FX口座の選び方ノートFX の口座と EA 用の VPS を、申し込む前に比べる

決算期末の円高は東京の引けまで・引けの後は戻る:研究ノート 04 の補い(結果を見る前に保存した予言による確かめ直し)

決算期末の円高は東京の引けまで・引けの後は戻る:研究ノート 04 の補い(結果を見る前に保存した予言による確かめ直し)
2026-11-03 更新

研究ノート 04 の補い・西原商事(アルゴス)・2026 年 11 月 3 日

要旨

本稿は、研究ノート 04 の補いである。研究ノート 04 は、日本の決算期末(3 月と 9 月の最後の平日)の東京の時間に円高が出ることを報告した。本稿は、その理由を確かめ直した。予言は、計算の結果を見る前にファイルに保存した。データは 2003〜2026 年の 5 分足で、決算期末は 47 回である。数字はすべて、売買の費用を引いた後の値である。

分かったことは次のとおりである。決算期末の日本時間 10:05→15:05 に、円がドルにもカナダ・ドルにも買われた。一方、ドルそのものは、円以外の 8 つの通貨に対して動かなかった(+1.54 bp、両側 p = 0.5567)。ドルが弱くなったのではなく、円が強くなったということである。本稿ではこれを「円の側の動き」とよぶ。

朝 9:00 から 15:05 までの正味(途中の上げ下げを全部合わせた結果)でも、円高は残った。ドル円の売りは、ふだんの日より 1 回あたり 14.73 bp 多く儲かった(p = 0.0025)。1 bp は 0.01% で、100 万円の取引なら 100 円に当たる。p は、偶然でこの差以上が出る割合で、小さいほど偶然らしくない。この結果は、円高が、仲値(日本時間 9:55)に向けたドル買いの戻りだけでは説明できないことを示す。

15:05 の後の 2 時間には、円高は続かなかった。ドル円・ユーロ円・ポンド円の 3 つの平均で、5.88 bp 戻った(両側 p = 0.034)。期の初日(決算期末の次の営業日)には、後半の 2015〜2026 年で円高は出なかった。

保存した予言は 10 本で、8 本が当たり、2 本が外れた。外れた 2 本は、3 月の円高が 9 月より大きい原因を決めるための予言だった。朝 9:00 から 15:05 までの正味では、3 月と 9 月の違いは偶然と区別できなかった(3 月 − 9 月 = −3.19 bp、両側 p = 0.7526)。3 月が大きい原因は、決められなかった。

途中で、私たちの売買の候補の名前に、時計の読み違いが見つかった。5 時間ずれた名前から、候補の説明に「ロンドンの朝まで円高が続く」と書いていた。記録に、その値は無かった。この文は取り下げた。研究ノート 04 の本文は、窓を最初から協定世界時で決めており、この読み違いの影響を受けていない。売買の決まりは、日本時間に固定した窓に作り直した。

キーワード:決算期末、円、東京の仲値、日中の値動きの型、予言の事前の保存

JEL 分類:F31, G14, G15, M41

Abstract

This note supplements Research Note 04, which reported that the Japanese yen appreciates during Tokyo hours on Japanese fiscal period-end days (the last weekday of March and September). We re-test the explanation with predictions that were saved to a file, with MD5 hashes, before the results were computed. We use five-minute data for 2003–2026 (47 period-end days), and all returns are after costs. From 10:05 to 15:05 Japan time, the yen rose against the U.S. dollar, the Canadian dollar and other currencies, while the U.S. dollar itself did not move against eight non-yen currencies (+1.54 bp, two-sided p = 0.5567). Measured from 9:00, before the Tokyo fix, selling USD/JPY until 15:05 still earned 14.73 bp more than on ordinary days (p = 0.0025), so the move cannot be explained only as a reversal of dollar buying ahead of the fix. In the two hours after 15:05, the yen did not keep rising and gave back 5.88 bp on average across three yen pairs (two-sided p = 0.034). The effect was absent on the first business day of the new period in 2015–2026. Eight of ten saved predictions held. The two that failed were meant to explain why March is larger than September; from 9:00 to 15:05, March and September could not be distinguished (−3.19 bp, two-sided p = 0.7526), so the cause remains open. We also found that the names of two trading candidates had misread a five-minute clock index by five hours, which had produced the statement that the yen keeps rising into the London morning. That statement is withdrawn. Research Note 04 itself used UTC windows and is not affected. The trading rules were rebuilt on a clock fixed to Japan time.

