社や料金メニューを選べるようになりました。

送配電は、自由化の後も政府が許可した事業者が担っています。そのため、会社を変えても電気が届く道は変わりません。2026年7月分では、家庭などの低圧の契約のうち25.1%が新電力でした。

仕組み:発電・送配電・小売の3つの部門

発電は1995年の法改正で原則自由に、送配電は政府の許可事業者のまま、小売は2016年4月1日に全面自由化されたことを示す3段の図
自由化されたのは小売

発電:1995年から原則として自由に

発電部門は、1995年の電気事業法の改正で、原則として参入が自由になりました。家庭が選ぶのは発電所ではありません。選ぶのは、電気を売る小売の会社です。

送配電:許可を受けた事業者のまま

一般送配電事業とは、電線で電気を各地へ届ける事業のことです。電気事業法 第3条は「一般送配電事業を営もうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない」と定めています。小売の会社を変えても、この電線をそのまま使います。

資源エネルギー庁の「よくある質問」には、「今ある送配電網を使うので新たに電線を引くことにはなりません」とあります。続けて、電気の品質や信頼性(停電の可能性など)は「どの会社から電気を買っても同じ」と書かれています。

小売:新電力・大手・2つの料金

「みなし小売電気事業者」とは、自由化の前から地域で電気を売ってきた大手電力(旧一般電気事業者)のことです。「新電力」とは、みなし小売電気事業者以外の小売電気事業者を指します。

大手電力の料金には、2つの種類があります。「規制料金」は、自由化の前からの従来どおりの電気料金メニューで、需要家保護のための経過措置として、自由化の後も大手電力に残された料金です。この記事では、大手の規制料金以外の料金を「自由料金」と呼びます。

燃料費調整:上限の有無は契約ごとに確かめる

燃料費調整とは、火力発電の燃料価格の変動に合わせて、電気料金(電力量料金)を自動で調整する仕組みです。電気料金メニューの多くに取り入れられていて、燃料価格が上がると電気料金が上がり、燃料価格が下がると電気料金が下がります。大手電力の規制料金では、この仕組みの設定が義務づけられていて、反映できる範囲に上限(基準燃料価格の1.5倍)があります。

自由料金では、燃料費調整のしくみと上限を契約ごとに確かめます。上限の有無やその計算方法は、契約ごとに確かめます。

データで見る:10年でどれくらい切り替えたか

低圧の契約の25.1%が新電力

「低圧」とは、家庭や小さな商店などが使う電圧の契約です。2026年7月分では、低圧の契約 89,477,218件のうち、新電力は 22,495,370件で25.1%でした。前の年の同じ月から1.6ポイント増えています。

電力・ガス取引監視等委員会『電力取引の状況(令和8年7月分)』の「〔表13〕 全小売電気事業者の契約口数(電圧種別/エリア別)」の切り抜き。全国計の89,477,218の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 電力・ガス取引監視等委員会『電力取引の状況(令和8年7月分)』(2026-10-21 撮影)

高圧などを含む全体の契約口数で見ると、新電力は25.2%です。この記事では、家庭に近い「低圧」の25.1%を使います。

2017年6月の約6.0%、2018年3月末の約10%、2020年8月の16.6%、2026年7月の25.1%を並べた表で、数字の定義が同じとは限らないことを注記している
新電力へ切り替えた割合

上の4つの数字は、出どころと数え方が違います。定義が同じとは限らないので、並べて流れを見る目安として使ってください。

1か月の切り替えは268,859件

2026年7月の1か月に、低圧の契約で会社を切り替えた件数は合わせて 268,859件でした。内訳は次のとおりです。

  • 大手(みなし小売)から新電力などへ: 128,660件
  • 新電力などから大手へ: 40,532件
  • 新電力などから別の新電力などへ: 99,667件

同じ月に、大手の中で規制料金から自由料金へ移った件数は 23,418件でした。

累積の40,326,029件は「家庭の数」ではない

2016年4月から2026年7月分までの切り替えの累積は 40,326,029件です。このうち、大手から新電力などへの切り替えは 25,818,389件でした。合計には、新電力などから大手への 4,475,067件と、新電力などから別の新電力などへの 10,032,573件も入っています。表19は切り替えの件数を足し上げた累積で、切り替えた家庭の数を数えた表ではありません。

統計の注には、広域機関の累積件数と一致しない理由として、広域機関の件数には高圧の件数が含まれることと、2〜3週間ほどのずれがあることが書かれています。

電気代は家計の中で増えている

2025年の二人以上の世帯の電気代は、月平均 13,219円でした。前の年より名目で10.1%増えています。月平均を12倍すると、年あたり 158,628円になります(13,219円×12の計算)。

