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ステップメールとシナリオメールの違いは「起点」と「分岐」。件名に名前を入れると開封は約2割増

ステップメールとシナリオメールの違いは「起点」と「分岐」。件名に名前を入れると開封は約2割増
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • ステップメールとシナリオメールの違いは、呼び名では決まりません。「起点が登録日などの日付か、客の行動か」と「反応で次のメールを分けるか」の2点で確かめます。iTSCOM・engagelab・start-link の定義を並べると、言葉の意味が食い違っています。
  • 客の行動をきっかけに送るメールのうち、サイトを見て買わずに去った人へのメール1種類には、ランダム化の試験で効果が出ています。この人たちへ送ると、送らなかった群よりネットの売上が増えました(Goic ほか 2021 年、小売1社)。
  • 3社が送ったメールの受け手、数百万人を対象にしたランダム化の試験(主な数字は主要な実験1つ)で、件名に受け手の名前を入れると、開封は9.05%から10.80%へ約2割増(10.80÷9.05=1.193)になり、配信停止は1.2%から1.0%に下がりました。開封が増えたのに配信停止は増えずに下がったのは、論文の数字を並べて分かった意外な点です。
  • 通数は多いほどよいとは限りません。最適な7通に比べ、4通では顧客1人あたりの生涯の利益が32%、10通では16%減ると推計されています(Zhang ほか 2017 年、米国の小売1社、観察データのモデル推計。通数を数える期間は要旨に書かれていないため、ステップメールの通数にそのまま当てはめられません)。
この記事の目次(8)
  1. 結論:違いは「起点」と「分岐」で見る
  2. 仕組み:3つの送り方と言葉の意味
  3. データで見る:メールはどの年代に届くか
  4. 研究で分かっていること
  5. 定義の比較と、申し込む前の判断の表
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

無料プランで足りるかを「名簿の件数×送る回数」で確かめる記事: Benchmark Email の無料プランで足りるかを『名簿の件数×送る回数』で確かめる表

結論:違いは「起点」と「分岐」で見る

「ステップメール」と「シナリオメール」の意味は、サイトによって違います。同じ「シナリオ」という語でも、配信の計画を指すサイトもあれば、反応で分けることを指すサイトもあります。そのため、呼び名ではなく、起点と分岐の有無で仕組みを確かめるのが確かな方法です。

行動をきっかけに送る型のうち、サイトを見て買わずに去った人へのメール1種類については、ランダム化の試験で売上が増えた結果があります。ただし、この試験は「送った群」と「送らなかった群」を比べたものです。日付の順に送る方式と並べて比べたものではありません。

通数については、多すぎても少なすぎても利益が減るという推計があります。なので、通数を増やせば成果が増えるとは言えません。

仕組み:3つの送り方と言葉の意味

一斉配信・決めた順に送る配信・反応で分ける配信

一斉配信は、名簿の全員に同じメールを同じ時に送る方式です。メルマガがこの形です。

決めた順に送る配信は、ある日を起点にして、用意したメールを順番に送る方式です。engagelab は、ステップメールの起点を「登録日、資料請求日、購入日など」と書いています。

反応で分ける配信は、客の行動や、メールを開いたか・押したかで、次に送る物を変える方式です。論文では、行動をきっかけに送るメールを「Triggered emails are personalized messages that are automatically sent as a response to specific actions or states of customers.」と定義しています。訳すと「トリガーメールとは、客の特定の行動や状態に応じて自動で送られる、一人ひとりに合わせたメッセージ」です。

「シナリオ」という語には2つの意味がある

1つ目は、配信の計画という意味です。iTSCOM はステップメールを「顧客や見込み顧客の何らかの行動を起点とし、あらかじめ準備した複数のメールをシナリオ通りに配信する仕組み」と書いています。ここでの「シナリオ」は、送る順番と中身の計画のことです。