Keywords: fiscal period-end, Japanese yen, Tokyo fix, intraday pattern, pre-registered predictions

1 この補いで確かめ直したこと

1.1 研究ノート 04 で分かったことと、残った問い

研究ノート 04(2026 年 11 月 2 日)は、決算期末の協定世界時 01:00→06:00(日本時間 10:00→15:00)に、円がほかの通貨に対して買われると報告した。円の 7 つの通貨ペアをまとめた円買いは、費用を引いた後も 1 回あたり +12.74 bp だった(研究ノート 04 の表 3)。

研究ノート 04 には、確かめていない所が 3 つ残っていた。

  1. 円高は、仲値に向けた米ドル買いの戻りかもしれない(研究ノート 04 の 4.2 節)。仲値は、日本時間 9:55 に銀行が顧客の外貨の売買に当てはめる値段である。仲値の前にドルが買われて上がり、仲値の後にその分が下がるなら、10:00 からの円高はその戻りにすぎない。研究ノート 04 は、決算期末だけについて、仲値の前の動きを測っていなかった。
  2. 3 月の円高は 9 月より大きかった。研究ノート 04 は、年度末の締めの方が取引が大きいという解釈と合うと書いた(研究ノート 04 の 4.1 節)。取引の量は見ていなかった。
  3. 円高の後の戻りの時刻ごとの形(予言 P5)は、四半期末の全部(94 日)で測っていた(研究ノート 04 の 2.3 節)。決算期末だけでは、協定世界時 07:00→21:00 の円売り(戻り)を 1 つの時間帯として出しただけで、t は 1.62 で 2 に届かなかった(研究ノート 04 の表 3)。t は、平均をそのばらつきで割った値で、2 を超えると偶然らしくないとみる目安である。東京の引けの直後に戻るかは、決算期末だけでは測っていなかった。

1.2 見つかった誤り:時計の読み違い

私たちは、研究ノート 04 とは別に、売買の候補を自動で探す仕組み(アルゴス)を動かしている。その中に、決算期末のポンド円の売り(候補 #44)と、ユーロ円の売り(候補 #46)があった。この 2 つは、ニューヨークの時計で時間帯(窓)を決めていた。

窓は、5 分ごとの区切りの番号(箱)で記録されている。ニューヨークの時計の箱の番号 j は、ニューヨーク時間の 0 時から 5j − 300 分の時刻を表す。2 つの候補の窓は箱 25→85 で、ニューヨーク時間の前日 21:05→当日 02:05 に当たる。米国が夏時間の日は、日本時間 10:05→15:05 である。

ところが、候補の名前は「NY 02:05→07:05」になっていた。箱の番号に 5 分を掛けただけで、300 分を引き忘れていた。この名前どおりなら、窓は日本時間の午後から夜(米国が夏時間の日は 15:05→20:05)になり、ロンドンの朝に当たる。候補の説明文にあった「ロンドンの朝まで円高が続く」は、この名前から来ていた。記録には、ロンドンの朝の値は無かった。この文は取り下げた。

同じ読み違いは、理由を調べた前の記録(予言 P19)の窓の名前にもあった。

もう 1 つ、ニューヨークの時計は、米国の夏時間で日本時間とのずれが変わる。2004〜2006 年の 3 月 31 日の 3 回は、米国がまだ夏時間に入っていなかった。この 3 回だけ、窓は日本時間 11:05→16:05 にずれていた。東京の引けの後の 1 時間が入り、10:05→11:05 が抜けていた。

研究ノート 04 の本文は、窓を協定世界時で決めていた。協定世界時は夏時間で動かず、日本時間とは常に 9 時間の差である。だから、研究ノート 04 の数字には、この読み違いは入っていない。研究ノート 04 は「ロンドン時間とニューヨーク時間に戻った」と書いており、「ロンドンの朝まで続く」とは書いていない。スイス円の売りの候補(#45)も、最初から協定世界時の時計で、影響は無かった。

2 材料と確かめ方

2.1 データと損益

データは、デューカスコピー・ジャパンの 5 分足である(研究ノート 04 と同じ)。計算に使った平日は、2003 年 5 月 5 日から 2026 年 10 月 9 日までの 6,079 日である。

