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ideco口座変更のデメリット|加入者約406万人の制度で起きる現金化と費用

ideco口座変更のデメリット|加入者約406万人の制度で起きる現金化と費用
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • ideco の口座変更(運営管理機関の変更)のデメリットは主に 2 つです。1 つは、年金資産を一度現金化するので、その費用がかかり、商品によっては元本割れの可能性があることです。もう 1 つは移換時手数料で、1 社の例では 4,400円です。
  • 移換時手数料 4,400円を取り戻すまでの月数は、運営管理手数料の毎月の差が 100円なら 44 か月、300円なら約 14.7 か月です(差は仮の値、自前の計算)。連合会の手数料はどの会社でも同じなので、この差には入りません。
  • 個人型年金規約 第142条に並ぶ連合会の手数料の 4 つの号には運営管理機関の変更の項目が無く、iDeCo の口座変更でかかる 4,400円は今の会社の移換時手数料(1 社の例)だというのは、調べて分かった意外な点です。
  • 「口座変更」と呼ばれる手続きは 2 つあります。運営管理機関を変えるのは「K-004」、掛金の引落口座を変えるのは「K-006」などです。公式の表の同じ欄には、第2号被保険者用の「K-032」と、預金口座振替依頼書などの「K-007A」も並びます。
この記事の目次(8)
  1. 結論:口座変更で失うもの・かかるもの
  2. 仕組み:「口座変更」は 2 つの手続き
  3. データで見る:iDeCo の加入者・運用指図者・自動移換者
  4. 研究で分かっていること:手続き漏れ・乗り換えの費用・乗り換える人
  5. 取り戻すまでの月数の表と、公式の原文の整理
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

松井証券のiDeCoの手数料表を、公式の数字のまま読んだ記事: 運営管理手数料 0円と、加入者の毎月の合計 171円の中身(171円は、2027年1月の改定前の連合会の手数料 105円で計算された数字です)

結論:口座変更で失うもの・かかるもの

運営管理機関とは、iDeCo の口座を管理し、運用する商品を並べる金融機関のことです。この機関を変える時の注意について、K-004 の記入例には「運営管理機関の変更は、年金資産を一度現金化する必要があるため、運用商品の現金化に伴うコスト等がかかり、商品によっては元本割れの可能性もあります。」と書かれています。

もう 1 つの費用は移換時手数料です。移換時手数料とは、今の金融機関から別の金融機関へ資産を移す時に払う手数料のことで、1 社の例では 4,400円です。この費用を何か月で取り戻せるかは、下の「取り戻すまでの月数の表」にまとめました。

松井証券「iDeCo 手数料」の「移換時手数料(税込)」の切り抜き。松井証券の4,400の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 松井証券「iDeCo 手数料」(2026-10-21 撮影)

掛金を引き落とす銀行口座を変えたいだけなら、届書は別の物(K-006 など。同じ欄に K-032 と K-007A も並びます)になります。まず、自分が変えたいのはどちらなのかを確かめるところから始まります。

仕組み:「口座変更」は 2 つの手続き

運営管理機関を選ぶことと変えることは、法律に書かれています。確定拠出年金法 第65条の原文は「個人型年金加入者等は、厚生労働省令で定めるところにより、自己に係る運営管理業務を行う確定拠出年金運営管理機関を指定し、又はその指定を変更するものとする。」です。

国民年金基金連合会は、iDeCo を実施している機関です。手続きの出し先は、個人型年金規約 第47条に「加入者等は、指定運営管理機関を変更するときは、次の各号に掲げる事項を記載した届出書を連合会に提出するものとする。」と書かれています。

一方で、iDeCo公式の届書の表では、「口座変更」と呼ばれそうな手続きが 2 つに分かれています。

運営管理機関を変える時はK-004、掛金の引落口座や金融機関を変える時はK-006などを使うことを並べた図
口座変更の2つの手続きと届書

「一度現金化する必要がある」と書かれているのは、K-004 の記入例です。デメリットを調べる時は、K-004 の手続きの話なのかを先に確かめます。

データで見る:iDeCo の加入者・運用指図者・自動移換者

2026年8月末の加入者は 4,061,606 人でした。運用指図者は 1,193,405 人です。運用指図者とは、掛金は出さずに、持っている資産の運用だけを続けている人のことです。

自動移換者は 1,492,652 人でした。自動移換者とは、企業型 DC(会社の確定拠出年金)のある会社を辞めた人が移す手続きをしないまま、資産が連合会に移された人のことです。この人数は、資産なしの人(記録だけを管理している人)も含みます。参考として、2026年3月末の自動移換者のうち、資産なしの人は 43.9% でした。

