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任天堂の年収約982万円はゲームプログラマーの年収か。有報と賃金統計で確かめる

任天堂の年収約982万円はゲームプログラマーの年収か。有報と賃金統計で確かめる
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 任天堂の有価証券報告書にある年収約982万円は、全職種の社員の平均年間給与です。ゲームプログラマーだけの年収ではありません(任天堂 第86期 有価証券報告書。単体3,084人・平均40.5歳・税込で基準外賃金と賞与を含む)。
  • 公的な統計の「ソフトウェア作成者」で年収の目安を計算すると、1,000人以上の会社で約640.9万円、10〜99人の会社で約518.2万円でした(自前の計算。元の数字は厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年・産業計)。
  • 公式の書類で確かめると、年収約982万円はグループ全体の8,666人ではなく任天堂単体の3,084人の全職種の平均で、有報には職種別の給与が載っていないので、ゲームプログラマーだけの年収はこの書類からは出せないのは、調べて分かった意外な点です。
  • 比べるときは、年齢・職種・残業の時間をそろえます。1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円です。転職エージェントの手数料は、原則として求職者からは取りません(職業安定法 第32条の3 第2項。ただし書きあり)。
この記事の目次(9)
  1. 結論:約982万円は全社員の平均で、プログラマーの数字ではない
  2. 有価証券報告書と賃金統計の言葉の意味
  3. データで見るソフトウェア作成者の給与と、全体の平均
  4. 研究で分かっていること
  5. 会社の規模別に計算した年収の目安と、任天堂の数字の並べ方
  6. 自分の求人票で計算する表
  7. よくある質問
  8. 次に読む
  9. 出典

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結論:約982万円は全社員の平均で、プログラマーの数字ではない

任天堂の平均年間給与は9,824,708円です。これは職種を分けない全社員の平均で、平均年齢40.5歳・平均勤続14.6年の数字です。有価証券報告書には、プログラマーだけの平均は載っていません。

公的な統計で近い職種を見ると、ソフトウェア作成者の年収の目安は、1,000人以上の会社で約640.9万円です(自前の計算。元の数字は厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年)。単純に割ると約1.53倍になります。ただし、年齢(40.5歳と37.6歳)も職種の範囲も違うので、そのまま比べられる数字ではありません。

有価証券報告書と賃金統計の言葉の意味

有価証券報告書とは

有価証券報告書は、会社が事業年度ごとに出す、事業の内容などを書いた書類です。金融商品取引法 第24条は、上場株式など、同条の各号に当たる有価証券を発行する会社に、この報告書を内閣総理大臣に出すよう定めています。国内の会社は、事業年度が終わってから3か月以内に出します。

「平均年間給与」に入っている物

任天堂の有報の注記には、「平均年間給与は2026年3月期の税込支給額で、基準外賃金及び賞与を含んでいます」とあります。対象は提出会社(任天堂の単体)の3,084人で、グループ全体(連結)の8,666人ではありません。

任天堂株式会社 第86期 有価証券報告書の「(2) 提出会社の経営指標等」の切り抜き。従業員数 (人)の3,084の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 任天堂株式会社 第86期 有価証券報告書(2026-10-21 撮影)

有報には「単一セグメントのため、セグメント情報に関連付けた記載を行っていません」ともあります。セグメントとは、会社が事業を分けて数字を出すときの区切りです。また、有報の従業員の状況に職種別の給与は載っていないので、職種別の給与はこの書類から読み取れません。

賃金統計の4つの言葉

  • きまって支給する現金給与額: 統計の表に月の額として出る給与で、この記事ではこれを12倍して年収の目安を出しています。
  • 所定内給与額: 同じ表にある月の額で、どの規模でも「きまって支給する現金給与額」より小さい額です。
  • 年間賞与その他特別給与額: 調査の前年1年間(原則1〜12月)の賞与・期末手当(いわゆるボーナス)などの特別に支払われた給与の合計額です。
  • 超過実労働時間数: 表の超過実労働時間数です。調査は、令和7年6月分の賃金等(賞与などは前年1年間)について7月に行われました。

データで見るソフトウェア作成者の給与と、全体の平均

厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年の、ソフトウェア作成者(男女計)の数字を、表のとおりに写しました。

