IT エンジニア年収 1000 万円、情報通信業では超える人が14.5% 2026-10-21 公開・2026-11-03 更新
この記事の要点
ITエンジニア年収1000万円を超える人は、IT企業を含む情報通信業で14.5%です。全業種では6.6%です。
情報通信業で給与が1,000万円超〜1,500万円以下の人は、平均勤続年数が19年です。情報通信業全体の11.9年より7年ほど長くなっています。
年収の中央値が1,000万円になったのは、PM(企画立案・プロジェクト管理)の部長以上だけでした。
この記事の目次(8) 1000万円を超える人は情報通信業で14.5%、全業種の約2.2倍 「年収1000万円超」の統計が数えているもの データで見る1000万円の層:平均の勤続が7年長い 転職で年収が上がるかを研究で見る 自分の年収で位置を測る表 よくある質問 次に読む 出典
年収の交渉で、自分が受け入れる年収の下限を決めておく記事: 年収の交渉をエージェントに任せる前に、「これ以下なら動かない」線を決める3つの数字
1000万円を超える人は情報通信業で14.5%、全業種の約2.2倍
国税庁の令和7年分の統計で数えると、情報通信業で1000万円を超える人は326,881人です。情報通信業で働く2,256,682人のうち14.5%にあたります。全業種の6.6%と比べると、14.5 ÷ 6.6 ≒ 2.2で、約2.2倍です。
男女に分けると、情報通信業の男性は18.5%(およそ5人に1人)、女性は5.3%です。一つ手前の900万円超〜1,000万円以下の人は、129,821人(5.8%)です。900万円を超える人まで広げると20.2%になります。計算の式は、下の「自分の年収で位置を測る表」の注にまとめています。
1000万円を超える人の割合
ただし、職種と役職で見ると届く道は狭くなります。厚生労働省の調査では、中央値で1,000万円に届いたのはPMの部長以上だけでした。論文では、転職で上がるかどうかは、移る元の会社の規模と関係がありました。
自分の年収が平均と比べてどうかを知りたい人向けの記事: エンジニアの年収の平均を令和7年の統計で計算した記事(ソフトウェア作成者は約578万円)
「年収1000万円超」の統計が数えているもの
国税庁の表が数えているのは、1年を通じて勤めた給与所得者です。給与所得者とは、会社などから給与をもらっている人のことです。年収がちょうど1,000万円の人は「1,000万円以下」に入ります。この記事の「超える人」には入りません。
情報通信業は、ITエンジニアだけの集まりではありません。14.5%は「ITエンジニアの割合」ではなく、IT企業を含む業種の割合です。
データで見る1000万円の層:平均の勤続が7年長い
1,000万円超〜1,500万円以下の人は、情報通信業の計より平均年齢が5.7歳上です。平均勤続年数は7.1年長くなっています。平均で見ると、1000万円の層は同じ会社に長く勤めている人が多い層です。表は平均だけで、転職の回数は数えていません。
1000万円の層と業種全体
職種と役職ごとの年収の中央値
厚生労働省の調査は、ITの仕事をする人に今年度の見込み年収を聞いています。中央値とは、低い順に並べてちょうど真ん中の人の額です。
職種と役職ごとの中央値
PMの部長以上では、真ん中の人がちょうど1,000万円です。下から4分の1の人でも800万円でした。設計・構築では、部長以上でも上から4分の1の人でようやく1,000万円です。
自分はどこを目指せば届くか(この調査の数字で)
企画立案・PMの部長以上: 真ん中の人で1,000万円に届きます
企画立案・PMのスキルレベル5以上: 上から4分の1の人で1,100万円です
設計・構築のまま: 部長以上は、上から4分の1で1,000万円です。スキルレベル5以上は、上から4分の1でも950万円です
設計・構築の人が届く道は2つです。PMの役職へ移るか、設計・構築のまま上から4分の1に入るかです。同じスキルの段で比べると、スキルレベル5以上の中央値は、設計・構築で700万円、PMで900万円です。同じ段でも、PMの方が200万円高くなっています。上から4分の1に入る人に共通する点は、この調査では出していません。報告書がまとめているのは、どの職種でもスキルレベルが高いほど賃金が高い傾向です。600万〜800万円の人が1000万円を目指して転職する時は、交渉の前に「これ以下なら動かない」線を決めておきます。決め方は、この記事 にまとめています。
スキルレベルは、IPA の「ITスキル標準」の段です。レベル5以上は「ハイレベルな高度IT人材のなかでも、上位に該当するレベル」、レベル4は「独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル」とされています。
報告書は「職種を問わず、ITスキルレベルが高くなると、賃金水準も高くなる傾向にあり」とまとめています。ただし回答者は男性が92.4%、45歳以上が約8割です。この調査の数字は、男性と45歳以上が中心です。
転職で年収が上がるかを研究で見る