自動移換は、企業型 DC を辞めた人の手続き漏れで起きます。iDeCo の運営管理機関を自分で変える手続きとは別のものです。

加入者は、2024年3月末の 3,284,971 人から、2026年3月末に 3,928,278 人、2026年8月末に 4,061,606 人になりました。4,061,606 ÷ 3,284,971 で計算すると、約 1.24 倍です。毎月同じ額を出している加入者の平均掛金額は 16,626円でした。

2026年8月末の加入者・運用指図者・自動移換者の人数と、2024年3月末からの加入者の推移を示した図
iDeCoの人数の推移

研究で分かっていること:手続き漏れ・乗り換えの費用・乗り換える人

津田(2022 年)は、日本の確定拠出年金の統計を整理して、自動移換の問題を考えました。この研究では、自動移換のデメリットとして「①運用されない資産になる、②自動移換は加入期間に算入されず受給時期が遅くなる、③受給年齢になってもすぐには受け取れない、④手数料だけが引かれ続けて資産が目減りする」などが挙げられています。扱っているのは企業型 DC から連合会に移される場合で、iDeCo の人が自分で運営管理機関を変える手続きとは別です。

同じ研究は、2021年3月末の自動移換者を 99.5 万人としています。この数字は論文が引いたもので、2021年3月末の時点のものです。著者は野村證券の確定拠出年金部の人です。

Luco(2019 年)は、民間の年金制度の加入者の就業状態の違いを使って、乗り換えの費用を推定しました。要旨によれば、乗り換えの費用には「金融の情報を評価する費用」と「乗り換える時の手続きの費用」の 2 つがあり、どちらか 1 つを無くしても、手数料は大きく下がると推定されました。これは市場全体の手数料の話で、一人が乗り換えた時の損得を示したものではありません。制度も日本の iDeCo とは違います。

Cziriak ほか(2025 年)は、チリの義務の確定拠出年金の加入者を調べました。要旨によれば、乗り換えの費用がない制度でも、乗り換える人は少なかったそうです。また、金融リテラシー(お金の知識)が高い人ほど乗り換えて手数料を抑える関係がありました。

ただし、この研究は相関を見たもので、知識が乗り換えの原因だとまでは言えません。学術誌に載る前のワーキングペーパーです。チリには乗り換えの費用がなく、手数料と現金化がある iDeCo とは条件が違います。

Gutierrez ほか(2024 年)は、チリとペルーの約 1,000 万人分の年金口座の記録を調べました。要旨によれば、運営会社の乗り換えは運用成績に反応し、年々増える関係がありました。同じリスクとリターンの商品の種類の中でも、同じ形が見られたそうです。要旨は、乗り換えた人が得をしたか損をしたかには触れていません。学術誌に載る前のディスカッションペーパーです。

2 つの研究は、見ている点が違います。Cziriak ほかは乗り換える人の少なさを、Gutierrez ほかは乗り換えが運用成績に反応することと、年々増えていることを書いています。Cziriak ほかはチリの義務の制度、Gutierrez ほかはチリとペルーの確定拠出年金を調べた研究で、日本の iDeCo の乗り換え率を示すものではありません。

取り戻すまでの月数の表と、公式の原文の整理

表A:移換時手数料 4,400円を取り戻すまでの月数(自前の計算)

読む人の条件: 今の会社の移換時手数料が 4,400円(松井証券の手数料表の、1 社の例)。移った先の移換時手数料は 0円とします。運営管理手数料の毎月の差は仮の値です。

式: 取り戻すまでの月数 = 移換時手数料 4,400円 ÷ 運営管理手数料の毎月の差

毎月の差(仮の値) 取り戻すまで 確かめの計算(差 × 月数)
100円 44 か月 100円 × 44 = 4,400円
200円 22 か月 200円 × 22 = 4,400円
300円 約 14.7 か月 300円 × 14.7 ≒ 4,400円
500円 8.8 か月 500円 × 8.8 = 4,400円
移換時手数料4,400円を毎月の手数料の差100円・200円・300円・500円で割った月数を示した図
4,400円を取り戻す月数

