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既卒の就活のやり方と成功例:新卒枠で募集した事業所の71%が既卒も応募可

既卒の就活のやり方と成功例:新卒枠で募集した事業所の71%が既卒も応募可
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 既卒の就活のやり方は、まず新卒枠への応募を考えることです。体験談ではなく統計の数字を成功例として読むと、令和6年度新規学卒者の採用枠(新卒枠)で正社員を募集した事業所の71%が既卒も応募できるとし、そのうち43%が既卒の採用にいたりました。
  • 43%は事業所の割合で、応募した人が内定した割合ではありません。全事業所を基準に計算し直すと、既卒の採用にいたった事業所は約18%です(同じ調査の表8から計算した目安)。
  • 令和7年8月の調査の表で並べると、新卒枠で募集した事業所のうち既卒も応募できたのは全産業の合計で71%なのに、製造業は60%、医療,福祉は84%と産業で24ポイント開いていたのは、調べて分かった意外な点です。
  • 卒業時に正社員になれなかった不利について、研究の結果は割れています。「卒業後の適当な期間内に正社員になれば不利は見られず、影響は約10年でほぼ消える」という研究(Hamaaki ほか 2013 年・女性が対象)と、「入る産業や職場訓練に差がある」という研究(岩脇 2023 年・正社員になった人だけの比較)があります。
この記事の目次(9)
  1. 結論:新卒枠に応募できる事業所は7割、採用にいたった事業所は全体の約2割
  2. 「既卒」とは何か:調査の定義と、採用枠・経路の仕組み
  3. データで見る既卒の採用:産業による差と入職の経路
  4. 研究で分かっていること:卒業時の不利はいつまで続くか
  5. この記事だけの表:「43%」を基準ごとに計算し直す
  6. 自分の志望の産業で計算する表
  7. よくある質問
  8. 次に読む
  9. 出典

転職エージェントの一例を説明した記事: キャリアチケット転職とは何かと、成長企業へ移りたい人の使い方3つ

結論:新卒枠に応募できる事業所は7割、採用にいたった事業所は全体の約2割

新卒枠で正社員を募集した事業所のうち、既卒も応募できたのは71%でした。そのうち既卒の採用にいたったのは43%です。

厚生労働省『労働経済動向調査(令和7年8月)結果の概要』の切り抜き。71の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『労働経済動向調査(令和7年8月)結果の概要』(2026-10-21 撮影)

国の指針(案)の概要は、新卒枠の募集では「卒業後少なくとも三年間は応募できる」ようにすることを求めています。大学卒で卒業後3年以内の既卒の人は、勤務経験がなくても、求人広告から入職した人が最も多い経路でした。

職業紹介事業者(仕事を紹介する会社。転職エージェントもこれに当たる)は、原則として求職者から手数料を取れません。研究では、早めに正社員になることと不利が小さいことに関係がありました(Hamaaki ほか 2013 年・女性が対象の観察研究)。ただし、入る産業や職場訓練に差が残るという研究もあります(岩脇 2023 年・正社員になった人だけの1時点の比較)。

「既卒」とは何か:調査の定義と、採用枠・経路の仕組み

調査でいう「既卒者」は勤務経験を問わない

労働経済動向調査では、「既卒者」を次のように決めています。学校を卒業してすぐその事業所に入った人以外で、35歳未満の人です。勤務経験の有無は問いません。

検索の上位に出るサイトの中には、既卒を「学校を卒業後正社員として就職したことが一度もないまま一定期間経過した人」と説明している所があります。キャリアトラスは一般的に卒業後3年以内の人としていますが、調査の定義は35歳未満で勤務経験を問いません。応募先やサービスが「既卒」をどう決めているかは、申し込む前に見ておくと迷いが減ります。

新卒枠と中途枠

新卒枠は、その春に卒業する人を主な対象にした採用の枠です。中途枠は、働いた経験のある人を主な対象にした採用の枠です。

指針(案)の概要は、新卒枠に卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすることを求めています。あわせて、できる限り年齢の上限を設けないようにすることも書かれています。

