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多汗症の保険適用と費用は?点数・薬価で3割負担を試算、受診経験4.6%

多汗症の保険適用と費用は?点数・薬価で3割負担を試算、受診経験4.6%
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 多汗症で保険適用になる治療と費用の目安です。重度の原発性腋窩多汗症へのボツリヌス注射は保険の対象です。両腋で計100単位を例にすると、薬価と注射の点数から出した3割負担は約17,826円でした(日本皮膚科学会ガイドライン2023・薬価基準・医科点数表。初診料などを除いた試算)。
  • ぬり薬は、腋が2020年11月から、手のひらが2023年6月から保険の対象です。手のひらへのボツリヌス注射は保険の対象外です。
  • 公式の点数と薬価で分けると、両腋で計100単位の注射の3割負担約17,826円のうち、注射の点数の分は200点×2×10円×0.3=1,200円だけで、残りの16,626円(薬価55,420円×0.3)は薬の値段の分なのは、調べて分かった意外な点です。
  • 原発性局所多汗症で受診したことのある人は4.6%、受診を続けている人は0.7%でした。
この記事の目次(7)
  1. 保険が使える治療と、窓口で払う額の目安
  2. 保険適用が決まる仕組み
  3. 公的な統計で見る、治療と受診の実際
  4. 窓口負担・高額療養費・医療費控除の原文と、費用・受診の研究
  5. 点数と薬価から出した3割負担の試算表
  6. よくある質問
  7. 出典

費用と申し込みの流れをまとめた記事: 費用と申し込みの流れをまとめた記事

保険が使える治療と、窓口で払う額の目安

ガイドラインには、ボツリヌス注射の保険適用は「重度の原発性腋窩多汗症にのみ」とあり、手のひらへの注射は「保険適用外治療」とされています。健康保険法 第74条では、70歳に達する月までの人の窓口負担は3割とされています。この割合で公式の点数と薬価から計算すると、腋のボツリヌス注射の窓口負担は、両腋で計100単位(片腋窩50単位×2)なら1回あたり約17,826円でした。

この試算は、1点を10円と置いて計算した概算です。初診料・再診料・処方料・調剤料は入れていません。式と前提は、下の「点数と薬価から出した3割負担の試算表」に載せています。

保険適用が決まる仕組み

重症度の物差し「HDSS」

HDSS は、汗が日常生活にどれだけ差し支えるかを、本人が 1〜4 の 4 段階で答える重症度の物差しです。ガイドラインは 3 を「発汗はほとんど我慢できず,日常生活に頻繁に支障がある」、4 を「発汗は我慢できず,日常生活に常に支障がある」としています。そのうえで「3,4 を重症の指標とする」と書いています。

一方、保険の範囲についてガイドラインにあるのは、ボツリヌス注射は「重度の原発性腋窩多汗症にのみ保険が適用」という書き方です。「重度」の判断に HDSS がどう使われるかは、受診先で確かめる点になります。

部位と治療で分けた保険の区分

原発性とは、ほかの病気や薬が原因ではない多汗症のことです。腋窩は、わきの下を指す医学の言葉です。ガイドラインの原文を部位と治療で分けると、次のようになります。

部位 治療 保険の区分(ガイドラインの原文)
腋 ボツリヌス注射 「重度の原発性腋窩多汗症にのみ保険が適用」
腋 ぬり薬(外用抗コリン薬) 「2020 年 11 月には外用抗コリン薬が保険適応となり」
手のひら ぬり薬 「2023 年 6 月から手掌多汗症のための治療薬が保険適用で追加された」
手のひら ボツリヌス注射 「手掌に対するBT-Aは保険適用外治療」

(日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版」)

外用抗コリン薬は、ガイドラインで保険適用とされたぬり薬の区分です。BT-A は、A型ボツリヌス毒素のことです。

ワキガ(腋臭症)の手術は別の区分

ワキガは医学では腋臭症と呼ばれ、においの悩みを指します。医科点数表では「K008 腋臭症手術」という区分で、多汗症の区分とは別です。「ワキガと多汗症の違い」を保険の面から見ると、点数表の区分が違うということになります。

