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薬剤師国家試験の合格率の推移:全体68.49%・新卒86.25%の差の理由

薬剤師国家試験の合格率の推移:全体68.49%・新卒86.25%の差の理由
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 薬剤師国家試験の合格率の推移を見ると、6年制で最初の第97回(2012年)は88.31%で、第99回(2014年)に60.84%まで下がりました。その後、第107〜111回は68.02〜69.00%の間にあり、第111回(2026年)は68.49%でした。
  • 新卒の合格率は、第101回から第111回まで84.36〜86.25%の間にあり、ほとんど変わっていません。全体の合格率が新卒より17.76ポイント低いのは、主に、合格率が41.33%の既卒が受験者の38.13%を占めるためです(厚生労働省・計算)。
  • 公式の表で並べると、第111回の新卒86.25%は第101回以降の新卒の合格率でいちばん高い値なのに、全体は68.49%で第107〜111回の68.02〜69.00%の幅から動いていないのは、調べて分かった意外な点です。
  • 合格するには、686点満点で426点以上を取り、禁忌肢を2問以下に抑え、必須問題でも基準を満たす必要があります。合格した後の届出の薬剤師は329,045人で、そのうち60.0%が薬局で働いています。
この記事の目次(8)
  1. 結論:全体の合格率と新卒の合格率は別の数字です
  2. 仕組みと言葉の意味:免許・受験資格・合格率の分母
  3. データで見る合格率の推移:既卒の割合が全体を動かしています
  4. 研究で分かっていること:入学時の学力と大学教育
  5. 自分で合格率を分ける表と4点チェック
  6. よくある質問
  7. 次に読む
  8. 出典

免許を取った後の働き方として、空いた日だけ働く単発派遣で確かめておきたい条件を、別の記事にまとめています。 合格した後の働き方の一つ: 単発派遣で働く前に確かめる4つの条件

結論:全体の合格率と新卒の合格率は別の数字です

厚生労働省の推移の表で確かめると、全体の合格率は第97回の88.31%から第99回の60.84%まで下がりました。その後、第107〜111回は68.02〜69.00%の間にあります。一方、新卒の合格率は第101回以降、84.36〜86.25%の間にあります。

厚生労働省『試験回次別合格者数の推移(第111回薬剤師国家試験 参考資料1)』の「受験者数」の切り抜き。97 (24年) 98 (25年) 99の88.31と60.84の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『試験回次別合格者数の推移(第111回薬剤師国家試験 参考資料1)』(2026-10-21 撮影)

違いが出るのは既卒の人たちです。既卒が受験者に占める割合は、第98回の7.94%から第111回の38.13%に増えました。第111回の既卒の合格率は41.33%でした(厚生労働省・2026年、割合は計算)。

ですので、合格率を比べるときは「全体」か「新卒」かをそろえて読む必要があります。

仕組みと言葉の意味:免許・受験資格・合格率の分母

薬剤師の免許は、国家試験に合格した人に与えられます。薬剤師法 第三条には「薬剤師の免許(以下「免許」という。)は、薬剤師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して与える。」とあります。試験の内容は「薬剤師として必要な知識及び技能」で(第十一条)、「毎年少なくとも一回、厚生労働大臣が行なう」と決められています。

受験資格は第十五条第一号に書かれています。大学で「薬学の正規の課程(同法第八十七条第二項に規定するものに限る。)を修めて卒業した者」です。これが6年制の薬学部にあたります。

厚生労働省の表は、受験者を3つの区分に分けています。「6年制新卒」と「6年制既卒」は、区分名からは、その年に卒業した人と、前の年までに卒業した人と読めます。「その他」は、旧4年制卒と受験資格認定者です。

合格率は「合格者÷受験者」で計算します。出願しても試験を受けなかった人は、この分母に入りません。第111回の新卒は、出願が8,856人で、受験は7,781人でした。

合格基準は、第111回の公式の資料では次の3つを全部満たすことです。

  • 全問題の得点が426点以上
  • 禁忌肢問題選択数は2問以下
  • 必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上

禁忌肢とは、薬剤師として選択すべきでない選択肢(法律に触れる・公衆衛生に大きな被害を及ぼす・倫理的に誤った・患者に重大な障害を与えるおそれのある内容など)のことです。配点は1問2点で、686点満点です。ほかで見かける「213点」は、1問1点で数え直した数字です(計算: 426÷2=213)。