損益は、1 回の取引の bp で表す。費用は、手数料に、入る時刻と出る時刻のスプレッドの平均を足した物で、毎回の損益から引いた。スプレッドは、2025 年並みの値を全部の年に当てはめた(研究ノート 04 の 2.4 節と同じ作り)。費用を引く前の損益は、結果には使わない。

時間帯は、入る時刻と出る時刻で書く。たとえば「10:05→15:05」は、10:05 に入って 15:05 に出る取引である。時刻は特に断らない限り日本時間である。本稿では、日本時間 15:00 ごろを「東京の引け」とよぶ。窓の終わりは 15:05 である。

2.2 日と比べ方

決算期末は、3 月と 9 月の最後の平日である(土日だけを除き、祝日は除かない)。3 月が 23 回(2004〜2026 年)、9 月が 24 回(2003〜2026 年)で、合わせて 47 回である。前半は 2003〜2014 年の 23 回、後半は 2015〜2026 年の 24 回である。

本文の「差」は、決算期末の 1 回あたりの損益の平均から、ふだんの日の平均を引いた値である。ふだんの日は、全部の平日から、決算期末と、6 月・12 月の四半期末(最後の平日)を除いた日である。費用は毎回同じ決まりで引くので、差は費用の大きさにほとんど左右されない。差のプラスは、その取引の向きで、ふだんの日より多く儲かったことを表す。たとえば「ドル円の売り」の差がプラスなら、円高である。

p は、偶然の確かめの値である。決算期末の印を、同じ年の中の同じ数の平日に、でたらめに付け替えて 2,000 回計算した。本物と同じか、それより大きい差が出た割合が p である。片側の p は予言した向きだけを数え、両側の p は両方の向きを数える。「出る」と予言した物は、片側の p が 0.05 より小さい時に当たりとした。「出ない」と予言した物は、両側の p が 0.05 より大きい時に当たりとした。2,000 回のどれも本物を超えない時、p は 0.0005 になる。これより小さい値は出ない。

2.3 予言の保存

予言は、3 回に分けて 1 つのファイルに書いた(_ag_argos_reason_prereg_halfyr_20261103.md)。新しい版は下に足し、前の版の行は書き換えない決まりにした。保存のたびに、ファイルの MD5(中身から計算する指紋)を別のファイルに記録した。計算の台本は、走る前に MD5 を計算し直し、記録と違えば止まる。

表 1 予言の保存と結果の時刻(2026 年 11 月 3 日、日本時間、ファイルの書き込み時刻)

版 MD5 を取った範囲 MD5 MD5 の記録 台本 結果
1 先頭 7,709 バイト 65412a033ff428a113b3bffea18e6b45 17:53:26 17:55:21 17:58:20
2 先頭 11,961 バイト 13536c74cd0204f370d7b58448363532 18:08:12 18:08:52 18:12:31
3 全体 15,887 バイト a19bb7c2783d77272940b7af5d627301 18:19:00 18:19:43 18:21:44

注:本稿を書いた時(20 時台)に MD5 を計算し直し、3 つとも記録と一致した。3 つの結果のファイルにも、走った時の MD5 が同じ値で書かれている。

予言のファイルには、予言ごとに「結果を見る前に何が見えていたか」も書いた。版 1 では、H1 のうち 10:05→15:05 の分は、予言の前に見えていた。H3③ は、ほかの値から大きさを一部推せた。H4 と H5 は、前半の値が見えていた(予言は後半の値)。H3② は、研究ノート 04 の豪ドル・NZ ドルの対ドルの値(ふだんの日との差ではない)だけが見えていた。H2・H3①・H6 は見ていなかった。

予言の本数は、版 1 が 6 本(H1〜H6)、版 2 が 3 本(K1〜K3)、版 3 が 1 本(M1)で、合わせて 10 本である。H3 は 3 つの小さな予言を合わせて 1 本と数えた。H4〜H6 は、ポンド円とユーロ円の 2 つの候補の両方で当たった時に、1 本の当たりと数えた。

2.4 計算の前の照らし

結果を見る前に、答えの分かっている物で台本を照らした(版 1)。

  1. 前の記録(予言の版 6 の P3)で出した候補 #44 の差 17.31 bp が、同じ値で出た。
  2. 米国が夏時間の決算期末のうち、2007 年からの 40 回で、ニューヨークの時計の箱 25→85 と、協定世界時の箱 13→73(日本時間 10:05→15:05)の値動き(費用を引く前)を比べた。40 回すべてで一致した(差の最大 0.0)。2003〜2006 年の 9 月の 4 回は、この照らしに入っていない。
  3. 2004〜2006 年の 3 月 31 日の 3 回では、ニューヨークの時計の箱 25→85 が、協定世界時の箱 25→85(日本時間 11:05→16:05)と一致した(差の最大 0.0)。
  4. 偽の日での照らしとして、決算期末の 1 営業日前に印をずらした。候補の差は −0.003 bp(p = 0.4908)で、効き目は出なかった。