企業規模 年齢(歳) 勤続(年) 超過実労働(時間/月) きまって支給する現金給与額(千円) 所定内給与額(千円) 年間賞与その他特別給与額(千円)
企業規模計(10人以上) 37.1 9.9 12 390.8 356.8 1,095.1
1,000人以上 37.6 10.6 16 418.6 370.4 1,385.9
100〜999人 36.2 8.7 12 383.3 350.7 950.3
10〜99人 37.3 10.5 6 360.6 344.8 855.1

(厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年・職種(小分類)別・産業計)

この表は産業計の数字で、ゲーム会社だけの数字ではありません。ゲーム会社のプログラマーも、ほかの業種のプログラマーも含みます。

ものさしとして、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円、このうち正社員(正職員)は559万円です。

任天堂の第86期有価証券報告書にある、単体の従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与・対前年の増減率を並べた図
任天堂 有報(単体)の数字

同じ有報には、提出会社の男女の賃金の差異が、全労働者で72.7%、正規雇用労働者で73.6%と書かれています。管理職に占める女性労働者の割合は5.8%、男性労働者の育児休業取得率は82%です。

研究で分かっていること

小さい勤め先ほど、離職率が高いという関係

西村(2017年)が、首都圏に住み、最初の職種が情報技術者だった996人を調べた研究では、どの学歴でも、勤め先の規模が小さいほど離職率が高いという関係がありました。分析はCox回帰という、ある出来事(ここでは離職)が起きるまでの時間を調べる方法です。2012年の首都圏だけのデータで、ゲーム会社に限らず、年収そのものは分析していません。

この研究は、先行研究の指摘として、企業規模と学歴が情報技術者の賃金や仕事への考え方に間接に影響すると紹介しています。論文自身も、最初の職を辞めた後に再就職しなかった人はデータに入っていない、という限界を書いています。

年収と一緒に、時間外労働を見る理由

菅ほか(2020年)は、2010〜2015年に過労死等で労災と認定された情報通信業の事案(脳・心臓疾患51件、精神障害85件)を分析しました。脳・心臓疾患の事案の多くで、時間外労働は発症前3か月から80時間を超え、発症前2か月にかけて増える傾向がありました。労災と認定された事案だけの分析で、プログラマー全体の働き方を表すものではなく、年収は扱っていません。

年収を比べるときに、上の表の超過実労働(月6〜16時間)も並べて見るのはこのためです。

ゲーム会社が人を採るときの工夫

小野ほか(2024年)は、ゲーム開発会社での聞き取りを、M-GTAという質的研究の方法で分析しました。この研究は、企業が期待する「オタク力」を持つ人材を得るには、「作品選考と面接の工夫が必要である」としています。数字を使わない質的研究で、年収や採用の数字は扱っていません。

会社の規模別に計算した年収の目安と、任天堂の数字の並べ方

規模別の年収の目安(自前の計算)

条件: ソフトウェア作成者・男女計・産業計/式=きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額

企業規模 計算 年収の目安 平均年齢 超過実労働(時間/月)
企業規模計 390.8×12+1,095.1 5,784.7千円(約578.5万円) 37.1歳 12
1,000人以上 418.6×12+1,385.9 6,409.1千円(約640.9万円) 37.6歳 16
100〜999人 383.3×12+950.3 5,549.9千円(約555.0万円) 36.2歳 12
10〜99人 360.6×12+855.1 5,182.3千円(約518.2万円) 37.3歳 6
差(1,000人以上−10〜99人) 6,409.1−5,182.3 1,226.8千円(約122.7万円) ― ―

(元の数字は厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年。計算は自前)

×12は、毎月同じ額が払われると仮定した目安です。1,000人以上の会社は年収の目安が高い一方で、超過実労働も16時間と、10〜99人の6時間より長くなっています。

ソフトウェア作成者の年収の目安を企業規模4段で並べ、超過実労働時間と平均年齢を併記した表(産業計・×12の目安・自前の計算)
ソフトウェア作成者の年収目安

任天堂の数字と並べると

任天堂の平均年間給与9,824,708円を、1,000人以上の目安6,409.1千円で割ると、約1.53倍です(自前の計算。元の数字は任天堂 第86期 有価証券報告書と、厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年)。ただし、任天堂の数字は全職種で平均40.5歳、統計の数字はソフトウェア作成者で平均37.6歳です。年齢と職種の範囲が違うので、この倍率は「任天堂のプログラマーが統計の1.53倍もらう」という意味にはなりません。

