FOMC の会見が毎回になった 2019 年からの、FOMC の日の豪ドル円・NZ ドル円の上げの窓:会見の時間まで延ばした窓の確かめ 2026-11-05 更新
研究ノート 16・西原商事(アルゴス)・2026 年 11 月 5 日
要旨
本稿は、米国の FOMC(連邦公開市場委員会)の声明の日に、豪ドル円と NZ ドル円が上がる型を、議長の記者会見の時刻と回数の変更から調べました。FOMC は 2013 年 3 月から声明を米東部時間 14:00 に出し、会見を 14:30 に始めています。会見は、2011〜2018 年は見通しを出す会合だけでしたが、2019 年 1 月 30 日から毎回の会合になりました。2013〜2018 年の会見のある会合では、豪ドル円の上げの山はニューヨーク時間 14:45(会見の中)にあり、会見の無い会合では 14:00(声明の時刻)にありました。2019 年からは毎回 14:45 でした。会見の時間の取引の件数は、会見のある会合で会見の無い会合の約 1.6 倍でした。そこで、出る時刻を会見の中まで延ばした窓(豪ドル円はニューヨーク時間 09:45→14:45)を、2013〜2018 年の会見のある会合で決め、2019 年からの別の日で測りました。費用を引いた後の 1 回の平均は、豪ドル円で +8.78 bp(64 回、t = 2.31)、元の窓は +4.38 bp でした。NZ ドル円(04:15→14:55)は +8.24 bp(60 回、t = 1.38)、元の窓は +4.97 bp でした。ただし、会見の筋の予言は 3 回目の版で当たった物で、版を重ねるたびに対象を豪ドル・NZ ドルへ狭めています。
キーワード:FOMC、記者会見、豪ドル、NZ ドル、円、日中の季節性、中央銀行のコミュニケーション
JEL 分類:E52, E58, F31, G14
1 序論
1.1 背景
FOMC の発表の日には、声明の前と後に為替が大きく動きます。FOMC は 2011 年 4 月 27 日に議長の記者会見を始め、2013 年 3 月から、会見のある会合の声明を米東部時間 14:00 に出し、会見を 14:30 に始めました(Board of Governors of the Federal Reserve System, 2013)。会見は、2011〜2018 年は経済の見通し(SEP)を出す会合だけでしたが、2019 年 1 月から毎回の会合で開かれるようになりました(Board of Governors of the Federal Reserve System, 2021)。Acosta ほか(2025)は、"Press conferences have stronger effects than FOMC statements on most asset prices" と報告しています。
1.2 本稿の問題
私たちの売買の候補に、FOMC の声明の日の豪ドル円の買い(ロンドン時間 14:45→19:05、候補 #24)と NZ ドル円の買い(協定世界時 09:15→19:05、候補 #31)がありました。どちらも、声明の後まもなく(会見の前に)終わる窓です。#24 は 2022 年 9 月 21 日を境に負けるようになり(費用を引いた後の 1 回の平均 +15.98 bp → −5.58 bp、t = −3.19)、#31 は 2010 年 12 月に弱まったため、売買から外していました。本稿は、上げの山が会見の時間に移っていないか、移っているなら出る時刻を会見の中まで延ばすと取れるかを確かめます。
2 データと方法
2.1 データ
為替レートは、デューカスコピー・ジャパン株式会社の取引レートの 5 分足です(2026 年 10 月 9 日まで)。損益は 1 回の値動きをその日の値段で割った bp で表し、2025 年の水準のスプレッドと手数料をすべての年に当てはめて引きました。本稿の損益の数は、すべて費用を引いた後の値です。FOMC の声明の日は、売買の候補と同じ暦を使いました。
2.2 予言
予言は、測る前にファイルに保存しました(版 1〜3)。
K10a:豪ドル円・NZ ドル円の上げの山は、会見のある会合ではニューヨーク時間 14:30 より後、会見の無い会合では 14:00 の近く、2019 年からは 14:30 より後にある。
K10b:ドル円の 14:30 の箱の取引の件数が、会見のある会合で多い(線 1.3 倍)。
K10c:会見の時間(ニューヨーク時間 14:30〜15:25)の取引の件数は、会見のある会合で会見の無い会合より多い。
K10d(版 2):ほかの 5 つの通貨ペアでも、山が会見の中にある。
K10e(版 3):会見の中まで山が続くのは、豪ドル・NZ ドルの上げに限る(豪ドル・スイスフラン、NZ ドル・スイスフラン、豪ドル・シンガポールドルで確かめる)。
2.3 窓の決め方