研究を並べると、「転職すれば上がる」とは言えません。上がりやすい人と上がりにくい人は、次のとおりです。
上がりやすい: 中小の会社から移る技術職の人と、今の職場でスキルを使い切れていない人です(永沼2014・佐野ほか2022)
上がりにくい: 大企業からほかの会社へ移る人(永沼2014)
ITの業界へ移る人: ITを多く使う業界ほどIT専門職に高く払う、という米国の研究があります(Mithas・Krishnan 2008)
4つの研究の中身と、調べ方・対象・限界の表を見る
永沼(2014年)の研究では、技術職は、転職すると賃金が上がる傾向がありました。一方、大企業からほかの会社へ移ると、賃金の下がり幅が大きくなりました。
佐野ほか(2022年)では、ICTスキルが中程度以上の人は、賃金が約30%以上高めでした。スキルを持っていることより、ICTを使う仕事の高さのほうが賃金と関係していました。
MithasとKrishnan(2008年)の米国の研究では、企業はITの経験よりMBAを高く評価していました。ITを多く使う業界の企業ほど、IT専門職に高く払っていました。米国のデータです。
西村(2017年)では、勤め先が小さいほど、情報技術者の離職率が高くなっていました。離職した後の年収までは示していません。
| 研究 | 調べ方 | 対象と人数 | 分かったこと | 限界 |
|---|---|---|---|---|
| 永沼(2014年)日本銀行 | 観察(調査の個票の計量分析) | リクルートワークス研究所の調査(2006・2008・2010年)の技術職・専門職・管理職 | 技術職は転職後の賃金が高まる傾向。大企業から移ると低下が大きい | 学術誌の査読は経ていない。データが古い。ITエンジニアだけでなく技術職全体 |
| 佐野ほか(2022年)RIETI | 観察・相関(ネット調査の回帰分析) | 国内の25〜59歳の男女6,000人 | ICTスキル中程度以上で約30%以上の上乗せ。高いスキルを持つだけでは上乗せが大きくなるとは限らず、使う仕事の高さが賃金と関係。約16%の人は持っているスキルより低い水準でしか仕事で使っていない | スキルは自己申告。IT職に限らない。転職の前後を比べた研究ではない |
| Mithas・Krishnan(2008年) | 観察(給与データの計量分析) | 米国のIT専門職(要旨の言葉で、当時最大のIT専門職のデータ) | MBAをITの経験より高く評価。ITの業界ほど高く払う。ITのスキルは会社に固有のものだという見方に疑問 | 米国のデータで古い |
| 西村(2017年) | 観察(離職率の分析) | 情報技術者(データの出所と人数は要旨に書かれていない) | 勤め先が小さいほど離職率が高い | 要旨だけで読んだ |
| 厚生労働省の調査(令和6年3月) | 個人へのアンケート | 2,000データ | 中央値で1,000万円は企画立案・PMの部長以上 | 男性92.4%・45歳以上が約8割 |
4本の研究はどれも観察の研究で、原因と結果までは確かめられていません。
自分の年収で位置を測る表
使い方: 自分の年収が入る行を選び、情報通信業で自分より上にいる人の割合を見ます。
自分の年収
情報通信業で自分より上にいる人
全業種で自分より上にいる人
500万円超
1,450,834人・64.3%
37.7%
600万円超
1,128,110人・50.0%
25.8%
700万円超
847,568人・37.6%
18.0%
800万円超
629,117人・27.9%
12.6%
900万円超
456,702人・20.2%
9.0%
1,000万円超
326,881人・14.5%
6.6%
1,500万円超
75,237人・3.3%
1.9%
2,000万円超
25,718人・1.1%
0.7%
2,500万円超
13,008人・0.6%
0.4%
500万円超から900万円超の行は、国税庁の同じ表から足して計算しました(式は下の欄)。平均と比べた自分の位置は、エンジニアの年収の平均の記事 にあります。
表の計算の式を見る
- 式: 自分の階級より上の人数の合計 ÷ 2,256,682(情報通信業の計)
- 例: 1000万円を超える人は251,644 + 49,519 + 12,710 + 13,008 = 326,881人。326,881 ÷ 2,256,682 ≒ 14.5%
- 全業種の列の式: 同じ表の合計(全業種)の行で、自分の階級より上の人数の合計 ÷ 51,630,594(全業種の計)
- 例: 2,422,426 + 609,530 + 167,273 + 196,243 = 3,395,472人。3,395,472 ÷ 51,630,594 ≒ 6.6%
- 男女の割合の式: 情報通信業の女性で1000万円を超える人は28,295 + 5,912 + 1,434 + 745 = 36,386人で、36,386 ÷ 683,686 ≒ 5.3%。男性は (326,881 − 36,386) ÷ (2,256,682 − 683,686) = 290,495 ÷ 1,572,996 ≒ 18.5%
よくある質問
年収1000万円のITエンジニアは何%?
