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確定申告の帳簿の種類はどれを選ぶ?3種の比較表とe-Tax利用77.1%

確定申告の帳簿の種類はどれを選ぶ?3種の比較表とe-Tax利用77.1%
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 確定申告の帳簿の種類は 3 つあります。白色の簡易な方法、青色の簡易帳簿(控除 10万円)、青色の正規の簿記(控除 55万円・条件を満たせば 65万円)です。どれを選ぶかは、青色の届出と記帳の方法で決まります。
  • 青色にするには「青色申告承認申請書」を出します。期限は、青色申告をしようとする年の 3月15日までです。その年の 1月16日以後に開業したときは、業務を開始した日から 2か月以内です。
  • 公式の控除の額で並べると、正規の簿記の 55万円に e-Tax での申告などの条件を足して増える分は 65万円 − 55万円 = 10万円で、簡易帳簿で受けられる控除の全部と同じ額なのは、調べて分かった意外な点です。
  • 令和7年分では、確定申告をした 2,353万人のうち 77.1% が e-Tax を使いました。自宅から e-Tax で申告した人は 40.3% でした。
この記事の目次(9)
  1. 結論:届出・記帳の方法・e-Tax の 3 つで帳簿の種類が決まる
  2. 帳簿の種類の仕組みと、言葉の意味
  3. 確定申告の実際をデータで見る
  4. 研究で分かっていること:正規の簿記とソフトの限界
  5. 3 種の帳簿を条文と国税庁の文で比べる表
  6. 自分の条件で引く早見表
  7. よくある質問
  8. 次に読む
  9. 出典

白色の収支内訳書を無料のプランで作る前に確かめる点をまとめた記事: Excel の手集計をやめて、白色の収支内訳書をやよいの無料プランで作る前に確かめる点

結論:届出・記帳の方法・e-Tax の 3 つで帳簿の種類が決まる

帳簿の種類は、まず青色申告の届出をするかどうかで分かれます。届出をしなければ白色です。白色では、日々の合計をまとめて書くなど、簡易な方法で記帳できます。

青色にした場合は、記帳の方法で控除の額が変わります。現金出納帳などの簡易な帳簿なら 10万円です。正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳すると 55万円になり、e-Tax などの条件も満たすと 65万円になります。

国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除の切り抜き。10万の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除(2026-10-21 撮影)

選ぶ順番は「届出をするか → 複式簿記で記帳できるか → e-Tax で申告するか」です。この 3 つに答えると、使う帳簿の種類が決まります。

帳簿の種類の仕組みと、言葉の意味

白色の記帳の義務(所得税法232条)

白色でも、事業所得・不動産所得・山林所得を生ずべき業務を行う人には、帳簿をつける義務があります。所得税法232条は、総収入金額と必要経費に関する事項を「財務省令で定める簡易な方法により記録」し、帳簿を保存するよう定めています。

記帳する中身は、取引の年月日、相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額などです。一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて書くこともできます。

業務に係る雑所得がある人も対象になることがあります。前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が 300万円を超えると、帳簿などの保存が要ります。

青色の帳簿の義務(所得税法148条)

青色申告の承認を受けた人は、帳簿書類を備え付け、不動産所得・事業所得・山林所得の取引を記録して保存しなければなりません。記帳の原則は、年末に貸借対照表と損益計算書を作れる「正規の簿記」です。

簡易帳簿は、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳のような帳簿のことです。これらを備え付けて簡易な記帳をするだけでもよいとされています。

正規の簿記は、一般的には複式簿記を指します。

確定申告の実際をデータで見る

令和7年分の確定申告は2,353万人で、事業所得者の納税人員は154万人、e-Tax利用は77.1%、自宅からのe-Taxは40.3%だったことを示す図
令和7年分の確定申告の状況

令和7年分の所得税等の確定申告書を出した人は 2,353万人で、前年より 0.6% 増えました。平成28年分以降、緩やかな増加傾向です。

事業所得者の納税人員は 154万人で、前年より 30.6% 増えました。その所得金額は 9兆729億円、申告納税額は 9,298億円でした。

申告した 2,353万人のうち 77.1% が e-Tax を使いました。「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを使って、自宅から e-Tax で申告した人は 949万人で、全体の 40.3% です。