3 結果

3.1 版 1:6 本の予言はすべて当たった

版 1 で保存した理由(R1)は、次のとおりである。「日本の決算期末(3 月・9 月の最終平日)の当日、東京の時間(9:55 の仲値の後から 15 時の東京の引けまで)に、日本の企業と投資家が外貨を売って円を買う」。この理由から、表 2 の 6 本の予言を立てた。

表 2 版 1 の予言と結果(費用を引いた後の差)

予言 中身 時間帯 結果 当たりの線 判定
H1 朝 9:00 から引けまでの正味でも円高(ドル円の売り) 9:00→15:05 +14.73 bp(p = 0.0025) 片側 p < 0.05 当たり
H2 引けの後の 2 時間は円高が続かない(ドル円・ユーロ円・ポンド円の売りの平均) 15:05→17:05 −5.88 bp(片側 p = 0.9835、両側 p = 0.034) 片側 p ≥ 0.05 当たり
H3① カナダ円も円高(カナダ円の売り) 10:05→15:05 ※ +16.22 bp(p = 0.0015) 片側 p < 0.05 当たり
H3② ドルそのものは動かない(円以外の 8 通貨に対するドル高) 10:05→15:05 ※ +1.54 bp(両側 p = 0.5567) 両側 p > 0.05 当たり
H3③ ユーロとポンドの対ドルは動かない(ユーロドル・ポンドドルの売り) 10:05→15:05 ※ +4.06 bp(両側 p = 0.078)、+2.67 bp(両側 p = 0.2579) どちらも両側 p > 0.05 当たり
H4 後半の期の初日には出ない 10:05→15:05 ※ ポンド円 −7.54 bp(両側 p = 0.1)、ユーロ円 −2.70 bp(両側 p = 0.5217) どちらも両側 p > 0.05 当たり
H5 後半も 3 月の方が大きい(3 月 − 9 月) 10:05→15:05 ※ ポンド円 +6.06 bp(p = 0.2404)、ユーロ円 +12.10 bp(p = 0.097) 向きだけ(差 > 0) 当たり
H6 前半の期の初日の円高は、少ない日の物 10:05→15:05 ※ 上位 2 日を除くと、ポンド円 +2.09 bp(両側 p = 0.7706)、ユーロ円 +7.48 bp(両側 p = 0.1869) どちらも両側 p > 0.05 当たり

※ ニューヨークの時計の箱 25→85。2004〜2006 年の 3 月の 3 回だけ、11:05→16:05 である。 注:出典は _ag_argos_reason_halfyr_v1_20261103.json。H1 と H2 は協定世界時の時計(日本時間に固定)で測った。H5 は後半の 3 月 12 回と 9 月 12 回の比べで、回数が少ないため、向きだけを予言した。H6 で除いた上位 2 日は、ポンド円が 2011 年 10 月 3 日(+44.83 bp)と 2013 年 4 月 1 日(+35.17 bp)、ユーロ円が 2008 年 10 月 1 日(+44.03 bp)と 2008 年 4 月 1 日(+39.65 bp)である。

H1 について、記録として時刻を分けた。仲値の前(9:00→9:55)のドル円の買いの差は +1.20 bp(p = 0.2684)で、偶然と区別できなかった。仲値の後(10:05→15:05)のドル円の売りの差は +16.38 bp(p = 0.001)だった。仲値の前の上げと、仲値の後の下げの日ごとの相関は 0.026(47 回)で、ほとんどつながっていなかった。ユーロ円とポンド円も、9:00→15:05 の正味で円高だった(+15.75 bp、p = 0.0035/+13.98 bp、p = 0.011)。