腋臭症手術の点数は、皮弁法が6,870点、皮膚有毛部切除術が3,000点、その他のものが1,660点です。

点数の数え方の決まり

腋窩多汗症注射(G017)は「片側につき」200点です。留意事項の通知には「同一側の2箇所以上に注射を行った場合においても、1回のみの算定とする」とあります。つまり片側に何か所注射しても、点数は片側1回分です。

イオントフォレーゼ(J055-2)は220点です。多汗症に対しては「他の療法が無効な場合に限り算定する」と決まっています。

なお、ガイドラインは「保険適用の有無のみで治療方針を決定できない」とも書いています。保険の区分は、費用を調べるときの物差しの一つです。

公的な統計で見る、治療と受診の実際

厚生労働省の NDB オープンデータは、保険診療の請求をまとめた公的な統計です。2023年4月〜2024年3月の外来では、腋窩多汗症注射(G017)の算定回数が37,540回でした。同じ期間の腋臭症手術(皮弁法)は10,502回でした。

2023年度の外来で、腋窩多汗症注射の算定回数は37,540回、腋臭症手術の皮弁法は10,502回だったことを示す図
保険診療の算定回数

この数字は算定回数で、G017 は片側ごとに数えます。人数や受診の回数とは違う数字です。入院の分は含みません。

多汗症がどのくらいの人にあるかは、2つの調査があります。藤本ほか(2013年)が20の会社・学校の5〜64歳、有効回答5,807人を対象に調べた調査では、原発性腋窩多汗症は5.75%でした。2020年のウェブ調査では、腋窩が5.9%でした。

原発性局所多汗症の全体では、2013年の調査が12.8%、2020年の調査が10.0%で、数字に差があります。2013年は会社・学校を通じた調査で、2020年はウェブの調査です。集め方が違うので、どちらか一方だけで決めずに並べて見るのが妥当です。

受診の実際も、ガイドラインにまとめられています。2020年の調査では「医療機関への受診経験率は 4.6%であったが,受診継続率は 0.7%」でした。2013年の調査では「全体の 46.8%が HDSS3 または 4 の重症を訴えていた」一方、受診率は6.2%でした。

受診経験4.6%、受診継続0.7%、重症を訴えた人46.8%、受診率6.2%、腋で受診した人のうち今は治療を受けていない人62.3%を示す図
多汗症の受診の実態

保険外の治療を考える人に関係する統計もあります。PIO-NETに登録された美容医療サービスの相談件数は、6,281件(2023年度)、10,744件(2024年度)、7,944件(2025年度)でした(国民生活センター『PIO-NETに登録された相談件数の推移』2026年7月31日更新。件数は2026年5月31日現在で、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません)。これは美容医療全体の件数で、多汗症だけの件数ではありません。

窓口負担・高額療養費・医療費控除の原文と、費用・受診の研究

窓口負担・高額療養費・医療費控除の決まり

窓口負担は、70歳に達する日の属する月以前なら「百分の三十」、つまり3割です。

高額療養費は、ひと月の窓口負担が上限を超えたとき、超えた分が戻る制度です。厚生労働省は「令和8年8月からの制度においては、70歳未満・年収約370万円~約510万円の方であれば、医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円まで抑えられます」と例を示しています。上限は年齢と収入で変わります。

医療費控除は、1年に払った医療費の一部を所得から差し引ける制度です。対象は「医師または歯科医師による診療または治療の対価」で、「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とされています。控除の額は「(実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額)-(2)の金額」で、(1)には高額療養費などで戻る額、(2)には10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)が入ります。

腋窩多汗症の費用の研究

室田ほか(2021年)が、2012年11月〜2019年10月に原発性腋窩多汗症と診断された1,447人の請求データと、16〜59歳の321人のウェブ調査を調べた研究があります。患者1人あたりの年間の直接医療費は、91,491円(2016年)、93,155円(2017年)、75,036円(2018年)でした。どの年も、ボツリヌス注射が全体の約90%を占めていました。