財務省『ファイナンス』2026年8月号(国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」の紹介)令和7年分の「・e-Tax利用割合は77%となり、申告人員の8割目前に」の切り抜き。77.1の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 財務省『ファイナンス』2026年8月号(国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」の紹介)令和7年分(2026-10-21 撮影)

2,353万人には、帳簿が要らない人も含まれます。また、この数字には青色・白色の内訳はありません。帳簿の種類ごとの人数ではなく、申告の方法の目安として読んでください。

研究で分かっていること:正規の簿記とソフトの限界

ここで紹介する 3 本は、制度や実務を解釈した文献研究・考察です。人数を数えて比べた実証の研究ではありません。そのため、効果や関係を示す物ではなく、論じている内容として紹介します。

小川(2021 年)が青色申告制度の「正規の簿記の原則」を対象に調べた研究では、税法の正規の簿記の原則は「正確な会計帳簿および貸借対照表,損益計算書の作成に関する記録と形式を定めた原則」だと論じています。一方で、もとになった企業会計原則の同じ名前の原則には多くの解釈があり、概念はまだ明らかでないとも述べています。要旨では概念の整理を述べていて、記帳の実態や手間には触れていません。

成宮(2018 年)が中小企業の青色申告制度と会計の関係を対象に調べた研究では、形式的に記帳するだけでなく、「会計に基づいた会計処理,記帳が必要」だと論じています。対象は主に法人で、文中の「約90%」は法人での青色申告の普及率です。個人事業者の数字ではありません。

木川(2019 年)が中小企業の会計実務と会計ソフトを対象に考察した研究では、会計ソフトでもすべての会計データが自動で帳簿に反映されるわけではないと論じています。理由は、支出の目的が多様なことと税法の観点から、適切な勘定科目(取引を分類する名前)を自動で決めにくいためです。中小企業の会計実務を対象にした考察で、2019年時点の技術についての考察です。

3 種の帳簿を条文と国税庁の文で比べる表

白色、青色の簡易帳簿、青色の正規の簿記の3つについて、記帳の中身、控除額、保存年数を比べた表
帳簿の種類3つの違い
帳簿の種類 記帳する中身 根拠 控除 届出の期限 保存の年数
白色:簡易な方法 収入・仕入れ・経費の年月日、相手方、金額。日々の合計をまとめて書いてもよい 所得税法232条・No.2080 なし 届出なし 帳簿や書類 5年(記帳制度に基づいて作った帳簿は 7年)
青色:簡易帳簿 現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳のような帳簿 所得税法148条・No.2070・No.2072 10万円 3月15日まで(1月16日以後の開業は 2か月以内) 原則 7年(書類によっては 5年)
青色:正規の簿記 一般的には複式簿記。貸借対照表と損益計算書を作る 所得税法148条・No.2072・租税特別措置法25条の2 55万円 同上 同上
青色:正規の簿記+条件 上に加えて e-Tax での申告か、優良な電子帳簿の保存 No.2070(注1)・No.2072・租税特別措置法25条の2 65万円 同上 同上

控除額の差の計算

条件:青色申告の承認を受けていて、簡易帳簿と正規の簿記のどちらにするか迷っている人。

比べる組み合わせ 式 控除額の差
正規の簿記(55万円)と簡易帳簿(10万円) 55万円 − 10万円 45万円
正規の簿記+条件(65万円)と簡易帳簿(10万円) 65万円 − 10万円 55万円

これは所得から差し引く控除額の差です。納める税額の差ではありません。税額の差は、その人の所得税率によって変わります。

e-Tax の使われ方の目安

65万円の控除の条件の 1 つが e-Tax での申告です。令和7年分では、申告した人の 77.1% が e-Tax を使い、自宅から e-Tax で申告した人は 40.3% でした。

項目 式 結果
自宅から e-Tax で申告した人の割合 949万人 ÷ 2,353万人 40.3%

帳簿の種類を選ぶ手順

所得の種類、青色の申請期限、記帳の方法、65万円の条件、保存年数の順に確かめる手順を示す図
帳簿の種類を選ぶ5段
  1. 所得の種類を確かめます。 事業所得・不動産所得・山林所得なら、白色でも記帳の義務があります。業務に係る雑所得は、前々年分の収入金額が 300万円を超えると帳簿などの保存が要ります。
  2. 青色にするか決めます。 決めたら、申請の期限に間に合うかを確かめます。期限は 3月15日まで、1月16日以後の開業なら業務を開始した日から 2か月以内です。
  3. 青色なら、記帳の方法を選びます。 簡易帳簿なら 10万円です。正規の簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を期限内に添付すると 55万円です。
  4. 65万円の条件を確かめます。 e-Tax で申告するか、優良な電子帳簿の保存をしているかです。
  5. 保存の年数を確かめます。 青色は原則 7年、書類によっては 5年です。白色は 5年、記帳制度に基づいて作った帳簿は 7年です。