データで見る合格率の推移:既卒の割合が全体を動かしています

第97回から第111回まで、区分ごとの合格率を並べました。

第97回から第111回までの、全体・6年制新卒・6年制既卒の合格率を回ごとに並べた表です。
合格率の推移 第97〜111回

次の表は、既卒の受験者の人数と、それが受験者全体に占める割合です。割合は、厚生労働省の表の数字から計算しました(計算: 既卒の受験者÷全体の受験者)。

回(年) 既卒の受験者 全体の受験者 既卒の割合(計算) 既卒の合格率
第98回(2013年) 896人 11,288人 7.94% 67.52%
第99回(2014年) 2,517人 12,019人 20.94% 39.85%
第100回(2015年) 5,260人 14,316人 36.74% 53.12%
第101回(2016年) 6,185人 14,949人 41.37% 67.92%
第102回(2017年) 4,515人 13,243人 34.09% 50.83%
第103回(2018年) 4,577人 13,579人 33.71% 47.00%
第104回(2019年) 4,527人 14,376人 31.49% 43.07%
第105回(2020年) 4,804人 14,311人 33.57% 42.67%
第106回(2021年) 5,035人 14,031人 35.88% 41.29%
第107回(2022年) 5,217人 14,124人 36.94% 40.75%
第108回(2023年) 5,146人 13,915人 36.98% 44.05%
第109回(2024年) 4,957人 13,585人 36.49% 42.42%
第110回(2025年) 5,039人 13,310人 37.86% 43.94%
第111回(2026年) 4,871人 12,774人 38.13% 41.33%

(厚生労働省「試験回次別合格者数の推移」・2026年、割合は計算)

既卒が受験者に占める割合は、第98回の7.94%から第101回の41.37%まで増え、第111回は38.13%でした。
既卒が受験者に占める割合

公式の表を並べて計算すると、新卒の合格率は第101回からほとんど動いていません。既卒が受験者に占める割合は、第98回の7.94%から第101回の41.37%まで増え、その後の第102〜111回は31.49〜38.13%の間にあります。全体の合格率が70%前後で止まって見えるのは、合格率の低い既卒が受験者の3割以上を占め続けていることと関係しています。

第111回を国立・公立・私立に分けると、次のようになります。

第111回の合格率を、全体・新卒・既卒ごとに国立・公立・私立で比べた表です。
第111回 国公私立別

全体で見ると、私立の67.43%は国立の79.41%より低くなっています。ところが、新卒だけで比べると、私立は85.86%、国立は87.85%で、差は小さくなります。私立の受験者11,762人のうち既卒が4,736人いることが、全体の数字を下げています。

男女別の合格率は、男性が64.76%、女性が70.83%でした。

研究で分かっていること:入学時の学力と大学教育

速水(2016年)の研究では、6年制になった後に合格率が下がる傾向があり、合格率と入学時の基礎学力に関係があったと報告されています。原文では、合格率は「学生の大学入学時の基礎学力によって規定されている」と書かれています。ただし、これは2016年の時点の見方です。厚生労働省の表では、第102回以降の全体の合格率は68.02〜71.58%の間にあります。

河合ほか(2026年)の研究では、74の大学について、合格率と入学時の学力に強い関係があったと報告されています。この研究では、入学時の学力とは関係のない大学教育の指標「REPP」も作られました。REPPは、国家試験の成績や進級率と緩やかな関係がありました。

この2つの研究は、入学時の学力と合格率の関係を両方とも認めています。そのうえで河合ほか(2026年)は、入学時の学力とは別の、大学教育の差に目を向けています。どちらか一方だけで合格率が決まる、とは読まないでください。

渋井ほか(2022年)の研究は、医師・歯科医師・薬剤師・看護師の国家試験の合格率(2017〜2020年)について、国公私立別の動きを図で見えるようにしたものです。

研究の読み方

  • 速水(2016年): 公表データを集計した観察研究です。大学ごとの数字で、要旨には対象の大学数と年度の記載がありません。
  • 河合ほか(2026年): 74大学、試験4回分(第106〜109回)を対象にした観察研究です。著者は全員が1つの大学の所属です。
  • 渋井ほか(2022年): 政府が公表した2017〜2020年の4年分を集計した観察研究です。要旨からは、薬剤師だけの結論は読み取れません。
  • 3本とも大学ごとの集計なので、1人ひとりが受かるかどうかの予測には使えません。