H2 について、円高は引けの後に続かなかっただけでなく、戻った。3 組の円買いの差は −5.88 bp(両側 p = 0.034)で、円が売られる向きだった。1 組ずつでは、ユーロ円 −7.62 bp(両側 p = 0.021)、ドル円 −4.35 bp(両側 p = 0.09)、ポンド円 −5.66 bp(両側 p = 0.1049)で、偶然と区別できない組もあった。その後の 17:05→21:05 は −5.30 bp(両側 p = 0.1679)だった。ニューヨークの時間(日本時間 20:05→翌 5:55)のドル円の買いは +8.50 bp(片側 p = 0.0935)だった。どちらも偶然と区別できなかった。はっきり言えるのは、引けの後の 2 時間の戻りまでである。

H3 について、円は、記録として測ったほかの組でも買われた。ドル円 +14.80 bp(p = 0.001)、スイス円 +17.11 bp(p = 0.0005)、豪ドル円 +13.14 bp(p = 0.021)、NZ ドル円 +9.27 bp(p = 0.065)である。円の 7 つの通貨ペアをまとめた円買いは +15.51 bp(p = 0.001)だった。一方、豪ドルと NZ ドルの対ドルの買いは、+1.39 bp(両側 p = 0.7706)と +5.46 bp(両側 p = 0.1979)で、偶然と区別できなかった。H3③ のユーロドルの売りは、両側 p = 0.078 で「動かない」の線は通った。ただし片側 p は 0.039 で、この当たりは弱い。この値は、予言の前に大きさを一部推せた物でもある(2.3 節)。

3.2 版 1 の後に見つけた、3 月と 9 月の違い(記録)

版 1 で、仲値の前の差(+1.20 bp)は小さかった。研究ノート 04 の 4.2 節は、別のデータで、3 月末は仲値の前にドル円が上がると書いていた。そこで、3 月と 9 月に分けた。これは予言ではなく、採否には使わない記録である。

  • 仲値の前(9:00→9:55)のドル円の買いの差:3 月は +10.44 bp(片側 p = 0.0015、23 回)、9 月は −7.65 bp(両側 p = 0.009、24 回)。版 1 の +1.20 bp は、この 2 つが打ち消し合った値だった。
  • 仲値の後(10:05→15:05)のドル円の売りの差:3 月は +21.61 bp(p = 0.0005)、9 月は +11.36 bp(p = 0.0225)。

3 月は、仲値の前にドルが上がり、仲値の後に大きく下がる。9 月は、仲値の前からドルが下がる。

3.3 版 2:3 本の予言のうち 2 本が当たった

この記録を見て、理由の 3 月と 9 月の所だけを直した(R2)。R2 の要点は次のとおりである。3 月は、仲値に向けて外貨が買われ、仲値の後にその分が戻って円買いに重なる。だから、仲値の後の窓では 3 月が大きい。9 月は、仲値の前から円が買われる。だから、朝 9:00 から引けまでの正味の円高は、3 月と 9 月で同じくらいになる。

表 3 版 2 の予言と結果(費用を引いた後)

予言 中身 結果 当たりの線 判定
K1 3 月の仲値の前の上げは、仲値の後に戻る。9:00→9:55 の上げと 9:55→15:05 の下げの日ごとの相関が、ふだんの日より大きい 3 月の相関 −0.034(片側 p = 0.5387、23 回)、ふだんの日 −0.003 片側 p < 0.05、かつ相関がふだんの日より大きい 外れ
K2 9 月の仲値の前の円高は円の側(ユーロ円・ポンド円・スイス円・カナダ円の円買い、9:00→9:55) +5.02 bp(p = 0.041) 片側 p < 0.05 当たり
K3 朝から引けまでの正味は、3 月と 9 月で同じくらい(円の 7 つの通貨ペアの円買い、9:00→15:05、3 月 − 9 月) −3.19 bp(両側 p = 0.7526) 両側 p > 0.05 当たり

注:出典は _ag_argos_reason_halfyr_v2_20261103.json。時計は協定世界時(日本時間に固定)。

K1 が外れたので、先に決めたとおり、「3 月は仲値の前の上げの戻りが重なる」という説明は使わない。

記録として、次の値も出した。9 月の仲値の前に、円以外の 8 通貨に対するドルは −1.66 bp(両側 p = 0.3298)で、動かなかった。3 月の仲値の前のドル円の上げは 9:30→9:55 に集まり(+10.46 bp、p = 0.0005)、9:00→9:30 は −0.02 bp だった。3 月の仲値の前には、ユーロ円・ポンド円・スイス円・カナダ円でも円が売られた(円買いの差 −13.96 bp、両側 p = 0.001)。ユーロドルの売りは −4.94 bp(両側 p = 0.014)で、ユーロもドルに対して上がった。つまり 3 月の仲値の前には、円がドルにもユーロなどにも売られていた。

