エンジニア未経験の転職サイト選び。IT以外の職から移って賃金が上がった人は49%、IT職どうしの58%より低い

2026-10-22 公開・2026-10-23 更新
この記事の要点
- エンジニア未経験で転職サイトや転職エージェントを使うとき、エージェント(職業紹介の会社)は原則として求職者から手数料を取りません。紹介会社の手数料収入は、常用の就職1件あたり平均で約103万円です。
- IT以外の職種からIT職に移った人で、賃金が上がったのは49%でした。IT職どうしの転職の58%より低く、残りの51%(変わらない30%+下がった21%)は変わらないか下がっています。
- 申し込む前に、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で各社の「6か月以内に辞めた人数」と返戻金制度を見ると、エージェントどうしを同じものさしで比べられます。
この記事の目次(8)
- 結論:求職者は原則払わず、賃金が上がるのは半分に届かない
- 転職エージェントの仕組み:求職者からは原則として取らない
- 統計で見る:未経験からIT職に移った人の実際
- 研究で分かっていること
- 申し込む前に自分で書く比べ表
- よくある質問
- 次に読む
- 出典
賃金が上がるのは半分に届かないと分かったら、「いくらなら受けるか」の線はこちらで決められます: 年収の交渉をエージェントに任せる前に、「これ以下なら動かない」線を決める3つの数字
結論:求職者は原則払わず、賃金が上がるのは半分に届かない
転職エージェントは、原則として求職者から手数料を取りません。紹介会社の手数料収入は、常用の就職1件あたり平均で約103万円です。
出典: 厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』令和6年度(2026-10-22 撮影)
厚生労働省の調査で「IT以外の職種からIT職種に移った人」を見ると、賃金が上がったのは49%でした。IT職に移れば上がるという印象とは違い、半分に届かなかったのは、公式の報告書を読んで分かった意外な点です。
出典: 厚生労働省『IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書』令和6年3月(2026-10-22 撮影)
転職で賃金が上がった人の割合
参考の40.5%は、調べ方も対象も違う別の調査の数字です。並べて見る目安で、そのまま差を比べる物ではありません。
IT以外の職からIT職に移った人が10人いたとすると、賃金が上がるのは約5人です(10人×49%)。だからこそ、申し込む前に「これ以下なら受けない」年収の線と、比べる項目を決めておくことが役に立ちます。
転職エージェントの仕組み:求職者からは原則として取らない
有料の職業紹介の会社は、原則として求職者から手数料を取りません。省令に例外があります。この記事でいう転職エージェントは、この「有料の職業紹介」のことです。
お金の流れ
公式の集計で確かめると、令和6年度の紹介会社の手数料収入は約9,835億円で、前の年度より17.6%増えました。有料の紹介で常用の仕事に就いた件数は888,993件です。1件あたりの手数料は約103万円で、こちらも前の年度より10.9%増えています。
紹介会社の手数料(令和6年度)
紹介会社は、紹介で無期雇用(期間の決まりのない雇用)に就いた人数と、そのうち6か月以内に辞めた人数を、人材サービス総合サイトに載せます。数字は2018年度に就職した人から載っています。返戻金制度(紹介した人が短い期間で辞めたとき、会社に手数料を返す仕組み)の有無と内容も、同じサイトに載る項目です。
統計で見る:未経験からIT職に移った人の実際
5年以内にIT職へ転職した342人のうち、22%はIT以外の職種から移った人でした。厚生労働省のこの調査は、2023年9月に2,000人へインターネットで聞いた物です。
その22%の人のうち、転職前に情報通信業以外の業種で働いていた人が62%でした。
令和6年度の紹介会社への新規の申し込み件数(有料と無料の合計)に対して、常用の仕事に決まった件数はおよそ1.66%でした(計算: (888,993+31,242)÷(55,250,115+198,961)=920,235÷55,449,076)。ただし同じ人が何社にも申し込むと重ねて数えられるので、1人あたりの決まる割合ではありません。
研究で分かっていること
樋口・児玉・阿部(2004年)の研究では、公共職業安定所(ハローワーク)を使った人と比べて、民営の職業紹介所を使った人のほうが、転職での賃金の変化が大きいという関係がありました。求職意欲など外から見えない性質で、使う人に偏りがある可能性を著者自身が書いており、「エージェントを使えば賃金が上がる」とまでは言えません。
貴島・高野・当麻(2021年)の研究では、情報通信業と製造業で働くITエンジニアの年収に、大きな差はありませんでした。IT企業以外の社内のIT職を考える人には参考になりやすく、未経験から転職する人を調べた研究ではない点には注意が要ります。
Thayer と Ko(2017年)の研究では、短期の集中講座は3〜6か月でも、職を変えるまでに1年以上かかった受講生がいました。講座の前後を通して、時間・お金・労力の負担が大きかったと語られています。
研究の読み方
| 研究 |
調べ方 |
対象と人数 |
分かったこと |
限界 |
| 樋口・児玉・阿部(2004年) |
政府統計の個票を使った観察の研究 |
日本・米国・欧州の転職者(日本は2000年ごろのデータ) |