自分で合格率を分ける表と4点チェック

使い方: 知りたい回の区分ごとの受験者と合格率(厚生労働省の推移の表)を入れて、最後の列を足します。

式: 全体の合格率=新卒の割合×新卒の率+既卒の割合×既卒の率+その他の割合×その他の率(割合=区分の受験者÷全体の受験者)

区分 受験者 割合 合格率 割合×合格率
6年制新卒 7,781人 60.91% 86.25% 52.53%
6年制既卒 4,871人 38.13% 41.33% 15.76%
その他 122人 0.96% 20.49% 0.20%
合計 12,774人 100% 68.49% 68.49%
厚生労働省『第111回薬剤師国家試験の結果について(資料1)』の「(2)男女別合格率②」の切り抜き。合格率の68.49の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『第111回薬剤師国家試験の結果について(資料1)』(2026-10-21 撮影)

例(第111回): 52.53%+15.76%+0.20%=68.49%となり、全体の合格率(8,749÷12,774)に戻ります(厚生労働省・2026年の数字で計算)。

出願した人の数で割る見方もあります。式は「出願対比=合格者÷出願者」です。第111回は全体が61.35%(8,749÷14,261)、新卒が75.78%(6,711÷8,856)でした(厚生労働省・2026年の数字で計算)。

合格率を比べる前に確かめる4つの点(回・区分・分母・出典)の一覧です。
合格率を比べる前の4点

数字を自分で確かめるときは、次の順で見ると迷いにくくなります。

厚生労働省の合格発表のページから、推移・結果・大学別の資料の順に開く手順です。
公式の数字を確かめる手順

よくある質問

合格点は何点ですか。 第111回では、全問題の得点が426点以上で、禁忌肢を選んだ数が2問以下、必須問題の基準も満たすことが条件でした。配点は1問2点で686点満点です。「213点」は1問1点で数え直した数字です(計算: 426÷2=213)。

既卒の受験者は何人いて、合格率は何%ですか。 第111回では、既卒の受験者は4,871人で、合格率は41.33%でした。受験者全体の38.13%にあたります(厚生労働省・2026年、割合は計算)。

新卒で出願して、受験しなかった人はいますか。 第111回の新卒は、出願が8,856人、受験が7,781人でした。差は1,075人で、出願した人の12.14%にあたります(厚生労働省・2026年の数字で計算)。

合格した後、薬剤師は何人いて、どこで働いていますか。 2024年12月31日の時点で、届出の薬剤師は329,045人でした。前回より5,355人(1.7%)増えています。働く場所は、薬局が197,437人(60.0%)、医療施設が63,290人(19.2%)でした。

受験資格は何ですか。 薬剤師法 第十五条第一号で、大学で薬学の正規の課程を修めて卒業した人とされています。

次に読む

次に調べる問い: 合格した後の薬剤師の年収は、平均と中央値でどれくらい違うのかを、公的な統計で確かめます。

このサイトで次に調べる候補: 薬剤師 年収 中央値(合格した後の薬剤師の年収を、平均ではなく真ん中の値で知りたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 厚生労働省『試験回次別合格者数の推移(第111回薬剤師国家試験 参考資料1)』2026年. https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001678036.pdf
  2. 厚生労働省『第111回薬剤師国家試験の結果について(資料1)』2026年. https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001677595.pdf (発表ページ: https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000199343_00017.html )
  3. 厚生労働省『令和6(2024)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況』2025年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/24/dl/R06_1gaikyo.pdf
  4. 薬剤師法(昭和三十五年法律第百四十六号). https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/335AC0000000146
  5. 厚生労働省『第111回薬剤師国家試験合格基準及び正答について(資料2)』2026年. https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001678033.pdf
  6. 速水幹也(2016)「薬学教育改革の成果と課題 二段階の「出口」―「就職」と「国家試験」に着目して」高等教育研究 19巻. https://doi.org/10.32116/jaher.19.0_165
  7. 河合洋, 大島新司, 小島裕, 高橋直仁, 関俊暢(2026)「薬剤師国家試験成績に対する相対的大学教育効果指標の構築」薬学教育 10巻. https://doi.org/10.24489/jjphe.e10004
  8. 渋井進, 赤川裕美, 土屋俊(2022)「保健系分野における近年の国家試験合格率の傾向」大学評価・学位研究 23巻. https://doi.org/10.32175/hyokagakui.2022.23001
  9. 医道審議会薬剤師分科会 薬剤師国家試験制度改善検討部会『薬剤師国家試験のあり方に関する基本方針』2026年(厚生労働省サイト掲載). https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/001674775.pdf

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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