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ファクタリングの仕組みを簡単に:法的には債権の売買。手形等で受け取る受注側の会社の67%は手形サイト60日超(令和6年度)

ファクタリングの仕組みを簡単に:法的には債権の売買。手形等で受け取る受注側の会社の67%は手形サイト60日超(令和6年度)
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • ファクタリングの仕組みを簡単に言うと、売掛金を期日より前に、手数料を引いて買い取ってもらう取引です。法的には「債権の売買(債権譲渡)契約」とされています。
  • この記事では、利用者と業者の2者で契約する形を「2社間」、取引先(債務者)も関わる形を「3社間」と呼びます。民法467条では、取引先への「通知」か取引先の「承諾」が無いと、取引先などに債権の譲渡を主張できません。
  • 公式の表で並べると、手形等で受け取る受注側の会社のうち手形サイト60日超は、令和5年度の82%から令和6年度は67%に、1年で15ポイント(82−67)下がりました。下がっても、令和6年度でまだ67%が60日を超えて待っているのは、調べて分かった意外な点です。
  • 形が売買でも、貸金業に当たるかどうかは実態で判断されます。金融庁が載せた裁判例7件のうち、5件は貸金業に当たる等とされ、2件は当たらないとされました。
この記事の目次(8)
  1. 結論:ファクタリングは「売掛金の売買」
  2. 仕組みと言葉の意味:債権譲渡・2社間/3社間・ノンリコース
  3. データで見る:売掛金の入金をどれだけ待つか
  4. 研究で分かっていること
  5. 金融庁の裁判例7件と、入金を待つ日数の自前の計算
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

ファクタリングの見積を比べる1枚の表(Easy factorの公式の条件入り): 請求書を、手数料以外の費用なしで早めに現金に

結論:ファクタリングは「売掛金の売買」

ファクタリングは、事業者が持つ売掛債権を、期日前に手数料を取って買い取るサービスです。金融庁は、これを「法的には債権の売買(債権譲渡)契約」と説明しています。売掛債権とは、商品やサービスを納めたあとに、取引先から代金を受け取る権利のことです。

この記事では、利用者と業者の2者で契約する形を「2社間」、取引先も関わる形を「3社間」と呼びます。民法467条は、取引先への「通知」か取引先の「承諾」が無いと、取引先などに債権の譲渡を主張できないと定めています。ただし、貸金業に当たるかどうかは、契約書の形だけでなく実態で判断されます。

入金を待つ長さの目安として、中小企業庁の調査があります。手形等で代金を受け取っている受注側の会社(N=6,209、令和6年度)のうち、手形等の支払いまで60日を超える会社は67%でした(100−33、中小企業庁『令和6年度 取引条件改善状況調査・自主行動計画フォローアップ調査』 p.17 から計算)。調査の問いは「下請代金を手形等で受け取っている場合の手形等のサイト」です。前の年度(令和5年度、N=5,118)は82%でした(35%+37%+10%、中小企業庁『令和5年度 取引条件改善状況調査・自主行動計画フォローアップ調査 結果概要』 p.10 から計算)。これは下請代金の支払い条件の調査で、ファクタリングの利用の統計ではありません。

仕組みと言葉の意味:債権譲渡・2社間/3社間・ノンリコース

債権譲渡:売掛金は売ることができる

民法466条は「債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。」と定めています。同じ条の2項では、譲渡を禁じたり制限したりする取り決め(譲渡制限の意思表示)があっても、「債権の譲渡は、その効力を妨げられない」とされています。ファクタリングは、この債権の譲渡を使った取引です。

2社間と3社間:取引先が関わるかと、民法467条の通知・承諾

この記事では、利用者とファクタリング業者の2者で契約する形を「2社間」、取引先も関わる形を「3社間」と呼びます。民法467条は、債権の譲渡について「譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない」と定めています。「対抗する」とは、譲渡があったことを相手に主張できる、という意味です。

商品を納めて売掛金ができ、それを業者に売って期日前に現金を受け取り、取引先への通知か承諾で譲渡を主張できるようになる流れの図。
ファクタリングの流れ

ノンリコース:売った債権が回収できなくても返済の義務がない

ノンリコースとは、金融庁の説明では「売却した売掛債権等が返済不能になっても売却した事業者に返済義務は生じないこと」です。ただし金融庁は、この規定が契約書にあるかどうかの「形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして判断される」としています。ノンリコースと書いてあるだけでは、貸金業に当たらないとは決まりません。

借入との違い

Klapper(2006年)は、ファクタリングの特徴を「資金の額が売り手の売掛金の価値に結びつき、売り手全体の信用力には結びつかない点」と述べています(Klapper 2006、ワーキングペーパー版の要旨)。そのため、信用リスクの高い売り手が、そのリスクを信用度の高い買い手(取引先)に移せる、としています。借入では借りた本人の返す力が問われるのに対し、ファクタリングでは売る債権の価値が中心になる、という違いです。