仕事を探す4つの経路

  • 求人広告:会社が出す募集に、自分で応募する経路です。
  • 学校:卒業した学校の就職の窓口を通す経路です。
  • ハローワーク:国の職業紹介の窓口です。若い人向けに新卒応援ハローワークがあります。
  • 職業紹介事業者:民間の紹介会社です。手数料は原則として求職者からは取りません。
既卒の就活を、定義の確認、募集要項の確認、経路の選択の3段で示した図
既卒の就活のやり方

データで見る既卒の採用:産業による差と入職の経路

産業で差がある:医療・福祉は84%、製造業は60%

新卒枠で募集した事業所のうち、既卒も応募できた割合は産業で差があります。医療,福祉は84%で、そのうち54%が採用にいたりました。製造業は60%で、そのうち33%でした。

この調査は、30人以上の常用労働者がいる全国の民営事業所が対象です。有効回答は3,253事業所で、有効回答率は56.2%でした。

新卒枠で募集した事業所のうち既卒も応募できた割合と、そのうち採用にいたった割合を産業別に並べた表
産業別 既卒の応募と採用

全産業の合計は、前年の調査では応募できたのが72%、そのうち採用にいたったのが40%でした。平成29年8月の調査では、既卒が応募できた事業所は46%でした。調査の年も対象の事業所の数も違い、設問の分母が同じかも確かめられていないので、伸びの大きさは目安として見てください。

今後の方針:「応募可能としたい」は31%

既卒の新卒枠への応募について、今後の方針も聞いています。全産業では「応募可能としたい」が31%、「年齢によって応募可能としたい」が13%、「応募不可としたい」が3%でした。「現在のところ未定」は31%です。

医療,福祉では「応募可能としたい」が52%でした。年齢で線を引く事業所もあるので、募集要項の年齢の欄は確かめておくと安心です。

大学卒の既卒は、求人広告からの入職が最も多い

岩脇・小杉(2023 年)は、雇用動向調査(2014〜2020年)の個票を集計しました。正社員として入職した大学卒の若年者(男女計、3,933.8千人)のうち、上期の新卒就職者は71.0%でした。上期の3年以内既卒就職者は15.2%、下期の3年以内既卒就職者は13.8%でした。

新卒者か卒業後3年以内の既卒者を正社員で採用した事業所のうち、年間で約6割が新卒者を、約5割が3年以内既卒者を採用していました。大学卒の3年以内既卒就職者は、勤務経験がない場合も求人広告からの入職が最も多くありました。非大卒で就労経験がない3年以内既卒の人は、卒業後も学校を通して入職する傾向がありました。

この報告は、事業所調査と入職者調査を集計した物です。

大学生全体の就職率

令和8年3月卒業の大学生の就職率は98.0%で、前年同期と同じでした。この調査は112校を抽出し、6,250人を対象にした物です。卒業時点の数字で、既卒の人の就職を示す数字ではありません。

研究で分かっていること:卒業時の不利はいつまで続くか

ここで扱う研究は、どれもランダム化の試験ではありません。調査の結果を後から分析した観察研究なので、分かるのは「関係」までです。

早めに正社員になれば不利は見られなかった研究

Hamaaki ほか(2013 年)が、消費生活に関するパネル調査の女性の就業者を対象に調べた研究があります。最初の仕事の形は、その後の仕事の形と関係がありました。その影響は年がたつにつれて弱まり、卒業後およそ10年でほぼ消えていました。

卒業時に正社員になれなくても、適当な期間内に正社員になれた人では、不利は見られませんでした。対象は女性だけで、男性に当てはまるかはこの研究からは言えません。

入る産業や職場訓練に差があった研究

岩脇(2023 年)が、厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査」の個票を対象に調べた研究があります。新卒で正社員になった人と、卒業後に無業や非正規を経て正社員になった人(この研究では「非典型就職者」と呼ぶ)を比べました。非典型就職者の勤め先は、同じ学歴の新卒就職者が少ない産業が多くありました。非大卒では、雇用の質が低い産業が多いという関係がありました。

さらに、新卒中心の採用をする産業で技能の水準が高い職業に就いた場合、非典型就職者には職場訓練の経験者が少ない傾向がありました。この研究は2018年の1時点の比較で、同じ人を追いかけた調査ではありません。対象は正社員になった人だけです。

