探偵の相談ノート探偵の調査費用を、見積もりの前に確かめる

探偵の調査員に資格は不要。でも業者への警察の指示は3年で82件、うち13件が教育・名簿の違反

探偵の調査員に資格は不要。でも業者への警察の指示は3年で82件、うち13件が教育・名簿の違反
2026-10-22 更新

この記事の要点

  • 探偵の調査員に国の資格は要りません。資格がない代わりに、法律は探偵業者に「従業者への教育」と「従業者の名簿」を義務づけています。
  • 令和5〜7年に警察が探偵業者へ出した指示82件のうち13件(15.9%)は、教育義務違反と名簿の不整備・虚偽でした。資格を求めない仕組みなのに、教育と名簿の義務を守らない業者が毎年出ています。
  • 契約前は資格の有無ではなく、調査員が名簿に載っているか、ほかへ回す先が届出をした業者か、営業所とウェブサイトに「標識」があるかを確かめます。
この記事の目次(8)
  1. 結論: 調査員に資格は要らない。代わりに業者の義務で縛る仕組み
  2. 調査員に法律が求めること・求めないこと
  3. データで見る: 届出7,354件と、毎年の指示の中身
  4. 研究で分かっていること: 免許制の国との比べ
  5. 契約前に業者へ聞く4問チェックリスト
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

調査員の人数で費用がいくらになるかは、次の記事で計算しています: 調査員の人数と時間で決まる浮気調査の費用と、契約前の確認の記事

結論: 調査員に資格は要らない。代わりに業者の義務で縛る仕組み

探偵の調査員になるのに、国の資格や試験はありません。法律は調査員本人ではなく業者に、従業者への教育、名簿の備え付け、届出をした業者以外への委託の禁止を課しています。

令和5〜7年の探偵業者への指示82件のうち13件、15.9%が教育義務違反と名簿の不整備・虚偽だったことを示す図
調査員に関わる違反の指示

この義務を守らずに指示を受ける業者は毎年いて、令和7年だけでも19件中4件でした。依頼する人が確かめるのは、資格の代わりに名簿と標識です。

調査員に法律が求めること・求めないこと

法律は調査員に資格を求めませんが、業者には教育と名簿を求めています。探偵業は、欠格事由(法律が定める、探偵業を営めない人の条件)に当たらなければ営めます。

項目 法律の扱い
調査員本人の国の資格 求めていない
従業者への教育 業者の義務(第11条)
従業者の名簿 業者の義務(第12条第1項)
届出をした業者以外への委託 禁止
調査のための特別な権限 ない
営業所とウェブサイトの標識 業者の義務(令和6年4月1日から)

教育の義務

業者は、従業者が調査を適正に行えるよう、必要な教育をしなければなりません。教育には、探偵業法や個人情報保護法などの関係法令の知識、適正な調べ方、資料と情報の扱い方が含まれます。

「従業者」は、業者の下で働く人のことで、雇われているかどうかを問いません。教育計画書と教育実施記録簿は、警察が業者に作るよう指導するものとして運用の基準に書かれていて、法律そのものの義務ではありません。

名簿の義務と委託の禁止

業者は営業所ごとに従業者名簿を備え、氏名・採用年月日・担当させる調査の内容などを書く義務があります。業者は、調査を届出をした探偵業者以外に回すことも禁じられています。

特別な権限はない

探偵だからといって、特別な権限は与えられていません。たとえば、相手を見張るために近所の家の敷地へ許可なく入れば、住居侵入罪などになります。

届出証明書は廃止され、今は「標識」

「探偵業届出証明書」は令和6年4月1日に廃止されました。今は、決められた形の「標識」を営業所の見やすい場所に出し、ウェブサイトにも載せる義務があります。従業員が5人以下の業者は、ウェブサイトへの掲載が免除されます。

データで見る: 届出7,354件と、毎年の指示の中身

令和7年末の探偵業の届出は7,354件で、前の年より256件増えました。そのうち個人は5,293件で、全体の72.0%(5,293÷7,354で計算)を占めます。

令和5年 令和6年 令和7年
届出数 7,027 7,098 7,354
個人 5,113 5,142 5,293
法人 1,914 1,956 2,061
新規の届出 754 770 783
廃止の届出 676 692 527

令和7年は新規が783件、廃止が527件で、新しく始める業者の方が多い年でした。

令和5〜7年の指示の件数と、教育義務違反・名簿の不整備や虚偽・書面交付違反・他の法令の違反の件数、調査員に関わる違反の割合を年ごとに比べた表
探偵業者への指示の内訳

公式の表を並べると、令和6年と令和7年は、調査員の教育と名簿に関わる違反が指示の2割を超えていました。3年の合計では13件で、書面を渡さない違反の15件と同じくらいの件数です。

探偵業法の違反での検挙は、令和7年に2件4人でした。同じ年には、探偵業者や従業者が調査に関わって、軽犯罪法違反・ストーカー規制法違反・建造物侵入などで検挙された例もあります。