データで見る:売掛金の入金をどれだけ待つか

下請代金の現金払い率

中小企業庁の調査では、受注側で「全て現金払い」の割合は、令和4年度69%(N=19,946)、令和5年度70%(N=21,041)、令和6年度73%(N=26,520)でした。令和6年度に、現金100%でない受注側は27%(100−73、同調査から計算)です。内訳は、現金50%以上が13%、50%未満が8%、全て手形等が6%でした。

令和6年度の受注側(N=26,520)で、全て現金払いは73%、現金100%でない会社は27%だったことを示す図。
受注側の現金払い率(令和6年度)

手形の支払いまでの日数

手形の支払いまでの日数を「手形サイト」と呼びます。受注側の手形サイトの分布は、次のとおりでした。

手形サイト 令和3年度(N=11,723) 令和4年度(N=6,115) 令和5年度(N=5,118)
30日以内 2% 4% 4%
60日以内 14% 14% 14%
90日以内 29% 36% 35%
120日以内 49% 36% 37%
120日超 7% 10% 10%

令和5年度の調査の概要は「受注側は2割弱となり前年度同様となった」と書いています(同上 p.10、「60日以内」の割合について)。その翌年、手形サイトが60日以内の割合は、受注側で18%(令和5年度、N=5,118)から33%(令和6年度、N=6,209)に、発注側で23%(令和5年度、N=1,621)から37%(令和6年度、N=1,924)に上がりました。

手形サイトが60日以内の割合が、令和5年度から令和6年度に、受注側で18%から33%、発注側で23%から37%に上がったことを示す図。
手形サイト60日以内の割合

研究で分かっていること

国ごとの比べ方:ファクタリングの量と経済の関係

Klapper(2006年)が複数の国のファクタリングの量を比べた研究では、経済の発展・成長が大きく、信用情報機関が整った国ほど、ファクタリングの量が大きいという関係がありました。国単位の相関なので、1社ずつにどんな効果があるかは示していません。国の数や年は要旨に書かれておらず、日本が対象かどうかも書かれていません。

日本の事例:2社間の形を装ったヤミ金融

堂下(2019年)は、報道・判決・利用した中小企業へのインタビューを集めて調べた事例調査です。要旨は、2018年9月26日の日本経済新聞の報道を引いて、違法性の高い二者間ファクタリングが「新たなヤミ金融」として広がり、中小企業の被害が拡大していると書いています。業者に賠償を求めた裁判について、「その違法性を巡る判決に一貫性はない」とも書かれています。インタビューの中には、違法性が認められず、逆に中小企業の側が多額の違約金の支払いを命じられた事例もありました。

この研究は事例を集めたもので、全体のうちどれくらいの割合かは分かりません。インタビューの人数・時期・地域は要旨に書かれていません。

コロナ禍の実態調査

堂下・的場(2020年)が2020年の日本の二者間ファクタリングとSNS上の個人間融資を調べた実態調査では、二者間ファクタリングの取引が減っている「可能性が示唆された」とされました。一方で、SNS上の個人間融資は5月以降に活発になっている可能性も示されています。データの出どころと件数は要旨に書かれていないため、「減った」とまでは言えません。

2つの見方が食い違う点

Klapperの研究は、売掛金の価値に結びついた資金の調達という、仕組みの利点の面を示しています。堂下の研究は、2社間の形を装った貸付けによる被害の面を示しています。どちらか一方だけが正しいのではありません。同じ「ファクタリング」という形でも、実態によって中身が違います。判決が分かれていることは、堂下(2019年)も金融庁のページの裁判例も示しています。

金融庁の裁判例7件と、入金を待つ日数の自前の計算

裁判例7件:貸金業に当たらない2件/当たる等5件

金融庁のページに載っている裁判例を、判断ごとに年月日の順に並べました。

判断 裁判所 年月日
貸金業に当たらない 東京地裁 令和2年9月18日 判決
貸金業に当たらない 東京高裁 令和4年6月15日 判決
貸金業に当たる等 大阪地裁 平成29年3月3日 判決
貸金業に当たる等 東京高裁 令和3年7月1日 判決
貸金業に当たる等 名古屋地裁 令和3年7月16日 判決
貸金業に当たる等 東京地裁 令和4年3月4日 判決
貸金業に当たる等 札幌高裁 令和4年7月7日 判決
金融庁のページの裁判例7件のうち、貸金業に当たらないとされたのが2件、当たる等とされたのが5件であることを、裁判所と年月日で並べた図。
金融庁が載せた裁判例7件