2つの研究をどう読むか

2つの研究の結果は、同じ方向ではありません。Hamaaki ほか(2013 年)は不利が時間とともに消えるという結果で、岩脇(2023 年)は差があるという結果です。対象が違う(女性だけ/正社員になった人だけ・1時点)ので、どちらが正しいかはここでは決めません。

研究 研究の種類 対象 結果 限界
Hamaaki ほか(2013 年) 観察(パネルデータ) 女性の就業者 初職の影響は約10年でほぼ消える。適当な期間内に正社員になれば不利は見られなかった 女性だけが対象
岩脇(2023 年) 観察(個票の二次分析) 正社員の若者 非典型就職者は新卒が少ない産業に多く、一部の条件で職場訓練が少なかった 1時点の比較。正社員になった人だけ
岩脇・小杉(2023 年) 観察(個票の集計) 入職した人 大学卒の既卒は求人広告、非大卒で就労経験がない既卒は学校からの入職が多い 事業所調査と入職者調査の集計

この記事だけの表:「43%」を基準ごとに計算し直す

43%は、「新卒枠で募集し、既卒も応募できた事業所」を100とした割合です。基準を全事業所に変えると、数字の見え方が変わります。

読む人の条件:30人以上の常用労働者がいる民営事業所に、新卒枠で応募しようとしている35歳未満の既卒の人。数字は厚生労働省『労働経済動向調査』令和7年8月の表8(全産業の合計)を使いました。

基準にする物 式 結果
全事業所のうち、新卒枠で募集し既卒も応募できた 0.59(新卒枠で募集した)× 0.71(既卒も応募できた) 約42%
全事業所のうち、既卒の採用にいたった 0.59 × 0.71 × 0.43(採用にいたった) 約18%
新卒枠で募集した事業所のうち、既卒の採用にいたった 0.71 × 0.43 約31%

四捨五入された割合どうしを掛けているので、結果は目安です。どれも事業所の割合で、応募した既卒の人が内定した割合ではありません。

全事業所のうち既卒も応募できたのは約42%、既卒の採用にいたったのは約18%、新卒枠で募集した事業所のうち既卒の採用にいたったのは約31%であることを示す図
基準を変えた既卒採用の割合

産業別の一覧(表8の全産業)

数字は厚生労働省『労働経済動向調査』令和7年8月の表8のとおりです。「新卒枠で募集した」は全事業所を100とした割合、ほかの3列は新卒枠で募集した事業所を基準にした割合です(「採用にいたった」は既卒も応募できた事業所を100とした割合)。

産業 新卒枠で募集した 既卒も応募できた そのうち採用にいたった 応募不可だった
全産業の合計 59 71 43 26
建設業 70 73 36 23
製造業 73 60 33 38
情報通信業 73 82 45 16
運輸業,郵便業 38 64 38 34
卸売業,小売業 53 70 43 27
金融業,保険業 55 79 48 21
不動産業,物品賃貸業 59 61 38 33
学術研究,専門・技術サービス業 77 74 37 24
宿泊業,飲食サービス業 46 78 44 22
生活関連サービス業,娯楽業 39 69 42 26
医療,福祉 67 84 54 13
サービス業(他に分類されないもの) 30 78 47 21

(単位:%)

検索の上位3サイトとの違い

項目 キャリアトラス ハタラクティブ タレントスクエア この記事
統計の数字 民間調査の数字(マイナビ・内定率49.3%など)と指針 全産業の合計 全産業の合計(令和5年8月) 産業別(表8・表9)
論文の引用 なし JILPT 報告書1本(No.213) なし 観察研究2本と報告1本
自前の計算 確かめた範囲では無い 確かめた範囲では無い 確かめた範囲では無い 基準を分けた計算
手順の説明 あり コツ4つの一覧(手順の説明は無い) あり あり

自分の志望の産業で計算する表

使い方: 自分の志望の産業の行で A × B を計算して右の欄に入れて、上から順に確かめます。

産業 既卒も応募できた(A) そのうち採用にいたった(B) 自分の答え(A × B)
医療,福祉 84% 54%  
情報通信業 82% 45%  
金融業,保険業 79% 48%  
全産業の合計 71% 43%  
製造業 60% 33%  