連合会の手数料はどの会社でも同じなので、この差には入りません。規約 第142条に並ぶ 4 つの号には、運営管理機関の変更の項目はありません。

この表には、現金化している間の相場の動きは入っていません。その間に相場が上がれば、上がった分は資産に入りません。下がれば、下がった分は資産から減りません。

取り戻すまでの月数は、変えるかどうかを決める材料の 1 つです。K-004 の記入例にある、現金化に伴うコストと元本割れの可能性も、あわせて比べます。

表B:2027年からの連合会の手数料の改定

資料 原文 時点
個人型年金規約 第142条 第2号(改正後) 「120円に当該拠出に係る拠出期間の月数を乗じて得た額」 附則:「令和9年1月1日から施行する」
野村證券のお知らせ(2026年5月12日) 「iDeCo加入者の掛金拠出時にかかる手数料が、月額105円から120円に変更となります。」 「令和9年(2027年)1月26日の口座引落し分の掛金(令和8年12月分)から適用」

毎月掛金を出す場合、連合会の手数料は月 120円になります。規約の施行日と、野村證券が書いた引落しの日は、それぞれの資料の書き方のまま並べました。これは全社共通の改定なので、会社ごとの差には効きません。

運営管理機関を変える前に確かめる5つの点を並べた図
変える前に確かめる点

よくある質問

「口座変更」はどちらの手続きですか?

iDeCo公式の届書の表では、2 つに分かれています。運営管理機関を変える時は「加入者等運営管理機関変更届(K-004)」、掛金の引落口座や金融機関を変える時は「加入者掛金引落機関変更届(K-006)」などです。引落口座の欄には「加入者登録情報変更届(第2号被保険者用)(K-032)」と「預金口座振替依頼書・自動払込利用申込書(K-007A)」も並んでいます。この表は手続きの例で、実際に手続きをする時は選んだ運営管理機関に問い合わせるよう書かれています。

移換時手数料は何か月で取り戻せますか?

移換時手数料が 4,400円(1 社の例)で、移った先の移換時手数料が 0円とします。毎月の差が 100円なら 44 か月、200円なら 22 か月、300円なら約 14.7 か月、500円なら 8.8 か月です。差は仮の値なので、自分の会社と移る先の手数料表で差を出して、4,400円をその差で割ります。

連合会の手数料は会社によって違いますか?

違いません。連合会が取る手数料は個人型年金規約 第142条で決まっていて、どの会社でも同じです。

2027年1月から連合会の手数料はどう変わりますか?

掛金を出す時の手数料が、月 105円から 120円に変わります。規約の附則では令和9年1月1日から施行、野村證券のお知らせでは 2027年1月26日の口座引落し分(令和8年12月分)から適用とされています。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: ideco 口座管理手数料 いくら(今の会社と移る先の毎月の手数料の差を出したい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 津田弘美(2022)「確定拠出年金制度の自動移換問題」日本年金学会誌 41. https://www.jstage.jst.go.jp/article/nenkingakkaishi/41/0/41_41/_article/-char/ja
  2. Fernando Luco(2019)「Switching Costs and Competition in Retirement Investment」American Economic Journal: Microeconomics 11(2). https://www.aeaweb.org/articles?id=10.1257/mic.20160332
  3. Cziriak, Padula, Bello(2025)「Fee-ling Stuck? Provider Choice in a Mandatory Defined Contribution Pension System」ヴェネツィア・カフォスカリ大学経済学部 ワーキングペーパー(ZEW のページに掲載). https://www.zew.de/PU95873-1
  4. Gutierrez, Ivashina, Salomao(2024)「Performance Capital Flows in DC Pensions」CEPR Discussion Paper 19286. https://ideas.repec.org/p/cpr/ceprdp/19286.html
  5. 国民年金基金連合会『iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入等の概況(2026年8月)』2026年. https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/join_overview_R0808.pdf
  6. 国民年金基金連合会『iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について』2026年. https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/number_of_members_R0808.pdf
  7. 確定拠出年金法 第二条・第六十五条(e-Gov 法令). https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/413AC0000000088
  8. 国民年金基金連合会「加入者等運営管理機関変更届(K-004)記入例」. https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/k-004_sample.pdf
  9. 国民年金基金連合会「個人型年金規約」(2026-10-20 閲覧). https://www.ideco-koushiki.jp/library/pdf/GA-001.pdf
  10. iDeCo公式「加入者・運用指図者の方へ」(届書の表). https://www.ideco-koushiki.jp/join/
  11. 野村證券「令和9年(2027年)1月の掛金引落しから適用 iDeCo加入者に係る手数料を見直します」(2026年5月12日). https://dc.nomura.co.jp/info/000141.html
  12. 松井証券「iDeCo 手数料」. https://www.matsui.co.jp/ideco/fee/

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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