出る時刻は、2013〜2018 年の会見のある会合だけで決め、2019 年 1 月 30 日からの会合(別の日)で成績を測りました。
3 結果
3.1 予言の当たり外れ
表 1 予言の結果
予言
結果
判定
K10a
豪ドル円の山: 会見のある会合(2013〜2018 年、24 回)ニューヨーク 14:45・会見の無い会合(23 回)14:00・2019 年から(64 回)14:45。NZ ドル円: 14:55・14:00・14:45
当たり
K10b
ドル円の 14:30 の箱の比: 会見のある会合 1.10・無い会合 0.80・2019 年から 1.37。会見のある会合が線 1.3 に届かない
外れ
K10c
会見の時間の取引の件数の比(会見のある会合 ÷ 無い会合): ドル円 1.60・ユーロドル 1.61・豪ドル米ドル 1.65。2019 年から ÷ 無い会合: 2.56・3.36・3.29
当たり
K10d
豪ドル米ドルだけ当たり。NZ ドル米ドルは会見のある会合の山が 14:15、カナダドル円・ユーロ円・ポンド円は 15:40〜15:50
外れ(5 つのうち 1 つ)
K10e
豪ドル・スイスフランと NZ ドル・スイスフランの買いは、会見のある会合 14:55・無い会合 14:00・2019 年から 14:45。豪ドル・シンガポールドルは 14:15 で外れ
当たり(3 つのうち 2 つ)
注:出典は _ag_cause_hunt_20261105.md(3b 節と 9 節)。時刻はニューヨーク時間です。
3.2 会見の中まで延ばした窓
表 2 2019 年 1 月 30 日からの会合(費用を引いた後、1 回の平均、bp)
候補
延ばした窓
回数
延ばした窓
元の窓
豪ドル円の買い(#24)
ニューヨーク 09:45→14:45(ロンドン 14:45→19:45)
64
+8.78(t = 2.31)
+4.38(t = 1.30)
NZ ドル円の買い(#31)
ニューヨーク 04:15→14:55
60
+8.24(t = 1.38)
+4.97
注:出典は _ag_cause_hunt_20261105.md(3b 節と 9 節)と、売買の材料 _ag_argos_adopt_update4_cands_20261105.npz(#24 の 64 回の平均 8.7784・t 2.31 を本稿で計算し直した)。
豪ドル円の年ごと(延ばした窓/元の窓)は、2019 年 +0.9/+11.5、2020 年 +19.2/+4.7、2021 年 +22.3/+25.0、2022 年 +23.1/+15.4、2023 年 +4.8/−10.0、2024 年 −8.6/−7.7、2025 年 +1.5/−4.9、2026 年 +5.7/−1.3 bp でした。NZ ドル円の 2025 年は −17.4/−12.3 bp でした。
会見の無い会合(2013〜2018 年)では、延ばした窓の方が悪く(豪ドル円 −10.9 bp に対し元の窓 −2.7 bp)、2019 年より前には当てはめられません。
3.3 外れた理由の候補
元の窓の弱まりについて、予言を書いてから測った次の候補は、どれも外れました。豪ドル円(#24)では、夏時間の作り物、指標の時刻や市場の作り、カナダ銀行の 9:45 の発表、相場の局面(荒い会合と静かな会合)、発表の前の事前の値動き(予言の線では当たったが、年ごとの時期が合わない)、東京の株の取引時間の変更。NZ ドル円(#31)では、恐怖指数(VIX)、ドルの資金の詰まり、投機筋の持ち高、FOMC の金利の驚きの大きさ。上げの山が後ろへずれた分だけで合わせた窓(ロンドン 19:20→19:45、+4.22 bp、33 回、t = 1.55)は、効き目が 0 の世界で同じ探し方をした時の一番(中央 +4.25〜+7.15 bp)より小さく、選んだだけの大きさと区別できませんでした。
3.4 売買に使った形
私たちは、オーナーの決め(理由が特定できて、合わせた窓が元より上で、費用を引いた後プラスなら採る)に従い、豪ドル円の延ばした窓(#24、ニューヨーク 09:45→14:45)を 2019 年 1 月 30 日からの会合だけで使う形で採りました。2026 年 11 月 6 日の取引から使います。ほかの候補との組み合わせでの年率(最大の落ち込み 20% 以内・証拠金の使用率 0.95 以下)は、#24 を足す前の 126.92% から、足した後 134.09% になりました。この上がり分には、2019 年より前に取引の無い #24 が重みを分ける本数に入って、ほかの重みが薄まる作りの効果も含まれます(足したことによる分 5.665 点、倍率が上がった分 1.505 点)。
NZ ドル円(#31)は、同じ理由・同じ組の候補で、両方を入れると 131.67%、#24 の代わりに入れると 130.14% で、#24 だけの 134.09% より下だったので、保留の一覧に残しました。
4 考察
4.1 理由