式: 新卒枠で募集した事業所のうち、既卒の採用にいたった事業所の割合 = A × B(数字は令和7年8月の調査の表8で、30人以上の常用労働者がいる民営事業所が対象です。四捨五入された割合どうしの掛け算なので目安で、応募した人が内定した割合ではありません)。

例: 医療,福祉なら 84% × 54% ≒ 45%で、全産業の合計の 71% × 43% ≒ 31%より高い目安です。

よくある質問

卒業後何年まで新卒枠に応募できる?

指針(案)の概要は、新卒枠の募集で卒業後少なくとも3年間は応募できるようにすることを求めています。年齢の上限もできる限り設けないよう求めています。ただし「年齢によって応募可能としたい」とする事業所が13%あるので(厚生労働省『労働経済動向調査』令和7年8月、表9)、応募先ごとの募集要項で確かめてください。

既卒向けのエージェントを使うと料金はかかる?

職業安定法 第32条の3 第2項は、有料職業紹介事業者は求職者から手数料を取ってはならないと定めています。ただし、求職者の利益のために必要と認められる場合として厚生労働省令で定めるときは、例外として手数料を取れるという但し書きがあります。申し込む前に、求職者への請求があるかを確かめると安心です。

既卒の就活は厳しい? 卒業時の不利はいつまで続く?

全事業所を基準にすると、既卒の採用にいたった事業所は約18%です(表8から計算した目安)。新卒枠で募集した事業所に限ると約31%で、医療,福祉のように既卒の採用が多い産業もあります。不利がいつまで続くかは研究の結果が割れていて、早めに正社員になれば不利が見られなかった研究(女性が対象)と、入る産業や訓練に差があった研究(正社員になった人の1時点の比較)があります。

就職先が決まらないまま卒業したら、どこに相談できる?

卒業した学校の就職の窓口と、若い人向けの新卒応援ハローワークが相談先になります。

既卒が応募先やエージェントに申し込む前に確かめる5つの点の一覧
申し込む前に確かめる点

次に読む

アルバイトなどで働いたことのある既卒の人は、面談の前に、その仕事を短く説明できるようにしておくと話が進みやすくなります。

このサイトで次に調べる候補: 既卒 就活 やり方 注意点(応募の前に、既卒の就活でつまずきやすい点を確かめたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 厚生労働省『労働経済動向調査(令和7年8月)結果の概要』2025年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2508/dl/4kekkagaiyo.pdf
  2. 厚生労働省『労働経済動向調査(令和7年8月)調査の概要』2025年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2508/dl/1gaiyo.pdf
  3. 厚生労働省『労働経済動向調査(平成29年8月)の結果』2017年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/1708/dl/siryo.pdf
  4. 厚生労働省・文部科学省『令和8年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)』2026年. https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00065.html
  5. 岩脇千裕(2023)「入職経緯が若年正社員のキャリア形成に及ぼす影響」日本労働研究雑誌 No.757. https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2023/08/pdf/004-019.pdf
  6. Hamaaki, J., Hori, M., Maeda, S., Murata, K.(2013)「How does the first job matter for an individual's career life in Japan?」Journal of the Japanese and International Economies 29(C). https://doi.org/10.1016/j.jjie.2013.07.004
  7. 岩脇千裕・小杉礼子(2023)「若年既卒者の雇用動向―厚生労働省「雇用動向調査」二次分析―」JILPT 資料シリーズNo.266. https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2023/266.html
  8. 職業安定法(e-Gov). https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000141
  9. 厚生労働省「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針(案)概要」(指針(案)の概要で、告示の本文ではない). https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/0000097965.pdf
  10. キャリアトラス(比べたサイト). https://www.neo-career.co.jp/careertrus/tenshoku_kisotsu_yarikata
  11. ハタラクティブ(比べたサイト). https://hataractive.jp/useful/175
  12. タレントスクエア(比べたサイト). https://talentsquare.co.jp/career/kisotsu-shukatsu-howto-column/

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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