2つ目は、反応で分けるという意味です。engagelab はシナリオメールをステップメールとは別のものとして扱い、「反応に応じて次に送る内容を分岐する」と書いています。start-link も「反応に応じてシナリオを分岐させます」と書いています。

なお、iTSCOM は起点を「行動」と書き、engagelab は「登録日」などの日付を例に挙げています。同じステップメールでも、起点の書き方がそろっていません。

自動で送る宣伝のメールにも特定電子メール法がかかる

特定電子メール法は、広告や宣伝のメールの送り方を決めた法律です。総務省は「広告・宣伝メールを送信する場合、当該メールは原則、特定電子メール法の規制対象となります。」と書いています。自動で送るステップメールやシナリオメールでも、宣伝のメールであれば同じ扱いです。

この法律の第3条では、主に次の3つが決められています。

  • 原則として、先に同意を伝えてきた人に送る(第1項第1号。ほかに取引関係にある人などの例外が第2〜4号にある)
  • その同意があったことの記録を残す(第2項)
  • 「送らないで」と伝えられたら、それ以降は送らない(第3項)

第4条では、送り主の「氏名又は名称」と、配信停止の連絡を受けるためのメールアドレスなどを、正しく表示するよう決めています。

データで見る:メールはどの年代に届くか

インターネットを使う人のうち、使い道に「電子メールの送受信」を選んだ人は、全体で78.2%でした。令和6年は78.6%だったので、差は78.2−78.6=−0.4ポイントです。全体の1位は「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の82.3%で、電子メールは2位でした。

年代別に見ると、50歳以上の年代ではどれも電子メールが1位です。一方で13〜19歳は62.2%で、4位でした。6〜12歳では上位5位に入っていません。

この数字は複数回答です。割合の母数は「インターネットを使う人」で、国民全体ではありません。調査の時点は令和7年8月末で、公表は令和8年5月29日です。

インターネットを使う人のうち電子メールの送受信と答えた割合と順位を、13〜19歳から80歳以上まで年代別に並べた表
年代別・メールを使う人の割合
区分 回答した人数 電子メールの送受信 用途の順位
全体(令和7年) 34,322 78.2% 2位
全体(令和6年) 29,055 78.6% —
13〜19歳 2,504 62.2% 4位
20〜29歳 2,934 81.9% 2位
30〜39歳 3,724 84.5% 2位
40〜49歳 5,206 87.0% 2位
50〜59歳 6,542 87.0% 1位
60〜69歳 6,347 84.7% 1位
70〜79歳 4,310 76.4% 1位
80歳以上 1,004 65.6% 1位

(総務省『令和7年通信利用動向調査』、令和8年公表。複数回答・母数はインターネットを使う人)

研究で分かっていること

ランダム化の試験とは、対象の人をくじのように無作為に2つ以上の群に分け、扱いだけを変えて結果を比べる研究です。観察研究は、実際の記録を後から分析する研究で、関係は分かっても原因までは言い切れません。

行動をきっかけに送るメールの試験

Goic ほか(2021 年)は、店舗とネットの両方で売る小売店1社で、サイトを見たのに買わずに去った客を対象に調べました。約半分を無作為に選んで自動のメールを送り、残りの半分には何も送りませんでした。その結果、見て去った人へのメールで、ネットの売上が増える効果がありました。

同じ研究では、長い閲覧の履歴に基づくメールほど購入が多く、幅広い品ぞろえをすすめるメールほど売上が多いという関係もありました。ただし対象は小売1社で、国・人数・期間は要旨に書かれていません。日付の順に送る方式とは比べていません。

通数と利益の関係の推計

Zhang ほか(2017 年)は、米国の住宅用品の小売店1社の客の記録にモデルを当てはめ、「もし通数を変えていたら」を推計しました。送る通数と利益には、短い期間でも長い期間でも、まっすぐではない曲線の関係があると推計されました。例として、最適な7通の代わりに4通や10通を送ると、顧客1人あたりの生涯の利益が32%や16%減るとしています。