同じ研究で、汗対策の衛生用品にかかる費用は、患者1人あたり年9,325円でした。

この研究には、結果と同じくらい大事な限界があります。データは2016〜2018年度のもので、ぬり薬が保険の対象になった2020年11月より前です。そのため「約9割」が今の割合とは言えません。

請求データは、民間の請求データベースのものです。保険外の治療の費用は入っておらず、論文も保険外の治療を受けた人の割合は「unknown」と書いています。また、ここでの「直接医療費」が窓口で払う額なのか、保険の分も含めた総額なのかは確かめられていないため、窓口負担の目安としては読めません。

研究の資金は製薬会社から出ており、著者のうち2人はその会社の社員でした。3人は同じ会社から講演料を受けていました。

受診と費用の希望の研究

藤本ほか(2023年)が日本の60,969人を対象に行ったウェブの質問票調査では、原発性局所多汗症の人のうち受診したことのある人は4.6%でした。腋の多汗症で受診したことのある人の62.3%は、今は治療を受けていないと答えていました。治療を受けたくなる条件としては、「less expensive treatment(安い治療)」や効果の高い治療、医師に相談しやすいことがよく選ばれていました。

この調査は、本人が答えた内容をまとめた横断の調査です。ある時点の答えを集めたもので、費用と受診の関係を原因と結果として示したものではありません。資金は製薬会社から出ており、共著者のうち3人はその会社の社員でした。

点数と薬価から出した3割負担の試算表

読む人の条件: 3割負担(70歳に達する月まで)の人。1点を10円と置き、2026年10月14日適用の薬価を使った試算です。

治療(例) 式(10割の額) 3割負担
腋のボツリヌス注射 両腋で計100単位(例として) 薬価55,420円 + 200点×2(両側)×10円 = 59,420円 59,420円×0.3 = 17,826円
イオントフォレーゼ 1回 220点×10円 = 2,200円 2,200円×0.3 = 660円
腋臭症手術 皮弁法 6,870点×10円 = 68,700円 68,700円×0.3 = 20,610円
胸腔鏡下交感神経節切除術(両側・手術料のみ) 18,500点×10円 = 185,000円 185,000円×0.3 = 55,500円
グリコピロニウムのぬり薬 30包(1日1包を30日と置いた場合) 242.3円×30 = 7,269円 7,269円×0.3 = 2,180.7円

(点数: 医科点数表〈令和8年厚生労働省告示第69号〉。薬価: 厚生労働省 薬価基準収載品目リスト 2026年10月14日適用)

表の前提です。

  1. 1点を10円と置いた計算です。実際の請求は、点数表の決まりで計算されます。
  2. 初診料・再診料・処方料・調剤料は含みません。薬剤料を点数に直すときの端数の扱いも入れていないので、実際の額とは差が出ます。
  3. 腋臭症手術の6,870点が片側分か両側分かで、額は変わります。受診先で確かめる点です。
  4. 胸腔鏡下交感神経節切除術は、入院を含めてまとめて数える「短期滞在手術等基本料3」(33,988点)とは別の数字で、足していません。
  5. ボツリヌス注射の薬価は、A型ボツリヌス毒素 100単位1瓶の55,420円を使いました。薬価基準にはA型ボツリヌス毒素の製剤が2つあり(50単位1瓶 31,531円もある)、A型ボツリヌス毒素の添付文書(PMDA)の用量は、重度の原発性腋窩多汗症で片腋窩あたり50単位です。使う製剤と量で額は変わります。
  6. 注射の単位数(両腋で計100単位=片腋窩50単位×2)は、添付文書の用量に合わせて置いた例です。
腋のボツリヌス注射、イオントフォレーゼ、腋臭症手術、交感神経節切除術、ぬり薬について、点数・薬価から出した3割負担の試算を並べた表
治療ごとの3割負担の試算