年収を確かめる4段の手順

  1. 有報の注記を読む: 単体か連結か、賞与を含むか、全職種の平均かを確かめます。
  2. 年齢と職種をそろえて統計と比べる: 同じ調査の「職種(小分類)、年齢階級別」の表で、自分の年齢に近い段を見ます。
  3. 求人票で賞与と残業代の扱いを確かめる: 月の額に残業代が入っているか、賞与が年に何か月分かを見ます。
  4. エージェントの手数料を法律で確かめる: 職業安定法 第32条の3 第2項の原則とただし書きを読みます。
有報の注記を読む、年齢と職種をそろえて統計と比べる、求人票で賞与と残業代を確かめる、手数料を職業安定法で確かめる、の4段の手順
年収を確かめる4段の手順
会社の年収の数字と統計を比べる前に確かめる6つの点の一覧
比べる前に確かめる点

自分の求人票で計算する表

使い方: 自分の求人票の数字を右の欄に入れて、上から順に確かめます。

確かめる項目 式・見る所 自分の数字
月の給与(千円) 求人票の月の額(残業代を含むかも見る)  
年間の賞与(千円) 求人票の賞与の額  
年収の目安(千円) 月の給与×12+年間の賞与  
同じ規模の段の目安(千円) 規模別の年収の目安の表で、応募先と同じ企業規模の段  
差(千円) 年収の目安−同じ規模の段の目安  
月の残業の時間 求人票の残業の時間と、同じ段の超過実労働  

式: 年収の目安=月の給与×12+年間の賞与(×12は毎月同じ額と仮定した目安)

例: 1,000人以上の段の数字を入れると、418.6×12+1,385.9=6,409.1千円(約640.9万円)で、超過実労働は月16時間です。

よくある質問

ゲームプログラマーの年収の平均は、公的な統計でいくらか

ソフトウェア作成者の企業規模計で、年収の目安は約578.5万円です(自前の計算。元の数字は厚生労働省『賃金構造基本統計調査』令和7年)。産業計の数字なので、ゲーム会社に限りません。

大手と中小で、年収はどれくらい違うか

1,000人以上と10〜99人の差は、約122.7万円です(自前の計算。元の数字は同じ調査)。超過実労働は1,000人以上が月16時間、10〜99人が月6時間で、働く時間にも差があります。

会社ごとの年収ランキングは、プログラマーの年収と同じと見てよいか

同じとは見られません。有報の平均年間給与は、その会社の単体の全職種の平均です。任天堂の有報でも、平均年間給与は単体の3,084人の分で、グループ全体の8,666人の分ではありません。

転職エージェントにお金は払うのか

職業安定法 第32条の3 第2項は、有料職業紹介事業者は「求職者からは手数料を徴収してはならない」としています。ただし、求職者の利益のために必要と認められる場合として厚生労働省令で定めるときは、手数料を取れるというただし書きがあります。申し込む前に、手数料の有無をエージェントに確かめておくと安心です。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: ゲーム業界 年収 中央値(平均ではなく真ん中の年収で相場をつかみたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 厚生労働省『賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)』令和7年. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421116
  2. 厚生労働省『賃金構造基本統計調査 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)』令和7年. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040421120
  3. 国税庁『令和7年分 民間給与実態統計調査』(概要). https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2025.htm
  4. 任天堂株式会社 第86期 有価証券報告書. https://disclosure2dl.edinet-fsa.go.jp/searchdocument/pdf/S100Y9NX.pdf
  5. 金融商品取引法 第24条(e-Gov 法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025
  6. 職業安定法 第32条の3(e-Gov 法令検索). https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141
  7. 西村健(2017)「学歴と企業規模から見た情報技術者の労働市場―初職からの離職行動に着目して―」日本労務学会誌 18(1). https://doi.org/10.24592/jshrm.18.1_44
  8. 菅知絵美・吉川徹・梅崎重夫・佐々木毅・山内貴史・高橋正也(2020)「情報通信業のシステムエンジニアとプログラマーにおける過労死等の労災認定事案の特徴」労働安全衛生研究 13(2). https://doi.org/10.2486/josh.JOSH-2020-0002-GE
  9. 小野憲史・見舘好隆・渡邉文枝・藤川大祐(2024)「ゲーム産業で働く上で求められる「オタク力」の可能性の検討―ゲーム開発会社での調査を中心に―」デジタルゲーム学研究 17(1). https://doi.org/10.9762/digraj.17.1_13

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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