2013〜2018 年には、会見のある会合と無い会合が混ざっていました。豪ドル円と NZ ドル円の上げの山は、会見のある会合でだけ会見の中(ニューヨーク 14:45〜14:55)まで続き、会見の無い会合では声明の 14:00 で止まりました。2019 年に会見が毎回になると、毎回の会合で山が会見の中へ移りました。会見の時間の取引の件数も、会見のある会合で多く、2019 年からはさらに多くなりました。元の窓(会見の前に終わる)が 2019 年から取り逃がしていた上げは、会見の時間の上げだと考えられます。これは、会見が声明より多くの資産の値を動かすという Acosta ほか(2025)の報告と整合的です。
ただし、この型が出たのは豪ドル・NZ ドルの側(豪ドル円・NZ ドル円・豪ドル米ドル・豪ドル・スイスフラン・NZ ドル・スイスフラン)で、カナダドル円・ユーロ円・ポンド円・NZ ドル米ドル・豪ドル・シンガポールドルでは出ませんでした。なぜ豪ドル・NZ ドルに限るのかは、分かっていません。
4.2 限界
会見の筋は、予言の版 1(K10b 外れ)→ 版 2(K10d 外れ)→ 版 3(K10e 当たり)の 3 回目で当たりました。版を重ねるたびに対象を豪ドル・NZ ドルへ狭めています。決めた線の上では、版 2 までは「特定に届かない」でした。
出る時刻は 2013〜2018 年の会見のある会合で決めた物で、2019 年からの成績はその後の別の日ですが、延ばした窓の考え自体は、元の窓が弱まった後に立てた物です(見た後に合わせた形で、確かめではありません)。
2019 年からの回数は 64 回(NZ ドル円 60 回)で、年ごとの成績はばらつきます(豪ドル円の 2024 年は −8.6 bp)。
費用は 2025 年の水準をすべての年に当てはめました。
元の窓の 2022 年 9 月の弱まり(同じ時期に財務省の円買い介入)の理由は、特定できていません。
5 結論
FOMC の声明の日の豪ドル円・NZ ドル円の上げは、会見のある会合では会見の中まで続きます。会見が毎回になった 2019 年からは、出る時刻を会見の中まで延ばした窓が、費用を引いた後で元の窓の約 2 倍(豪ドル円 +8.78 bp 対 +4.38 bp、NZ ドル円 +8.24 bp 対 +4.97 bp)でした。予言は 3 回目の版で当たった物で、今後の会合での確かめが要ります。
参考文献
Acosta et al. (2025, December 15). Financial market effects of FOMC communication (Working Paper 2025-30). Federal Reserve Bank of San Francisco.
Board of Governors of the Federal Reserve System. (2013, March 13). [Press release on the timing of FOMC statements and press conferences]. https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/monetary20130313a.htm
Board of Governors of the Federal Reserve System. (2021, October 12). Questions and answers: The information content of the post-FOMC meeting press conference (FEDS Notes). https://www.federalreserve.gov/econres/notes/feds-notes/questions-and-answers-the-information-content-of-the-post-fomc-meeting-press-conference-20211012.html
付記
再現の台本と記録:_ag_cause_hunt_p4_20261105.py・_ag_cause_hunt_p4b_20261105.py(予言 4 と版 2・事前登録 _ag_cause_hunt_prereg4_20261105.md・_ag_cause_hunt_prereg4b_20261105.md)、_ag_cause_hunt_p6_20261105.py(版 3・事前登録 _ag_cause_hunt_prereg5_20261105.md、MD5 の先頭 516b62da)、_ag_regime_audit_A_20261105.md(元の窓の弱まりと外れた候補)、_ag_adopt_update3_20261105.md(組み合わせの年率)。
本稿は投資の勧誘を目的とした物ではありません。本稿は生成 AI で下書きし、数値と引用を元の記録で確かめています。使用したモデルは Claude(Anthropic)です。