研究で分かっていること: 免許制の国との比べ

免許制の国と比べると、日本は調査員本人ではなく業者に義務を課す仕組みだと分かります。

日本では調査員本人の資格は不要で業者に教育と名簿の義務があり、オーストラリアでは15科目の職業資格の修了が免許の条件だと比べた表
日本とオーストラリアの比べ

King(2016年)の論考では、オーストラリアは警察での経験などをもとに免許を出すのをやめ、全国共通の15科目の職業資格を修了することを私立探偵の免許の条件にしたと整理されていました。制度を整理したもので、資格によって調査の質が上がるかは測っておらず、日本で依頼先を選ぶ人にそのまま当てはまる話ではありません。

Gill と Hart(1997年)の研究は、英国の私立探偵の能力・正当性・警察との関係を調べ、法律で規制した場合の影響を考えたものです。1990年代の英国の話で、日本の制度の下で依頼する人にそのまま当てはまるものではありません。

研究の読み方

研究 調べ方 対象 分かったこと 限界
King(2016年) 論考・制度の整理 オーストラリアの私立探偵の免許制度と業務(2016年時点) 経験による免許をやめ、15科目の職業資格の修了を条件にした。以前は研修・免許・規制が全国でそろわず、規制が難しかった(Prenzler 2001年の指摘として) 一般向けの誌の短い論考で、データの分析はない。査読の有無は不明
Gill と Hart(1997年) 私立探偵の仕事を調べた研究(要旨の範囲で使用) 英国の私立探偵(1990年代) 能力・正当性・警察との関係を扱い、法律で規制した場合の影響を考えた この記事では要旨の範囲だけを使い、数字は使っていない。年代が古い

どちらも海外の研究で、日本の制度にそのまま当てはめることはできません。

契約前に業者へ聞く4問チェックリスト

資格の有無を聞く代わりに、次の4問を業者に聞いて、答えと○×を書き込んでください。

名簿、委託先の届出、標識、教育の記録の4つを契約前に業者へ確かめるチェックリスト
契約前に聞く4問

使い方: 自分が相談している業者の答えを「業者の答え」の欄に書き、根拠に合えば○を付けます。

問い 根拠 業者の答え ○×
1. 担当の調査員は従業者名簿に載っているか 名簿の義務(第12条第1項)
2. ほかに回すなら、相手は届出をした探偵業者か 委託の禁止
3. 営業所とウェブサイトに標識があるか 令和6年4月1日からの標識の義務
4. 教育計画書と教育実施記録簿はあるか 運用の基準による指導(法律上の義務ではない)

問い3は、従業員が5人以下の業者ならウェブサイトになくても違反ではないので、営業所の標識で確かめます。問い4は法律の義務ではないため、なくても違反ではなく、あれば教育をしている裏付けになるという読み方です。

毎年の概況が出たら、次の式で割合を計算し直せます。

  • 式: 調査員に関わる違反の割合 =(教育義務違反+名簿の不整備・虚偽)÷ 指示の件数
  • 例: 令和7年は (2+2)÷19 = 21.1%

よくある質問

アルバイトの調査員でも、教育と名簿の対象ですか? 対象です。「従業者」は雇われているかどうかを問わないため、アルバイトの調査員も教育と名簿の義務の範囲に入ります。

調査のために他人の敷地に入ってよいのですか? 入れません。探偵に特別な権限はなく、許可なく敷地に入れば住居侵入罪などになり、令和7年にも建造物侵入などで検挙された例があります。

別の会社に調査を回されることはありますか? 回せる先は、届出をした探偵業者だけです。それ以外への委託は法律で禁じられているので、回すかどうかと相手の業者を契約前に聞いておくと安心です。

届出証明書を見せてもらえば十分ですか? 届出証明書は令和6年4月1日に廃止されました。今は営業所とウェブサイトの標識で確かめます。

調査員の人数で費用は変わりますか? 変わります。人数と時間からの計算は、次に読む記事で詳しく扱っています。

次に読む

調査員の人数と時間で費用がいくらになるか、契約前に何を確かめるかは、こちらで計算しています。 - 調査員の人数と時間で決まる浮気調査の費用と、契約前の確認の記事

調査が終わった後に受け取る報告書で、何を確かめればよいかはこちらです。 - 調査報告書で確かめたい3項目と書面交付違反の統計の記事

このサイトで次に調べる候補: 探偵の調査員のバイト(未経験やアルバイトで調査員として働くときの条件が知りたい人向け)

出典

  1. 警察庁『令和7年中における探偵業の概況』令和7年. https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/R7tanteigyogaikyo.pdf
  2. 警察庁「探偵業について」. https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/tanteigyou/index.html
  3. 警視庁「探偵業の業務の適正化に関する法律の概要」. https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/tantei/overview.html
  4. 千葉県警察「探偵業の業務の適正化に関する法律改正に関するお知らせ」. https://www.police.pref.chiba.jp/fuhoka/window_detective_01.html
  5. 探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈運用基準(令和6年版)(岩手県警察掲載). https://www.pref.iwate.jp/kenkei/res/projects/project_kenkei/_page/003/000/585/s_tanteigyouunyoukijun_r06.pdf
  6. 衆議院「探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号)」制定時の条文. https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/16420060608060.htm
  7. King, M.(2016)「The contemporary role of private investigators in Australia」Criminal Justice Matters 89. https://www.crimeandjustice.org.uk/node/3484
  8. Gill, M., Hart, J.(1997)「Exploring Investigative Policing: A Study of Private Detectives in Britain」The British Journal of Criminology 37(4). https://academic.oup.com/bjc/article-abstract/37/4/549/302508

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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