研究で分かっていること:人はなぜ切り替える・切り替えないのか

節約額と手間が、切り替えと関係していた

荒谷・瀋(2021年)が、関西電力の地域で自由化を知っている1,070名を対象に、インターネットで調べた研究があります。その研究では、切り替えの検討や決定に、料金の節約額とスイッチングコストが関係していました。スイッチングコストとは、切り替えにかかるお金の負担や手続きの手間のことです。

大手から別の会社へ切り替えることには、停電についての技術的な信頼や、自然エネルギーへの態度も関係していました。著者は、家計の自由化への理解が低いために、大手電力が有利になる状況が起きているとも書いています。

この研究は2020年6月の1回の調査で、関西の人だけを対象にしています。回答者の42.1%が、会社か料金プラン(大手の中のプラン変更を含む)を切り替え済みか申し込み中でした。全国の新電力のシェア16.6%(荒谷・瀋 2022年)とは数え方が違います。また、関西だけで自由化を知っている人に限った調査なので、この記事ではこの42.1%を全国の家庭にそのまま当てはめません。

著者自身も、人と会社とのつながりから来るスイッチングコストの影響は測れなかったと書いています。

エネルギーへの関心も、切り替える意向と関係していた

Amaha ほか(2019年)は、2018年6〜8月に、日本の電力会社の利用者へインターネットでアンケートをとった研究です(再生可能エネルギーの会社・地域の会社・料金の得を打ち出す会社・大手の4種類の会社の利用者。関係を見た研究で、原因と結果は示していません)。エネルギーの仕組みへの関心が、切り替える意向と関係していたと報告しています。その関係の大きさは、同じ分析に入れた満足度やスイッチングコスト(切り替えの意向に影響すると一般に知られている要因)と同じくらいだった、と著者は書いています。

この研究で見ているのは「切り替えたい」という意向で、実際に切り替えたかどうかではありません。意向の分析に使った回答は764件です(N = 764)。

2つの研究で、結果が違う点

荒谷・瀋(2021年)では、自然エネルギーへの態度の影響は、大手から別の会社へ切り替える確率を約4%上げる程度で、節約額やスイッチングコストなどと比べて限定的だと著者は見ています。一方、Amaha ほか(2019年)では、エネルギーへの関心の影響が、同じ分析に入れた満足度やスイッチングコストと同じくらいの大きさでした。調べた人も、測った物(実際の切り替えと意向)も違うので、どちらか一方だけで判断しないことが大切です。

家庭はほかの会社をあまり探さない(米国の研究)

Hortaçsu ほか(2017年)が、米テキサス州の家庭用の電力市場で世帯ごとのデータを調べた研究があります。その研究では、家庭はほかの小売の会社をほとんど探さず、探したときも元からの会社をブランドとして有利に見ていることが分かりました。費用の少ない情報の届け方で消費者の利益が大きく増える、という点は、モデルの上での試算です。

これは米国の1つの州の結果で、日本にそのまま当てはまるとは限りません。

低圧の契約の内訳と、切り替える前の確かめ方

自前の計算:低圧の契約の半分近くは規制料金のまま

読む人の条件: 家庭などの低圧の契約について、2026年7月分の全国の件数を、新電力・大手の自由料金・大手の規制料金に分けて見る場合。 式: 各区分の件数 ÷ 低圧の契約の全体 89,477,218件(電力・ガス取引監視等委員会『電力取引の状況』令和8年7月分 表13・表14・表17)

区分 件数 全体に占める割合
新電力 22,495,370 25.1%
大手(みなし小売)の自由料金 24,087,788 約26.9%
大手(みなし小売)の規制料金 42,552,273 約47.6%
範囲のずれ(全体−上の3行) 341,787 約0.4%
合計 89,477,218 100%

大手の2行は、各社の元の供給区域だけの数字です(表17)。全体と新電力は全国の数字なので(表13・表14)、範囲が少し違います。そのため割合は「おおよそ」で、差を「範囲のずれ」の行にしました。

大手の低圧の契約だけで見ると、自由料金は36.1%です。残りの63.9%(1−36.1%)が規制料金です。自由化から10年たっても、低圧の契約の半分近くは規制料金のままだと分かります。

低圧の契約89,477,218件のうち新電力が25.1%、大手の規制料金が約47.6%、7月の1か月の切り替えが268,859件であることを示す数字
低圧の契約 2026年7月分