この研究は、メールをよく開く客が、よく買う客とは限らないことも示しています。限界として、対象は1社だけです。また「4通・7通・10通」がどの期間の通数なのかは要旨に書かれていません。

件名に名前を入れる試験

Sahni ほか(2018 年)は、3社が送ったメールの受け手、数百万人を対象にランダム化の試験を行いました。件名に受け手の名前を入れると、開封の割合が9.05%から10.80%に上がる効果がありました。問い合わせなどの見込み客になる割合は0.39%から0.51%に上がり、配信停止は1.2%から1.0%に下がりました。

これは件名の研究で、分岐の効果を調べたものではありません。主な数字は、主要な実験1つから出たものです。

日本のオプトインメールの観察研究

オプトインメールとは、受け取ることに同意した人にだけ送る宣伝のメールです。猪内・丹羽(2002 年)は、日本のオプトインメールのサービス1つで、実際のクリックの記録を分析しました。特典の価格よりも、件名の書き方や、特典と広告の中身が合っていることが重要だと示唆されました。

この研究は観察研究で、関係を示したものです。論文の受付は2000年8月で、データはそれより前のものです。1つのサービスだけを対象にしており、人数は抄録に書かれていません。

件名に名前を入れた試験の開封と配信停止の変化と、7通に比べて4通と10通で生涯の利益が減るという1社の推計を並べた図
論文の主な数字

定義の比較と、申し込む前の判断の表

ここでは、言葉の定義の原文を並べ、それを元にこの記事が独自に判断の表を作りました。表2はこの記事の整理で、どこかの公式の分け方ではありません。

表1:定義の原文を並べる

出どころ 原文 起点 分岐の有無
iTSCOM(ステップメール) 「顧客や見込み顧客の何らかの行動を起点とし、あらかじめ準備した複数のメールをシナリオ通りに配信する仕組み」 行動 書かれていない(「シナリオ」は計画の意味)
engagelab(ステップメール) 起点は「登録日、資料請求日、購入日など」 日付 なし(シナリオメールと分けて扱う)
engagelab(シナリオメール) 「反応に応じて次に送る内容を分岐する」 行動・属性・反応などの条件 あり
start-link(ステップメール) 「反応に応じてシナリオを分岐させます」 行動(資料ダウンロード・問い合わせなど) あり
Goic ほか 2021年(論文) 「Triggered emails are personalized messages that are automatically sent as a response to specific actions or states of customers.」 行動・状態 行動ごとに送る物が決まる

URL は出典の一覧に載せています。

表2:起点と分岐で決める、確かめる機能

この表は、自分の用途がどの枠かを決め、料金表や機能の表で確かめる機能の名前を探すためのものです。どの枠でも、宣伝のメールなら下の段の2つは確かめます。

反応で分けない 反応で分ける
起点が日付(登録日・購入日など) 日付を起点にした自動配信 日付を起点にした自動配信/開封・クリックでの分岐
起点が行動(サイトを見た・資料を求めた など) 行動をきっかけにした配信 行動をきっかけにした配信/開封・クリックでの分岐
どの枠でも(特定電子メール法 第3条・第4条) 配信停止の受付と表示/同意の記録 配信停止の受付と表示/同意の記録

サービスの説明に「ステップメール」「シナリオ」と書かれていても、上の機能のどれを指しているかは、機能の表の中身で確かめます。

起点、分岐、通数、法律の4つの順に、自分の用途と必要な機能を確かめる手順
呼び名に頼らない確かめ方

表3:論文の数字の整理

論文 研究の種類 対象 数字 言い方 限界
Goic ほか 2021年 ランダム化の試験 小売1社の、見て去った客 送った群のネットの売上が増えた 効果があった 1社。人数・期間は要旨に無し。日付の順に送る方式とは比べていない
Zhang ほか 2017年 観察データのモデル推計 米国の住宅用品の小売1社 7通に比べ4通で−32%、10通で−16%(生涯の利益) 推計された 1社。通数を数える期間は要旨に無し
Sahni ほか 2018年 ランダム化の試験 3社のメールの受け手、数百万人 開封 9.05%→10.80%、配信停止 1.2%→1.0% 効果があった 件名の研究で分岐ではない。主な数字は主要な実験1つから