3.4 版 3:予言は外れた

版 3 は、「3 月が大きい」をどう書くかを決めるための予言だった。外れても理由の判定は変えず、「3 月が大きい理由は 23 回では決められない」と書く、と先に決めた。

M1 の予言は、「年度末の円買いは午後まで大きい」だった。11:05→15:05 の円の 7 つの通貨ペアの円買いで、3 月 − 9 月がプラス(片側 p < 0.05)になると予言した。結果は +9.31 bp(p = 0.0525)で、線に届かず外れた。記録として、3 月とふだんの日の差は +14.66 bp(p = 0.0115)、9 月とふだんの日の差は +5.36 bp(p = 0.1169)だった。最初の 1 時間(10:05→11:05)の 3 月 − 9 月は +4.00 bp(p = 0.1389)だった。

3.5 売買の決まりを日本時間に固定した

理由に合わせて、候補 #44 と #46 の窓を、ニューヨークの時計の箱 25→85 から、協定世界時の時計の箱 13→73(日本時間 10:05→15:05)に作り直した。作り直した窓を、採用の決まりの後の段に通した。前の窓も一緒に通し、前と同じ数が出ることを照らした。

表 4 ニューヨークの時計(前)と、日本時間に固定した時計(後)の比べ(費用を引いた後)

売買 時計 見つける期間の回数 1 回の平均(bp) p 偶然の線 全期間の合計(bp) 2026 年の合計(bp)
ポンド円の売り ニューヨーク(前) 45 16.85 6.86×10⁻⁷ 2.07×10⁻⁴ 761.6 3.5
ポンド円の売り 日本時間に固定(後) 45 18.78 1.89×10⁻⁶ 2.07×10⁻⁴ 848.7 3.5
ユーロ円の売り ニューヨーク(前) 45 17.74 1.28×10⁻⁶ 2.18×10⁻⁴ 824.1 26.0
ユーロ円の売り 日本時間に固定(後) 45 19.93 9.78×10⁻⁷ 2.18×10⁻⁴ 923.0 26.0

注:出典は _ag_argos_halfyrfix_post_20261103.json。見つける期間は 2003〜2025 年で、2026 年の 2 回を含まない。p と偶然の線は、探しの記録の値である。p の計算の仕方は、本稿の付け替えの p とは違う。

日本時間に固定した 2 本は、どちらも採用の決まりの後の段を全部通った(検証期の無い段)。1 回の平均は、ポンド円で 16.85 bp から 18.78 bp に、ユーロ円で 17.74 bp から 19.93 bp に上がった。2026 年は米国が夏時間で、前も後も同じ 10:05→15:05 なので、2026 年の合計は同じだった。2026 年の合計は、日ごとの値の記録(_ag_argos_reason_halfyr_v1b_20261103.json)の和とも合った。ポンド円は 3 月 31 日 +15.96 bp と 9 月 30 日 −12.42 bp で、和は 3.54 bp である。ユーロ円は +26.99 bp と −0.96 bp で、和は 26.03 bp である。

4 考察

4.1 研究ノート 04 から変わった所

表 5 研究ノート 04 に書いたことと、本稿の結果

研究ノート 04 に書いたこと 本稿の結果 扱い
円高は東京の昼に集まり、ロンドン時間とニューヨーク時間に戻った(時刻ごとの形は四半期末の全部 94 日で測った。決算期末だけの 07:00→21:00 の戻りは t 1.62) 決算期末だけで、引けの後の 2 時間に戻った(3 組の円買いの差 −5.88 bp、両側 p = 0.034)。その後の夕方とニューヨーク時間の戻りは、偶然と区別できなかった 同じ向き。決算期末だけで、戻りの始まりを東京の引けの直後と確かめ直した
仲値に向けた米ドル買いの戻りの可能性を、否定できない(4.2 節) 朝 9:00 からの正味でも、ドル円の売りは +14.73 bp(p = 0.0025)。3 月の仲値の前の上げと後の下げは、日ごとにつながらない(相関 −0.034) 戻りだけでは説明できない。研究ノート 04 の 4.4 節の 2 番目の課題に答えた
3 月が大きいのは、年度末の締めの方が取引が大きいという解釈と合う(4.1 節) 仲値の後の窓では 3 月が大きい。朝からの正味では区別できない(−3.19 bp、両側 p = 0.7526)。原因を決める予言(K1・M1)は外れた 原因は決められない。研究ノート 04 の解釈は確かめられなかった
豪ドルと NZ ドルが米ドルに対して上がり、円買いは主に米ドルなどを売る形かもしれない(4.1 節) ふだんの日との差では、豪ドル +1.39 bp(両側 p = 0.7706)、NZ ドル +5.46 bp(両側 p = 0.1979)で、偶然と区別できない。円以外の 8 通貨に対するドルも動かない 動いたのは円の側。研究ノート 04 の解釈は支えが弱い(記録)
(研究ノート 04 の文ではない)売買の候補の説明文「ロンドンの朝まで円高が続く」 時計の読み違いから来た文。記録に、ロンドンの朝の値は無い 取り下げた

