看護師の給料が上がる2026年改定はいつから。6月施行、賃上げ3.2%は目標

2026-10-21 公開・2026-11-03 更新
この記事の要点
- 看護師の給料が上がる2026年(令和8年)の診療報酬改定は6月施行です。ただし、いつから算定するかは病院ごとの届出で決まり、6月から算定する病院は5月中に届け出ます。
- 令和8・9年度にそれぞれ+3.2%のベースアップを目指しますが、これは政府の目標です。届かなくても病院は評価料を算定できます。病院に課される決まりは、評価料で入ったお金を全部、基本給や毎月の手当の引上げなどに使うことです。
- 改定前の基本給等が25万円なら、3.2%は月8,000円です。基本給等は、基本給と毎月決まって支払われる手当の合計です。
この記事の目次(7)
- 2026年の改定は6月施行、3.2%は目標で、届出と8月の報告で確かめる
- 自分の基本給で賃上げ率を出す書き込み表
- 仕組み: ベースアップ評価料と「基本給等」の意味
- ほかの産業との比べ
- よくある質問
- 次に読む
- 出典
2026年の改定は6月施行、3.2%は目標で、届出と8月の報告で確かめる
いちばん早い場合は、賃金改善の期間を4月〜翌年3月にした病院で、令和8年4月からの給料が上がる分の対象です。6月〜翌年5月にした病院は、6月からの給料が対象です。自分の病院がどちらかは、事務か師長に聞くと分かります。改定は令和8年6月に施行され、6月から算定する(報酬として受け取る)病院もあります。
聞き方の例:「今年のベースアップ評価料は届け出ていますか。何%上げる予定で、何月分の給料から入りますか。夜勤手当にも回しますか。」
答えで分かるのは、次の4つです。
- 病院がベースアップ評価料(受け取ったお金を賃上げに使うと決まっている診療報酬)を届け出ているか
- 予定している賃上げの率は何%か
- 評価料のお金を夜勤手当の増額に回すか
- 毎年8月の報告が、令和8年5月と比べた実績であること
聞いた答えごとの次の行動は、次のとおりです。
+3.2%のベースアップは、届かなくても評価料を算定できる目標です。
出典: 日本医師会の資料(疑義解釈(その2)問7〔令和8年4月1日付け〕を掲載)(2026-10-21 撮影)
2026年改定の4つの数字
病院に決まりとしてかかっているのは率ではなく、入ったお金の使い道です。上がった分は令和8年3月か5月時点の給与と比べて測り、病院は毎年8月に国へ報告します。
自分の基本給で賃上げ率を出す書き込み表
使い方: 自分の給与明細から、改定前と改定後の「基本給等」を入れます。
式: 自分の賃上げ率(%)=(改定後の基本給等 − 改定前の基本給等)÷ 改定前の基本給等 × 100
例: 改定前の基本給等が25万円なら、3.2%は月8,000円です。上がった額が月8,000円より少なければ、目標に届いていません。
| 項目 |
書き込む欄・比べる数字 |
| 改定前の基本給等(令和8年3月か5月時点) |
円 |
| 改定後の基本給等 |
円 |
| 差(改定後 − 改定前) |
円 |
| 自分の率(差 ÷ 改定前 × 100) |
% |
| 比べる: 2026年改定のベースアップの目標(各年度) |
3.2% |
| 比べる: 前回の看護職員等の計画値(令和6年度) |
2.71% |
| 比べる: 前回の看護職員等の計画値(2年の合計) |
3.58% |
| 比べる: 医療・福祉の賃上げ率(2025年) |
2.3% |
| 比べる: 全産業の賃上げ率(2025年) |
4.4% |
基本給等は、基本給と毎月決まって支払われる手当の合計です。交替制で働く人の夜勤手当も含めてよいことになりました。定期昇給の分は入れません。
仕組み: ベースアップ評価料と「基本給等」の意味
今回の診療報酬改定の改定率は、令和8年度と令和9年度の2年度分で示されています。ベースアップ評価料は、受け取ったお金を職員の賃上げに使うことが決まっている、診療報酬の項目です。
