エンジニアの年収の平均を令和7年の統計で計算。ソフトウェア作成者は約578万円

2026-10-20 公開・2026-10-21 更新
この記事の要点
- エンジニアの年収の平均は、ソフトウェア作成者で約578万円です。月の給与 390.8 千円×12+前の年の賞与 1,095.1 千円で計算しました(厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年 第1表・男女計・一般労働者)。
- 平均は、真ん中の人の値より高く出ます。ソフトウェア作成者の月の所定内給与は、平均 356.8 千円に対して中位数は 329.5 千円(平均の 92.3%)です。真ん中の半分の人は 273.7〜403.4 千円に入ります。
- 令和7年の月の所定内給与(男女計・一般労働者)で公式の表を並べると、ソフトウェア作成者と全労働者の差は平均では 16.2 千円(356.8−340.6)しかないのに、中位数では 32.9 千円(329.5−296.6)と 2 倍ほど(32.9÷16.2≒2.0)に広がるのは、調べて分かった意外な点です。
- 年収の目安は、会社の大きさで約518万円(10~99人)から約641万円(1,000人以上)まで違います。ただし中位数では、10~99人(328.3 千円)が 100~999人(317.9 千円)より高く、規模の順には並びません。
この記事の目次(9)
- 結論:エンジニアの平均の年収は「どの区分か」で約578万〜約889万円
- 「エンジニア」は統計のどの職種か、「年収」はどの欄を足した数か
- データで見る:平均・中位数・会社の大きさ
- 研究で分かっていること
- 自分の年収と比べる前にそろえる 4 点(計算の表と手順)
- 自分の額で計算する表
- よくある質問
- 次に読む
- 出典
自分の下限の線を先に決めたい人向けの記事: 年収の交渉をエージェントに任せる前に、「これ以下なら動かない」線を 3 つの数字で決める
結論:エンジニアの平均の年収は「どの区分か」で約578万〜約889万円
国の統計から計算すると、ソフトウェア作成者の年収の目安は約578万円、システムコンサルタント・設計者は約889万円です。統計の表に「年収」の欄はありません。どちらも「月の給与×12+前の年の賞与」で計算した値です。
平均は、真ん中の人の値より高く出ます。ソフトウェア作成者の月の所定内給与は、平均 356.8 千円に対して中位数 329.5 千円です。自分の年収と比べる前に、職種区分・会社の大きさ・残業代を含むかどうか・賞与の年の 4 点をそろえてください。
「エンジニア」は統計のどの職種か、「年収」はどの欄を足した数か
職種は 3 つの区分に分かれる
賃金構造基本統計調査は、IT のエンジニアを 3 つの職種に分けています。「システムコンサルタント・設計者」「ソフトウェア作成者」「その他の情報処理・通信技術者」です。プログラムを書く仕事が中心なら、ソフトウェア作成者の区分が近くなります。
この記事の数字は、どれも表の「男女計」「一般労働者」の区分の値です。ソフトウェア作成者の区分にいる人は 81,786 十人、つまり 817,860 人です。
「所定内給与額」と「きまって支給する現金給与額」の違い
「きまって支給する現金給与額」は、6月分として支給された給与のうち、決まった条件で払われる額です。残業代などの超過労働給与額を含みます。「所定内給与額」は、そこから超過労働給与額を差し引いた額です。
厚労省の定義では、所定内給与額は「6月分として支給された現金給与額(きまって支給する現金給与額)のうち、超過労働給与額(…)を差し引いた額で、所得税等を控除する前の額」です。つまり、どちらも税金を引く前の額です。
月の給与と賞与は、違う年の分
月の給与は 2025年6月分で、賞与は 2024年1月〜12月の 1 年分です。年収の目安は、この 2 つを足した計算になります。そのため、1 年分の給与の明細とは時期がずれます。
会社の大きさは 3 つ
統計の会社の大きさは、働く人の数で分けています。1,000人以上が「大企業」、100~999人が「中企業」、10~99人が「小企業」です。「企業規模計」は、10人以上の会社すべてを合わせた値です。
データで見る:平均・中位数・会社の大きさ
職種別の年収の目安
ソフトウェア作成者の年収の目安は、390.8×12+1,095.1=5,784.7 千円で、約578万円です。システムコンサルタント・設計者は、542.1×12+2,385.2=8,890.4 千円で、約889万円です。差は月の給与だけでなく、賞与にも大きく出ています(1,095.1 千円と 2,385.2 千円、同)。
職種別の年収の目安
月の所定内給与の中位数は、システムコンサルタント・設計者が 445.5 千円、ソフトウェア作成者が 329.5 千円、その他の情報処理・通信技術者が 339.8 千円です。
会社の大きさ別(ソフトウェア作成者)
ソフトウェア作成者の年収の目安は、10~99人で 5,182.3 千円、100~999人で 5,549.9 千円、1,000人以上で 6,409.1 千円です(厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年 第1表から計算)。平均で見ると、規模が大きいほど高くなります。賞与も 855.1 → 950.3 → 1,385.9 千円と同じ順に増えます。
ところが、月の所定内給与の中位数は 328.3/317.9/337.6 千円です。10~99人の値が、100~999人の値より高くなっています。中位数とは、給与の低い順に並べたときに真ん中に来る人の値のことです。
会社の大きさ別の給与
平均と中位数・分布