民営の職業紹介所を使った人は、賃金の変化が大きい関係があった。日本でのみ、自分の意思でなく辞めた人の賃金低下がはっきりしていた |
データが古い。ディスカッション・ペーパー。使う人の性質に偏りがある可能性 |
| 貴島・高野・当麻(2021年) |
調査による比較の研究 |
情報通信業と製造業のITエンジニア(人数は要旨に無い) |
2つの業種で年収に大きな差はなかった |
学会の予稿。原因と結果までは分からない。未経験の人は対象外 |
| Thayer と Ko(2017年) |
面接調査 |
米国の短期集中講座の受講生26人 |
職を変えるまで1年以上かかった人がいた |
人数が少ない。米国の話で、日本にそのまま当てはめられない |
申し込む前に自分で書く比べ表
使い方: 気になる紹介会社ごとに1列ずつ用意し、人材サービス総合サイトと各社の案内で確かめた事を書き込みます。
| 確かめる項目 |
書き方 |
A社 |
B社 |
| 6か月以内に辞めた人の割合 |
6か月以内に辞めた人数 ÷ 紹介で無期雇用に就いた人数 ×100 |
_% |
_% |
| 返戻金制度 |
有・無と内容 |
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| 求職者に料金を求めていないか |
はい・いいえ |
|
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| 就職後2年間は転職を勧めない決まりを守っているか |
はい・いいえ |
|
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| 自分の年収の下限 |
今の年収__万円 →「これ以下なら受けない」__万円 |
|
|
式の例: サイトに載った数字が「無期雇用に就いた人B人、そのうち6か月以内に辞めた人A人」なら、割合は A ÷ B ×100 で出せます。年収の下限は、IT以外の職からIT職に移った人を100人とすると上がったのは49人、変わらないか下がったのは51人、という数字を前に置いて決めます。
申し込む前に確かめる5点
よくある質問
転職エージェントに料金を払う場面はありますか?
原則としてありません。省令に例外があります。
エージェント経由で入社したあと、すぐ別の転職を勧められることはありますか?
紹介で無期雇用に就いた人には、就職した日から2年間は転職を勧めてはいけない決まりです。令和3年4月1日から始まっています。
未経験なら、学び直しはしておくべきですか?
IT以外の職からIT職に移った人では、リスキリング(学び直し)をした人が42%で、IT職どうしの転職の33%より多くいました。ただしこれは割合で、学び直しで賃金が上がるかまでは示していません。
年齢が高いと、賃金は上がりにくいですか?
同じ厚生労働省の調査では、若いほど賃金は上がりやすいものの、40〜54歳でも約半数は上がっていました。
次に読む
賃金が上がるのは半分に届かないと分かったら、次は「いくらなら受けるか」を数字で決める番です。
出典
この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。
- 厚生労働省『IT・デジタル人材の労働市場に関する研究調査事業 調査報告書』令和6年3月. https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001244078.pdf
- 厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』令和6年度. https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001683019.pdf
- 厚生労働省『令和6年雇用動向調査結果の概況』令和6年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/dl/gaikyou.pdf
- 職業安定法(第32条の3第2項). https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000141
- 厚生労働省 職業安定法に基づく指針の一部改正のリーフレット(令和3年4月1日から). https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001603370.pdf
- 樋口美雄・児玉俊洋・阿部正浩(2004)「入職経路の日米欧比較分析」RIETI Discussion Paper Series 04-J-036. https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/04j036.pdf
- 貴島文緒・高野研一・当麻哲哉(2021)「情報通信業と製造業で働くITエンジニアの転職希望意識について」国際P2M学会研究発表大会予稿集 2021 春季. https://doi.org/10.20702/iappmproc.2021.Spring.0_77
- Kyle Thayer, Amy J. Ko(2017)"Barriers Faced by Coding Bootcamp Students" ICER '17. https://doi.org/10.1145/3105726.3106176
この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。