研究ノート 04 の数字と本稿の数字は、窓(5 分のずれ)と費用(研究ノート 04 の表 2 は費用を引く前)が違う。そのため、表の数字は直接には比べられない。

4.2 理由の推論と会計基準

本稿の理由は、次のとおりである。日本の決算期末の当日、東京の時間に、日本の企業と投資家が外貨を売って円を買う。

会計の決まりは、この推論の手がかりになる。企業会計審議会の『外貨建取引等会計処理基準』(金融庁のウェブサイトの頁)は、「外貨建金銭債権債務については、決算時の為替相場による円換算額を付する。」と定めている。そして「決算時における換算によって生じた換算差額は、原則として、当期の為替差損益として処理する。」とする。つまり、外貨で持つ債権や借金は、決算の時の為替の値で円に直され、その差は損益になる。決算の時の為替の値が、帳簿に効く。

ただし、同じ基準の注 8 は、「決算時の直物為替相場としては、決算日の直物為替相場のほか、決算日の前後一定期間の直物為替相場に基づいて算出された平均相場を用いることができる。」としている。決算日の当日の値だけが使われるわけではない。そのため、会計の決まりだけでは、円買いが決算日の当日の東京の時間に集まる理由は決まらない。

本稿は、取引の量も、誰が取引したかも見ていない。理由のうち「日本の企業と投資家が円を買う」の部分は、値動きの形から立てた推論である。値動きの形は、この推論と合う。円は、ドルにも、カナダ・ドルにも、ユーロにも買われ、ドルそのものは動かなかった。円高は決算期末の当日に限られ、2 営業日前(ポンド円 −3.38 bp、両側 p = 0.3658/ユーロ円 +0.86 bp、両側 p = 0.7906)にも、後半の期の初日にも出なかった。東京の引けの後の 2 時間には戻った。6 月と 12 月の四半期末に出ないことは、研究ノート 04 の予言 P1 の結果である。本稿では測り直していない。

4.3 分からない所

  1. 3 月の円高が 9 月より大きい原因。仲値の後の窓では、3 月の差(ドル円 +21.61 bp)は 9 月(+11.36 bp)より大きい。しかし、朝から引けまでの正味では区別できなかった。原因を決めるための 2 本の予言(3 月の仲値の前の上げの戻り K1、午後まで続く年度末の円買い M1)は外れた。決算期末は 3 月が 23 回、9 月が 24 回しかなく、この数では決められない。
  2. 3 月の仲値の直前(9:30→9:55)に、円がドルにもユーロなどにも売られる原因。窓の外の動きで、確かめていない。
  3. 朝から引けまでの正味の円高は、ドル円(47 回)では強い。しかし、円の 7 つの通貨ペアをまとめた円買いを 3 月だけで見ると、ふだんの日との差は +9.89 bp(p = 0.078)で、偶然と区別できない。9 月だけでは +13.09 bp(p = 0.0265)である。

4.4 限界

  1. 窓(10:05→15:05 の付近)は、研究ノート 04 の探索で見つかった物である。本稿の予言は、窓を見た後に立てた。
  2. 版 1 の予言の一部は、予言の前に一部の値が見えていた(2.3 節)。
  3. 予言の保存の時刻は、この計算機のファイルの記録である。外の第三者が保証する物ではない。
  4. 予言は 10 本で、当たりの線は予言ごとに 0.05 とした。本数が多いことの補正はしていない。H5 は、12 対 12 回の向きだけの予言で、力は弱い。H2・H3②③・H4・H6・K3 は「出ない」の予言で、回数が少ないと当たりやすい。
  5. 版 1 の H3〜H6 は、ニューヨークの時計の窓で測った。2004〜2006 年の 3 月の 3 回は、日本時間 11:05→16:05 の値が入っている。
  6. 費用は、2025 年のスプレッドをすべての年に当てはめた。データは 1 社の取引レートである。
  7. 会計基準は、金融庁のウェブサイトに載っている『外貨建取引等会計処理基準』の頁で読み、引用した文はこの頁にある。この頁には 1999 年より後の改正の文言も含まれている。改正の履歴は確かめていない。