ソフトウェア作成者の月の所定内給与は、平均 356.8 千円、中位数 329.5 千円です。全労働者(一般労働者・男女計)は、平均 340.6 千円、中位数 296.6 千円です。
全労働者との差は、平均では 356.8−340.6=16.2 千円です。中位数では 329.5−296.6=32.9 千円で、平均の差の 2 倍ほどになります(計算: 同調査 第17表・付表3)。
平均と中位数の比べ
ソフトウェア作成者の分布は、第1・十分位 243.4、第1・四分位 273.7、中位数 329.5、第3・四分位 403.4、第9・十分位 508.8 千円です。第1・十分位は下から 10 分の 1 の位置の人の値で、第1・四分位は下から 4 分の 1 の位置の人の値です。第3・四分位と第1・四分位の差は 403.4−273.7=129.7 千円で、真ん中の半分の人がこの幅に入ります(計算: 同)。
研究で分かっていること
会社の大きさと賃金
瀬戸(2022年)が、OECD の国際成人力調査(PIAAC)のデータを分析した観察の研究(相関を見たもの)では、仕事の質・雇用形態・職業をそろえても、企業規模は賃金と関係がありました。原文は「企業規模が独自に賃金を規定しており」です。職業をまたいだ分析で、エンジニアだけの結果ではありません。
西村(2017年)が ICT エンジニアの初職からの離職を分析した観察の研究(相関を見たもの)では、2000年代でも、企業規模は初めの職場にとどまる度合いと関係がありました。2000年以降にエンジニアになった人では、学歴との関係は当てはまらないようだった、と書かれています。この研究が見ているのは離職で、賃金を直接分析したものではありません。
転職と年収
中澤(2002年)が九州の情報サービス業の情報技術者を調べた研究では、九州の中での転職は、年収との関係が小さいものでした。九州の外から転職してきた人は、年収がやや低い傾向がありました。2001年に九州だけを対象にした調査で、個人票の回収率は 12.2% です。
萩原・照山(2016年)が首都圏で働く60歳未満の男性の転職経験者(4,220名)を対象に賃金関数を推定した観察の研究(相関を見たもの)では、どの転職理由でも、40代より前なら、転職した年齢によって転職直後の年収の増減率は変わりませんでした。若いうちに転職した人ほど、長い目で見た年収の増加分が多い(または減少分が少ない)関係がありました。これはリクルートワークス研究所のディスカッションペーパーです。
食い違う点
会社の大きさでは、瀬戸(2022年)も、企業規模が賃金と関係するという結果です。一方で、ソフトウェア作成者の中位数は 10~99人が 100~999人より高く、規模の順には並びません。転職と年収は、中澤(2002年)と萩原・照山(2016年)の結果から、上がるとも下がるとも一方向には言えません。
自分の年収と比べる前にそろえる 4 点(計算の表と手順)
表A:年収の目安の計算
条件: 男女計・一般労働者。2025年6月分の「きまって支給する現金給与額」(残業代を含む)×12+2024年1〜12月の「年間賞与その他特別給与額」。税金を引く前の額です。
| 区分 |
式(千円) |
合計 |
万円にすると |
| ソフトウェア作成者・企業規模計 |
390.8×12+1,095.1 |
5,784.7 千円 |
約578万円 |
| ソフトウェア作成者・1,000人以上 |
418.6×12+1,385.9 |
6,409.1 千円 |
約641万円 |
| ソフトウェア作成者・100~999人 |
383.3×12+950.3 |
5,549.9 千円 |
約555万円 |
| ソフトウェア作成者・10~99人 |
360.6×12+855.1 |
5,182.3 千円 |
約518万円 |
| システムコンサルタント・設計者・企業規模計 |
542.1×12+2,385.2 |
8,890.4 千円 |
約889万円 |
自分の年収も、同じ式で計算すると比べやすくなります。6月の給与(残業代を含む、税引き前)を 12 倍し、前の年 1 年分の賞与を足してください。
表B:平均と中位数の差(ソフトウェア作成者・月の所定内給与)
条件: 男女計・一般労働者・2025年6月分・残業代を含まない。
| 会社の大きさ |
平均(千円) |
中位数(千円) |
式 |
差 |
| 企業規模計 |
356.8 |
329.5 |
356.8−329.5 |
27.3 千円 |
| 1,000人以上 |
370.4 |
337.6 |
370.4−337.6 |
32.8 千円 |
| 100~999人 |
350.7 |
317.9 |
350.7−317.9 |
32.8 千円 |
| 10~99人 |
344.8 |
328.3 |
344.8−328.3 |
16.5 千円 |
どの大きさでも、中位数は平均より低くなっています。10~99人は差が 16.5 千円で、1,000人以上・100~999人(どちらも 32.8 千円)の半分ほどです(16.5÷32.8≒0.50、同)。
表C:そろえる 4 点の手順
| 順 |
そろえる点 |
統計での中身(厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況』ほか) |
| 1 |
職種区分 |
3 つの区分から、自分の仕事に近い物を選ぶ |
| 2 |
会社の大きさ |
大企業 1,000人以上・中企業 100~999人・小企業 10~99人 |
| 3 |
残業代を含むか |
所定内給与額は残業代などを差し引いた額。きまって支給する現金給与額は含む額 |
| 4 |
賞与の年 |
月の給与は 2025年6月分、賞与は 2024年1〜12月の 1 年分 |
比べる前にそろえる手順
自分の額で計算する表