7件のうち5件が「当たる等」とされています。同じページには、給与ファクタリングについての最高裁令和5年2月20日の決定の抜粋も載っています。

貸金業に当たるおそれがある例

金融庁は、貸金業に当たるおそれがある例として次の2つを挙げています。「売主が債権を買い戻すこととされている」と「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」です。売ったはずの債権の回収のリスクを、結局は売主が負う形になっていないかを見ます。

金融庁の注意喚起をもとに、契約書で買い戻し・自己資金での支払い・ノンリコースの扱い・手数料の高さを確かめるチェックリスト。
申し込む前に契約書で見る点

入金を待つ日数の自前の計算

読む人の条件:下請けの受注側で、代金の全部または一部を手形等で受け取っている事業者

見る数字 式 結果 出典
現金100%でない受注側(令和6年度、N=26,520) 100 − 73 27% 中小企業庁『令和6年度 取引条件改善状況調査』
手形サイトが60日超の受注側(令和5年度、N=5,118) 35 + 37 + 10 82% 中小企業庁『令和5年度 取引条件改善状況調査・自主行動計画フォローアップ調査 結果概要』 p.10
手形サイトが60日超の受注側(令和6年度、N=6,209) 100 − 33 67% 中小企業庁『令和6年度 取引条件改善状況調査』 p.17
手形サイトが60日以内の受注側(令和5年度 18%、令和6年度 33%) 33 − 18 15ポイント増 同上

注記:これは下請代金の支払い条件の調査で、ファクタリングの利用の統計ではありません。「入金をどれだけ待つか」の材料としてだけ使ってください。60日超の割合は、「下請代金を手形等で受け取っている場合の手形等のサイト」の問いに答えた受注側(令和6年度 N=6,209・令和5年度 N=5,118)の中での割合です。

よくある質問

ファクタリングと借入はどう違う?

法的には、ファクタリングは債権の売買(債権譲渡)契約です。研究では、売り手全体の信用力ではなく、売掛金の価値に結びつく資金の調達とされています。ただし、買い戻しの約束があるなど実態によっては、貸金業に当たることがあります。

2社間と3社間の違いは? 取引先に知られるのはどちら?

この記事では、取引先も関わる形を「3社間」、利用者と業者の2者で契約する形を「2社間」と呼んでいます。民法467条の通知か承諾を取引先に向けて行う形では、取引先が譲渡を知ることになります。2社間の形は、堂下(2019年)の被害の事例調査の対象になっています。

個人事業主も使える? 給与ファクタリングとは違う?

金融庁の説明では、ファクタリングは「事業者が保有している売掛債権等」を対象にしたサービスです。個人の給料を対象にする給与ファクタリングについては、最高裁令和5年2月20日の決定の抜粋が、金融庁の同じページに載っています。

「ファクタリングはやばい」と言われるのはなぜ?

2社間の形を装ったヤミ金融の被害の事例が、研究で報告されているためです。金融庁も「高額な手数料を支払うと、かえって資金繰りが悪化し、多重債務に陥る危険性があります」と注意しています。契約書で見る点は、上のチェックリストにまとめています。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: ファクタリング 個人事業主 即日 メリット(個人事業主が請求書をその日のうちにお金に替える時の利点と、確かめる点を知りたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」. https://www.fsa.go.jp/user/factoring.html
  2. 民法 第466条・第467条(e-Gov 法令API、令和八年法律第四十五号による改正後の版). https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089?elm=MainProvision-Part_3-Chapter_1-Section_4-Article_466&response_format=xml ・ https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_data/129AC0000000089?elm=MainProvision-Part_3-Chapter_1-Section_4-Article_467&response_format=xml
  3. 中小企業庁『令和6年度 取引条件改善状況調査・自主行動計画フォローアップ調査』令和6年度(令和7年3月). https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250327chousa.pdf
  4. 中小企業庁『令和5年度 取引条件改善状況調査・自主行動計画フォローアップ調査 結果概要』令和5年度(令和6年3月). https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2024/240415chousa.pdf
  5. 堂下浩(2019)「ファクタリングを偽装したヤミ金融の被害に関する事例調査」パーソナルファイナンス研究 6, 57–66. https://doi.org/10.20752/japf.6.0_57
  6. 堂下浩・的場智也(2020)「新型コロナ禍における違法性のある融資取引に関する実態調査」パーソナルファイナンス研究 7, 5–12. https://doi.org/10.20752/japf.7.0_5
  7. Klapper, L.(2006)「The role of factoring for financing small and medium enterprises」Journal of Banking & Finance 30(11), 3111–3130. https://econpapers.repec.org/article/eeejbfina/v_3a30_3ay_3a2006_3ai_3a11_3ap_3a3111-3130.htm (引用はワーキングペーパー版の要旨から:World Bank Policy Research Working Paper No.3593, 2005. https://econpapers.repec.org/paper/wbkwbrwps/3593.htm)

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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