切り替える前の確かめ方(確かめる順)

  1. 登録された事業者か。 資源エネルギー庁は、まず電気事業法に基づき登録されている事業者かを確かめるよう求めています。
  2. 契約前に、料金などの説明を受けたか。 小売の会社は、契約の前に料金その他の供給条件を説明しなければなりません。
  3. 契約した後に、書面を受け取ったか。 小売の会社は、契約した後、遅滞なく決められた事項を書いた書面を渡さなければなりません。
  4. 燃料費調整の有無と上限。 自由料金は、上限があるかを契約ごとに確かめます。
  5. 契約の条件。 資源エネルギー庁の「よくある質問」の「注意すべきポイント」から、契約期間・更改・料金の算定・割引の対象期間・解約手数料を確かめます。割引の期間と契約期間は、別々に見ます。
  6. 今の契約が規制料金か自由料金か。 自分の契約がどちらかは、今の電力会社に聞いて確かめます。
登録事業者か、契約前の説明、契約後の書面、燃料費調整の上限、契約期間や解約手数料、今の契約の種類の6点を順に確かめる一覧
切り替える前の確かめ方

よくある質問

燃料費調整額とは何ですか

火力発電の燃料価格の変動に合わせて、電気料金(電力量料金)を自動で調整する分です。燃料価格が上がると電気料金が上がり、燃料価格が下がると電気料金が下がります。自由料金では、契約ごとに中身を確かめます。

会社を変えると、電線や停電はどうなりますか

今ある送配電網を使うので、新しく電線を引くことにはなりません。停電の可能性などは、どの会社から買っても同じです。送配電は、経済産業大臣の許可を受けた事業者が担います。

小売の会社には、どんな説明の義務がありますか

契約の前には、料金その他の供給条件を説明する義務があります。契約の後には、決められた事項を書いた書面を遅滞なく渡す義務があります。

10年で実際にどれくらい切り替えましたか

2026年7月分で、低圧の契約の25.1%が新電力です。2016年4月からの切り替えの累積は 40,326,029件ですが、これは件数で、切り替えた家庭の数ではありません。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: 電気料金 内訳 託送料金(電気料金のうち、送配電網を使う分がどれくらい入っているかを知りたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 荒谷優太・瀋俊毅(2021)「日本の電力小売全面自由化後の家計の電力会社及び料金プラン切り替え要因分析」神戸大学経済経営研究所 ディスカッションペーパー DP2021-J07. https://www.rieb.kobe-u.ac.jp/academic/ra/dp/Japanese/dp2021-J07.pdf
  2. 荒谷優太・瀋俊毅(2022)「日本の電力小売全面自由化後の家計の電力会社及び料金プラン切り替え要因分析」国民経済雑誌 225(4). https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/kernel/E0042616/E0042616.pdf
  3. Amaha, Nishikiori, Hidaka(2019)「Why do customers switch the contract to a local or renewable electricity supplier?」eceee 2019 Summer Study. https://www.eceee.org/library/conference_proceedings/eceee_Summer_Studies/2019/5-smart-and-sustainable-communities/why-do-customers-switch-the-contract-to-a-local-or-renewable-electricity-supplier/ (全文 PDF: https://www.eceee.org/library/conference_proceedings/eceee_Summer_Studies/2019/5-smart-and-sustainable-communities/why-do-customers-switch-the-contract-to-a-local-or-renewable-electricity-supplier/2019/5-265-19_Amaha.pdf/ )
  4. Hortaçsu, Madanizadeh, Puller(2017)「Power to Choose? An Analysis of Consumer Inertia in the Residential Electricity Market」American Economic Journal: Economic Policy 9(4). https://www.nber.org/papers/w20988
  5. 電力・ガス取引監視等委員会『電力取引の状況(令和8年7月分)』2026年. https://www.egc.meti.go.jp/info/public/pdf/20261015001a.pdf
  6. 総務省統計局『家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要』. https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2025.pdf
  7. 資源エネルギー庁「料金の仕組みと料金メニュー例のご紹介」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/what/
  8. 資源エネルギー庁 エネこれ「電力小売全面自由化で、何が変わったのか?」(2017年9月28日). https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/denryokugaskaikaku/denryokujiyuka.html
  9. 資源エネルギー庁「よくある質問」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/electricity_liberalization/faq/
  10. 電気事業法(e-Gov). https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/339AC0000000170
  11. 資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」. https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/fuel_cost_adjustment_001/

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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