令和9年分以後の青色申告特別控除については、改正の予定が報じられています。申告する年の国税庁の案内で、控除の区分を確かめてください。

帳簿の種類を選ぶ前に確かめる6つの点を並べたチェックリスト
選ぶ前に確かめる点

自分の条件で引く早見表

使い方: 自分の届出と記帳の方法を右の欄に入れて、上から順に確かめます。

自分の条件 使う帳簿の種類 控除 自分の場合
青色申告承認申請書を出さない 白色:簡易な方法(日々の合計でも可) なし  
青色で、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳のような帳簿で記帳する 青色:簡易帳簿 10万円  
青色で、正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳し、貸借対照表と損益計算書を期限内に添付する 青色:正規の簿記 55万円  
上に加えて、e-Tax で申告するか、優良な電子帳簿の保存をする 青色:正規の簿記+条件 65万円  

式: 控除額の差 = 選びたい帳簿の控除 − いまの帳簿の控除

例: いまが簡易帳簿で正規の簿記+条件を選ぶなら、65万円 − 10万円 = 55万円 で、控除額の差は 55万円です(控除額の差で、税額の差ではありません)。

よくある質問

白色の帳簿には何を書けば足りますか

取引の年月日、売上先・仕入先などの相手方の名称、金額、日々の売上げ・仕入れ・経費の金額などを書きます。一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額のみをまとめて書く簡易な方法でもよいとされています。

青色の簡易帳簿と複式簿記では、控除がいくら違いますか

正規の簿記(55万円)と簡易帳簿(10万円)の差は 45万円です。65万円の条件を満たす場合は、差は 55万円になります。これは控除額の差で、税額の差ではありません。

帳簿は何年保存しますか

青色は原則 7年で、書類によっては 5年でよい物もあります。白色は帳簿や書類を 5年、記帳制度に基づいて作った帳簿は 7年です。

白色で帳簿をつけていませんでした。どうすればよいですか

事業所得などがある人には、白色でも記帳の義務があります。日々の合計金額をまとめて書く簡易な方法も認められているので(国税庁 No.2080)、その方法で記帳を始めてください。

会計ソフトなら、帳簿は全部自動になりますか

木川(2019 年)の考察では、会計ソフトでもすべての会計データが自動で反映されるわけではなく、勘定科目を自動で決めにくいと論じています。中小企業を対象にした、2019年時点の技術についての考察です。ソフトを使う場合も、勘定科目を確かめる手間は残ると考えておくとよいでしょう。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: 青色申告 やり方 わからない(青色申告の届出から記帳までの流れを順に知りたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 小川 晃司(2021)「青色申告制度と正規の簿記の原則」簿記研究 4巻2号 p.8-18. https://doi.org/10.32177/jjac.4.2_8
  2. 成宮 哲也(2018)「中小企業における青色申告制度の会計の実質と今後の方向性」中小企業会計研究 2018巻4号 p.8-17. https://doi.org/10.34576/jarsmes.2018.4_8
  3. 木川 明彦(2019)「中小企業において電子決済が会計実務に及ぼす影響に関する一考察」ビジネス・マネジメント研究 15巻 p.57-72. https://doi.org/10.34491/bms.15.0_57
  4. 財務省『ファイナンス』2026年8月号(国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」の紹介)令和7年分. https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202608/202608c.html
  5. 所得税法 第148条. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=昭和四十年法律第三十三号;article=第百四十八条
  6. 所得税法 第232条. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=昭和四十年法律第三十三号;article=第二百三十二条
  7. 国税庁 タックスアンサー No.2070 青色申告制度. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
  8. 国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
  9. 国税庁 タックスアンサー No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm
  10. 租税特別措置法 第25条の2. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/articles;lawNum=昭和三十二年法律第二十六号;article=第二十五条の二

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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