使い方: 自分の6月分の給与の明細と前の年の賞与の額を右の欄に入れて、上から順に確かめます。
| 順 |
入れる数 |
式 |
自分の数字 |
| 1 |
6月分の給与(残業代を含む・税引き前) |
A |
|
| 2 |
1 の額を 12 倍した額 |
A×12 |
|
| 3 |
前の年 1〜12月の賞与の合計(税引き前) |
B |
|
| 4 |
年収の目安 |
A×12+B |
|
| 5 |
比べる統計の値(同じ職種区分・会社の大きさの行) |
表Aから選ぶ |
|
式: 年収の目安=6月分の給与(残業代を含む)×12+前の年の賞与
例: ソフトウェア作成者・企業規模計の値なら 390.8 千円 × 12 = 4,689.6 千円で、賞与 1,095.1 千円を足すと 4,689.6+1,095.1=5,784.7 千円(約578万円)です。
よくある質問
職種でどれだけ違う?
年収の目安は、システムコンサルタント・設計者が約889万円、ソフトウェア作成者が約578万円です(厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年 第1表から計算)。月の所定内給与の中位数は、システムコンサルタント・設計者 445.5 千円、ソフトウェア作成者 329.5 千円、その他の情報処理・通信技術者 339.8 千円です。
年収診断の結果は、統計とどう比べればいい?
統計の年収の目安は、「6月の月給(残業代を含む)×12+前の年の賞与」で計算した値です。診断の結果が、残業代や賞与を含む数なのかを先に確かめてください。そのうえで、表Cの 4 点をそろえて比べます。
会社の大きさでどれだけ違う?
ソフトウェア作成者の年収の目安は、10~99人 5,182.3 千円、100~999人 5,549.9 千円、1,000人以上 6,409.1 千円です(同調査 第1表から計算)。ただし月の所定内給与の中位数は 328.3/317.9/337.6 千円で、規模の順には並びません。瀬戸(2022年)の研究も、企業規模と賃金の関係を見た観察の研究で、エンジニアだけを対象にしたものではありません。
転職すると年収は上がる?
研究の結果からは、一方向には言えません。中澤(2002年)の九州の調査では、九州の中での転職と年収との関係は小さいものでした。萩原・照山(2016年)では、どの転職理由でも、40代より前なら転職した年齢によって転職直後の年収の増減率は変わらず、若いうちの転職ほど長期の増加分が多い(または減少分が少ない)関係がありました。
エージェントに紹介された求人の年収は、統計とどう比べる?
職業紹介事業者は、求職者に「その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と決められています。明示された賃金を、所定内の給与・残業代・賞与に分けて書き出してください。そのうえで表Cの 4 点をそろえ、表Aと同じ式で計算すると、統計と並べられます。
この記事で使った第1表・第17表は経験年数で分けていないため、未経験の人の給与はこの表からは分かりません。参考にできるのは分布の下の側で、ソフトウェア作成者の第1・十分位は 243.4 千円、第1・四分位は 273.7 千円です。
次に読む
このサイトで次に調べる候補: エンジニア 年収 平均 経験年数別(経験の年数ごとに、自分の年収を統計と比べたい人向け)
出典
この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。
- 厚生労働省『賃金構造基本統計調査』(職種)第1表「職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」令和7年. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421116&fileKind=4
- 厚生労働省『賃金構造基本統計調査』(職種)第17表「職種(小分類)、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(産業計)」令和7年. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421132&fileKind=4
- 厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況』(付表3・用語の定義)令和7年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/dl/14.pdf
- 職業安定法 第五条の三 第1項. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000141
- 西村 健(2017)「学歴と企業規模から見た情報技術者の労働市場―初職からの離職行動に着目して―」日本労務学会誌 18(1). https://doi.org/10.24592/jshrm.18.1_44
- 中澤 高志(2002)「九州における情報技術者の職業キャリアと労働市場」地理学評論 75(14). https://doi.org/10.4157/grj.75.14_837
- 瀬戸 健太郎(2022)「企業規模は仕事の質と賃金の配分をどのように規定するのか」社会学評論 73(3). https://doi.org/10.4057/jsr.73.230
- 萩原 牧子・照山 博司(2016)「転職が賃金に与える短期的・長期的効果」Works Discussion Paper. https://doi.org/10.34391/works.16.0_1
この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。