情報通信業で給与が1000万円を超える人は14.5%です。これは業種ごとの数なので、ITエンジニアだけの割合ではありません。
どの職種・役職なら1000万円に届きやすい?
中央値が1,000万円になったのは、PMの部長以上だけでした。設計・構築では、部長以上でも中央値は800万円です。
転職すれば年収は上がる?
研究では、技術職は転職後の賃金が上がる傾向と関係がありました。ただし、大企業から移ると賃金の下がり幅が大きくなります。スキルを使う仕事に就けるかも、賃金と関係がありました。
年収1000万円の税率と、紹介会社の手数料の決まりを見る
**年収1000万円の税率の区分を確かめる手順**
給与だけで1,000万円の人は、所得税の区分は最も高くても23%です。1000万円を超えても、税率が一気に上がるわけではありません。所得税は、超えた分だけに高い税率がかかる仕組みです。
給与所得控除とは、給与の収入から決まった額を差し引いて「給与所得」を出す仕組みです。国税庁のタックスアンサーでは、収入が850万円を超えると控除は上限の195万円になり、給与1,000万円なら給与所得は805万円です。所得税の33%の区分は課税所得が900万円からなので、給与所得の段階で805万円の人は届きません。
**使い方: 2の行に、自分の源泉徴収票の社会保険料と、自分が使える控除の額を入れます。**
| 手順 | 計算 | 給与1,000万円の例 |
|---|---|---|
| 1. 給与所得を出す | 収入 − 195万円(収入が850万円を超える場合) | 1,000万円 − 195万円 = 805万円 |
| 2. 課税所得を出す | 給与所得 − 社会保険料 − 基礎控除など | 805万円より小さくなる |
| 3. 23%の区分か確かめる | 課税所得が695万円〜899万9千円なら、所得税 = 課税所得 × 23% − 636,000円 | 区分は最も高くても23% |
| 4. 33%の区分か確かめる | 課税所得が900万円以上なら33%の区分 | 給与だけなら届かない |
**高い年収で紹介されるときに確かめる項目**
職業安定法では、紹介会社は求職者から手数料を取ってはならないのが原則です。ただし厚生労働省の職業紹介の手数料を説明した資料では、経営管理者・科学技術者・熟練技能者として就職し、年収が700万円を超える場合などに例外があります。科学技術者とは、職業安定法施行規則で、高度な科学的・専門的な知識と手段を使って研究をする人、または事業の技術的な事柄の企画・管理・指導などをする人とされています。
手数料の例外を確かめる
次に読む
出典 この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。
国税庁『民間給与実態統計調査 第9表 業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額』令和7年分. https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2025/excel/2025_09.xlsx (一覧: https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2025/minkan.htm )
厚生労働省『IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書』令和6年3月. https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf
永沼早央梨(2014)「高スキル労働者の転職行動」日本銀行ワーキングペーパーシリーズ. https://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2014/wp14j03.htm
佐野晋平・鶴光太郎・久米功一・安井健悟(2022)「スキルの保有と利用の実証分析:ICTスキルと英語スキルに着目して」RIETI ディスカッション・ペーパー 22-J-032. https://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/22j032.html
Mithas, S., Krishnan, M. S.(2008)"Human Capital and Institutional Effects in the Compensation of Information Technology Professionals in the United States" Management Science 54(3), 415-428. https://ideas.repec.org/a/inm/ormnsc/v54y2008i3p415-428.html
西村健(2017)「学歴と企業規模から見た情報技術者の労働市場―初職からの離職行動に着目して―」日本労務学会誌18(1), 44-65. DOI: 10.24592/jshrm.18.1_44
職業安定法 第32条の3 第2項. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000141
厚生労働省「第6 手数料」(職業安定法第32条の3と施行規則第20条の手数料を説明した資料). https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/001497513.pdf
職業安定法施行規則 第20条第2項(厚生労働省の改正資料). https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000535847.pdf
国税庁 タックスアンサーNo.1410(令和8年4月1日現在法令等)・No.2260.
この記事は、AIで下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。