この表は、治療の種類ごとに公式の数字を当てはめた計算です。治療の向き不向きは、部位や重症度で変わります。

保険の治療を調べる前に、次の点を確かめておくと、受診先の説明と照らし合わせやすくなります。

部位、重症度、腋臭症か多汗症かの区分、負担割合、高額療養費と医療費控除の計算式、保険外の相談件数の6点を確かめるチェックリスト
保険の治療を調べる前に

よくある質問

手のひらの多汗症は保険が使えますか

手のひらのぬり薬は、2023年6月から保険の対象になりました。一方、手のひらへのボツリヌス注射は「保険適用外治療」とされています。手のひらのぬり薬の成分の一つ、オキシブチニン塩酸塩20%の薬価は1gあたり539.9円です。

腋のぬり薬の費用はどのくらいですか

腋のぬり薬(外用抗コリン薬)は、2020年11月から保険の対象です。薬価は、ソフピロニウム臭化物5%が1gあたり238.4円、グリコピロニウムトシル酸塩水和物2.5%が1包242.3円です。1日1包を30日と置くと、3割負担の試算は2,180.7円でした(処方料・調剤料などは含まない)。

ワキガの手術は、多汗症と同じ保険の区分ですか

別の区分です。ワキガの手術は「K008 腋臭症手術」で、皮弁法が6,870点、皮膚有毛部切除術が3,000点、その他のものが1,660点です。手術が保険で受けられるかどうかは、受診先で確かめる点です。

医療費控除や高額療養費は使えますか

医療費控除の対象は「医師または歯科医師による診療または治療の対価」のうち、「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」です。控除の額は、払った医療費の合計から高額療養費などで戻る額を引き、さらに10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を引いて出します。高額療養費は、たとえば70歳未満・年収約370万〜約510万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約9.3万円までになります。自分の治療が対象になるかは、税務署や加入している健康保険で確かめてください。

このサイトで次に調べる候補: 多汗症 保険適用 基準(自分の汗の重さで保険の治療の対象になるかを知りたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. Murota H, Fujimoto T, Oshima Y, Tamada Y, Yanagishita T, Murayama N, Inoue S, Okatsu H, Miyama H, Yokozeki H(2021)「Cost-of-illness study for axillary hyperhidrosis in Japan」J Dermatol 48(10):1482-1490. https://doi.org/10.1111/1346-8138.16050 (本文: https://europepmc.org/articles/PMC8518070 )
  2. Fujimoto T, Inose Y, Nakamura H, Kikukawa Y(2023)「Questionnaire-based epidemiological survey of primary focal hyperhidrosis and survey on current medical management of primary axillary hyperhidrosis in Japan」Arch Dermatol Res 315(3):409-417. https://doi.org/10.1007/s00403-022-02365-9
  3. Fujimoto T, Kawahara K, Yokozeki H(2013)「Epidemiological study and considerations of primary focal hyperhidrosis in Japan: from questionnaire analysis」J Dermatol 40(11):886-890. https://doi.org/10.1111/1346-8138.12258
  4. 厚生労働省『第10回 NDBオープンデータ』2023年4月〜2024年3月診療分. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221_00016.html (G 注射: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001493140.xlsx ・K 手術: https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001493186.xlsx )
  5. 国民生活センター『PIO-NETに登録された相談件数の推移(美容医療サービス)』2026年7月31日更新. https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/biyo.html
  6. 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版(2023年12月一部改訂)」日皮会誌 133(13):3025-3056. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/takansho2023_231220.pdf
  7. 医科点数表(令和8年厚生労働省告示第69号). https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  8. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(保医発0305第6号). https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757385.pdf
  9. 厚生労働省 薬価基準収載品目リスト(注射薬)2026年10月14日適用. https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/xls/tp20261014-01_02.xlsx
  10. 厚生労働省 薬価基準収載品目リスト(外用薬)2026年10月14日適用. https://www.mhlw.go.jp/topics/2026/04/xls/tp20261014-01_03.xlsx
  11. 健康保険法 第74条. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/211AC0000000070
  12. 厚生労働省 高額療養費制度を利用される皆さまへ(2026年7月31日更新). https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
  13. 国税庁 タックスアンサー No.1122 医療費控除の対象となる医療費. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
  14. 国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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