ニュースの3.09%は病院に入るお金の率で、看護師の給料の目安は各年度3.2%です。
看護補助者と事務職員の目安は5.7%です。
改定率の内訳
賃上げの「ベア等」は、基本給か毎月決まって支払われる手当の引上げのことです。毎年の定期昇給は入りません。
令和8年度からは、夜を含む交替制で働く人の夜勤手当の増えた分も、基本給等に含めてよいことになりました。評価料で入ったお金を夜勤手当の増額に使うことも、「可能とする」とされました。
ほかの産業との比べ
2025年(令和7年)の1人あたりの上がった額は、医療・福祉が5,589円で、全産業の13,601円の約4割でした。前回の改定でも、看護職員等の賃上げは計画の段階で2年で3.58%でした。看護師だけの基本給の推移は、統計の記事で見られます。
2025年の賃上げ
※この調査の対象は常用労働者100人以上の民間企業です。「医療,福祉」は産業の区分なので、看護師だけの数字ではありません。
研究で分かっていること(賃金だけで看護師は職場に残るか・4つの研究)を見る
給料が上がれば辞めたい気持ちがなくなる、とは言い切れません。日本の女性看護師の研究では、正規雇用の若手の転職を考える気持ちと関係があったのは労働時間の長さで、賃金との関係が見えたのはベテランだけでした。海外の研究でも賃金の影響の大きさは分かれ、契約や働く時間帯などの条件も大事だとされています。
宮崎(2012年)の日本の女性看護師の研究では、正規雇用の若い看護師で、労働時間が長いことと転職を考える気持ちが強いことに関係がありました。賃金が上がることと勤め続けたい気持ちに関係があったのは、ベテランの看護師だけでした。
この結果は、日本で正規雇用として働く女性の看護師に当てはまりやすいです。ただ、ベースアップ評価料が始まる前のデータなので、今回の賃上げの効果には当てはまりません。同じ研究では、近年、正規雇用の若い看護師で転職を考える気持ちが強まっていました。
Hanelほか(2014年)のオーストラリアの研究では、賃金が看護師の働く量に与える影響は、これまでの推定より大きいかもしれないと推定されました。その影響は主に、看護の仕事に就くか辞めるかの決定を通して出ていました。
Kankaanrantaほか(2009年)のフィンランドの研究では、賃金の影響の大きさ(弾力性)はかなり小さいと推定されましたが、働く時間への効果ははっきり認められました(有意)。賃金だけでは足りないかもしれず、契約の条件なども大事なようだとしています。
Eberthほか(2016年)は、働く条件や時間帯の都合も働く量を決める大事な要因だとする立場から、新しく集めたデータで働く量を推定しました。雇う側が看護の仕事の魅力を上げるには、こうした条件を変えることが大事な方法の一つだとしています。
賃金の影響が「大きいかもしれない」とする研究と「かなり小さい」とする研究があり、結果は分かれています。海外の3本は国の制度が違うため、日本の病院で働く人にそのまま当てはまるとは言えません。
**研究の読み方**
| 研究 | 調べ方 | 対象と人数 | 分かったこと | 限界 |
|---|---|---|---|---|
| 宮崎(2012年) | 観察・相関。総務省「就業構造基本調査」の個票を使った二次分析 | 日本の女性看護師(全職種の雇用女性と比べた)。人数・年は要旨に記載なし | 正規雇用の若手は労働時間の長さが転職を考える気持ちと関係。賃金と勤め続けたい気持ちの関係はベテランだけ | 要旨のみ読んだ。調べたのは意識で、実際に辞めたかではない。ベースアップ評価料(2024年〜)より前のデータ |
| Hanelほか(2014年) | 観察。構造モデルによる計量分析 | オーストラリアの看護資格を持つ人 | 賃金の影響はこれまでの推定より大きいかもしれない。