5 結論

日本の決算期末(3 月と 9 月の最後の平日)の円高は、日本時間 10:05→15:05 の東京の時間に出た。円がドルにもほかの通貨にも買われ、ドルそのものは動かなかった。朝 9:00 からの正味でも円高は残り、仲値に向けたドル買いの戻りだけでは説明できなかった。東京の引けの後の 2 時間には戻った。後半の期の初日には出なかった。3 月が 9 月より大きい原因は、決められなかった。

売買の候補の説明にあった「ロンドンの朝まで円高が続く」は、時計の読み違いから来た誤りで、取り下げた。研究ノート 04 の本文の数字は、この誤りの影響を受けていない。売買の決まりは、日本時間に固定した窓に作り直した。本稿の結果も、確立した事実ではない。今後の決算期末で確かめられるべき仮説である。

参考文献

企業会計審議会. (1999, 10 月 22 日). 外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書(外貨建取引等会計処理基準)[Opinion on the revision of the accounting standards for foreign currency transactions]. 金融庁. https://www.fsa.go.jp/p_mof/singikai/kaikei/tosin/1a924c.htm

西原商事(アルゴス). (2026). 日本の決算期末(3 月・9 月)の東京時間における円高と欧米時間の戻り:2003〜2026 年の 5 分足データによる検証(研究ノート 04). https://imadokoiku.com/fx/articles/2026-11-02_sk-fx-jpfiscal01.html

付記

予言のファイル:_ag_argos_reason_prereg_halfyr_20261103.md(MD5 の記録は .md5・.v2.md5・.v3.md5)。

計算の台本と記録:_ag_argos_reason_halfyr_v1_20261103.py(版 1)、_ag_argos_reason_halfyr_v1b_20261103.py・_ag_argos_reason_halfyr_v1c_20261103.py(版 1 の後の記録・予言ではない)、_ag_argos_reason_halfyr_v2_20261103.py(版 2)、_ag_argos_reason_halfyr_v3_20261103.py(版 3)、_ag_argos_halfyrfix_post_20261103.py(日本時間に固定した窓の採否)。各台本の出力は、同じ名前の .json と .log に記録されている。部品(損益・費用・付け替えの p)は _ag_argos_reason_v8_20261103.py から読み込んだ _ag_argos_reason_v6_20261103.py と _ag_argos_reason_check_20261103.py である。

本文の数字は、_research_notes/_facts_note04b_20261103.json に、元のファイルと行の番号つきで集めた値だけを使った。

本稿は投資の勧誘を目的とした物ではない。本稿は生成 AI で下書きし、数値と引用を原典で確かめてから公開する。使用したモデルは Claude(Anthropic)である。

付録

表 A1 本稿の時計の箱と時刻の対応

時計 箱 協定世界時 日本時間
協定世界時 0 00:00 9:00
協定世界時 6 00:30 9:30
協定世界時 11 00:55 9:55(仲値)
協定世界時 13 01:05 10:05
協定世界時 25 02:05 11:05
協定世界時 73 06:05 15:05
協定世界時 97 08:05 17:05
協定世界時 145 12:05 21:05
協定世界時 133→251 11:05→20:55 20:05→翌 5:55
ニューヨーク 25→85 米国の夏時間:01:05→06:05/冬時間:02:05→07:05 夏時間:10:05→15:05/冬時間:11:05→16:05

注:協定世界時の箱 j は協定世界時の 5j 分、ニューヨークの時計の箱 j はニューヨーク時間の 5j − 300 分である(_ag_argos_reason_prereg_halfyr_20261103.md の版 1)。決算期末 47 回のうち、ニューヨークの時計が冬時間だったのは 2004〜2006 年の 3 月 31 日の 3 回である。

「FX口座の選び方ノート」の記事をすべて見る(27 本)→

スポンサーリンク