開封の伸びを自分で計算すると、10.80÷9.05=1.193で、約19%の増加です。論文の要旨は、この伸びを「20%」と書いています。

申し込む前に料金表や機能の表で確かめる5つの機能を並べたチェックリスト
申し込む前に確かめる機能

よくある質問

ステップメールとメルマガ(一斉配信)は何が違う?

ステップメールには起点があり、用意した複数のメールを順番に送ります。メルマガは、名簿の全員に同じメールを同じ時に送る形です。そのため、ステップメールは名簿に入った日などが人によって違えば、届く日も人によって違います。

何通を、どの間隔で送ればいい?

通数について、米国の小売1社の推計では、最適な7通に比べて4通でも10通でも利益が減りました。ただし、この7通がどの期間の通数かは要旨に書かれていないので、そのまま自分の配信に当てはめることはできません。iTSCOM は「3~5通程度を1週間~数カ月程度の期間で」送るのが一般的とし、購入後の5通の例を載せていますが、1つのサイトの説明です。

無料のメール配信サービスでも組める?

サービスごとに、使える機能は違います。表2で自分の枠を決め、その枠の機能の名前が無料プランの機能の表に入っているかを、料金ページで確かめます。無料プランで送れる量の確かめ方は、下の「次に読む」の記事で扱っています。

自動で送るときに法律で守ることは?

広告や宣伝のメールは、原則として特定電子メール法の対象です。先に同意を得て、その記録を残し、断られたら送らないことが決められています。送り主の名前と、配信停止を受け付けるアドレスなどの表示も決められています。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: メルマガ 開封率 平均(自分のメールの開封の割合が、ふつうより高いか低いかを比べたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. Goic, Rojas, Saavedra(2021)「The Effectiveness of Triggered Email Marketing in Addressing Browse Abandonments」Journal of Interactive Marketing 55, pp.118-145. https://ideas.repec.org/a/eee/joinma/v55y2021icp118-145.html
  2. Zhang, Kumar, Cosguner(2017)「Dynamically Managing a Profitable Email Marketing Program」Journal of Marketing Research 54(6). https://eprints.exchange.isb.edu/id/eprint/520/
  3. Sahni, Wheeler, Chintagunta(2018)「Personalization in Email Marketing: The Role of Noninformative Advertising Content」Marketing Science 37(2), pp.236-258. https://ideas.repec.org/a/inm/ormksc/v37y2018i2p236-258.html
  4. 猪内学・丹羽清(2002)「オプトインメールに関する実証的研究―配信形式・コンテンツ構成・インセンティブが広告効果に与える影響―」〔J-STAGE の書誌の表記は「インセンティプ」〕経営情報学会誌 11(3), pp.65-79. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjasmin/11/3/11_65/_article/-char/ja
  5. 総務省『令和7年通信利用動向調査』令和8年(2026年)5月29日公表. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/260529_1.pdf (報道資料: https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000183.html )
  6. 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号). https://hourei.net/law/414AC1000000026
  7. 総務省「迷惑メール対策」. https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/m_mail.html
  8. iTSCOM「ステップメールとは?効果や配信手順、おすすめ配信ツールを解説」(2025年3月31日). https://www.itscom.co.jp/forbiz/column/sales/10148/
  9. engagelab「カスタマージャーニーメールとは?自動化・シナリオ設計・KPIを解説」(佐藤健一、2026年5月28日更新). https://www.engagelab.com/ja_JP/blog/email-marketing-journey
  10. start-link「ステップメールのシナリオ例7選|BtoB向け設計手順と実践テンプレート」. https://start-link.jp/hubspot-ai/btob-marketing/email-marketing-ma/step-mail-scenario-design

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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