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歯科技工士の年収の中央値:所定内給与の中位数は月28万600円(令和7年)

歯科技工士の年収の中央値:所定内給与の中位数は月28万600円(令和7年)
2026-10-20 公開・2026-10-21 更新

この記事の要点

  • 歯科技工士の年収の中央値を賃金構造基本統計調査(令和7年)で調べると、中央値として出ているのは第17表の「中位数」で、歯科技工士は月280.6千円(28万600円)です。これは年収ではなく、残業代と賞与を除いた月の所定内給与額で、企業規模10人以上で雇われている一般労働者の値です。
  • 働いている歯科技工士は令和6年で31,733人です。50歳以上が56.0%、歯科技工所で働く人が74.1%を占めます。
  • 令和7年の歯科技工士の所定内給与は、平均が月301.0千円なのに、真ん中の人の額(中位数)は月28万600円(280.6千円)で、実は平均より20.4千円低い所にいます。平均だけを見ると、真ん中の人の額より高く見えます。
  • 歯科技工所を開いた人の1年の可処分所得は、300万円以下が39%、500万円以下が65%でした(全国保険医団体連合会 2024年の調査、2,002件)。団体の調査で、回答者は無作為に選ばれていません。
この記事の目次(9)
  1. 結論:見るのは第17表の「中位数」で、歯科技工士は月280.6千円
  2. 言葉の意味:「平均」「中位数」「所定内給与」「可処分所得」の違い
  3. データで見る:人数・年齢・職場
  4. 研究で分かっていること:続けて働く人と辞めた理由
  5. 自分で確かめる表:中央値の読み方・年齢の計算・勤務と自営
  6. 自分の月給で位置を確かめる表
  7. よくある質問
  8. 次に読む
  9. 出典

転職を考え始めたら、サービスの料金が0円でも、自分の財布から出ていくお金があります。歯科衛生士向けの記事ですが、同じ考え方で使えます: 転職サービスの料金は0円でも自分の財布から出ていくお金を書き出す表

結論:見るのは第17表の「中位数」で、歯科技工士は月280.6千円

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)で中央値として公表されているのは、第17表「職種(小分類)、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(産業計)」の「中位数」です。歯科技工士の中位数は280.6千円(28万600円)で、真ん中の半分の人(第1・四分位数から第3・四分位数まで)は254.0〜343.3千円の間にいます。この値は月の所定内給与額で、単位は千円です。年収の中央値ではない点に注意が要ります。

所定内給与額には賞与と残業代が入りません。そのため、中位数に12を掛けても年収の中央値にはなりません。同じ調査の第1表では、歯科技工士の所定内給与額の平均は301.0千円で、中位数より20.4千円高くなっています(計算: 301.0−280.6=20.4)。

この表の対象は、企業規模10人以上の企業で雇われている一般労働者(短時間労働者を除く)で、第17表の歯科技工士の労働者数は752十人(7,520人)です。一方、就業している歯科技工士は令和6年で31,733人です。2つは調べ方も年も違うため、同じ人たちの数として並べることはできません。

厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』令和7年の切り抜き。31,733の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』令和7年(2026-10-21 撮影)

言葉の意味:「平均」「中位数」「所定内給与」「可処分所得」の違い

平均は、全員の給与を足して人数で割った値です。中位数は、給与の低い順に全員を並べたとき、ちょうど真ん中に来る人の値です。高い給与の人が少しいるだけで平均は上がりますが、中位数はあまり動きません。

所定内給与額は、6月分として決まって支払われた給与から、残業代(時間外勤務手当)や深夜勤務手当・休日出勤手当などを差し引いた額で、税金などを引く前の額です。賞与は「年間賞与その他特別給与額」として所定内給与額とは別の欄に出ていて、所定内給与額には入りません。保団連の調査でいう可処分所得は、1年の総売上から経費を引いたおおよその額(法人の場合は代表者の報酬)です。

「年収」という言葉は、調査によって中身が違います。賃金構造基本統計調査が扱うのは、雇われている人の賃金です(職種ごとの表は、企業規模10人以上の一般労働者)。全国保険医団体連合会(保団連)の調査が扱うのは、歯科技工所を開いた人の可処分所得です。

歯科技工の仕事は法律で決まっています。歯科技工士法 第2条は、歯科技工を「特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成し、修理し、又は加工すること」と定めています。第17条により、これを仕事として行えるのは歯科医師と歯科技工士だけです。

データで見る:人数・年齢・職場

令和6年の就業者数31,733人、50歳以上56.0%、歯科技工所で働く人74.1%、免許取得者のうち就業25.4%を並べた図
歯科技工士の今の姿

働いている歯科技工士は、平成16年の35,668人から令和6年の31,733人へ、3,935人減りました(約11.0%減。厚生労働省 第5回歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会 資料1、令和7年)。前回の調査からは1,209人(3.7%)減っています。免許を持つ人のうち、働いているのは25.4%です。

年齢では「65歳以上」が19.3%(6,127人)で、年齢の区分の中で最も多くなっています。50歳以上の割合は、平成16年の26.6%から令和6年の56.0%へ上がりました。

厚生労働省『第5回歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会 資料1』令和7年の「就業歯科技工士(年齢階級別)の年次推移」の切り抜き。56.0の所を赤い枠で囲んでいます。
出典: 厚生労働省『第5回歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会 資料1』令和7年(2026-10-21 撮影)

職場は「歯科技工所」が74.1%(23,521人)で最も多くなっています。歯科技工所は全国に20,278か所あり、前回より563か所(2.7%)減りました。

就業者の合計は35,668人から31,733人へ減り、50歳以上の割合は26.6%から56.0%へ、60歳以上は2,899人から10,260人へ増えたことを比べた図
平成16年と令和6年の比較

研究で分かっていること:続けて働く人と辞めた理由

大島ほか(令和元〜2年度 厚生労働科学研究 報告書)は、衛生行政報告例の調査票の情報を使い、全国の就業歯科技工士の人数を年齢の層ごとに10年後と比べました。その結果、「病院・診療所に就業する歯科技工士は、男女ともにほとんどの年齢層で100%を下回っていた」とされています。一方で、歯科技工所で働く男性は、「20-24歳→30-34歳」から「40-44歳→50-54歳」までの年齢の層で100%を上回っていました。

この研究は観察の研究で、一人ひとりを追ったものではありません。年齢の層ごとの人数を比べたもので、年収は扱っておらず、データは2018年までです。

須田ほか(平成30年度 厚生労働科学研究 報告書)は、養成施設4校の卒業生から無作為に選んだ人に、郵送で調べました(対象は3,759名。厚生労働省 第5回検討会 資料1 の調査概要)。歯科技工士の仕事を辞めた理由は、どの施設でも「給与・待遇の面」と「仕事内容への不安」が上位で、次に「健康面」「人間関係」が多かったと報告されています。報告書自身も、回収率が低い施設があり、全卒業生を正しく表していない可能性があると書いています。

数字が出ているのは、同じ須田英明代表の研究の平成29年度の報告から、厚生労働省の検討会資料(平成30年)に一部抜粋された調査です。卒業生1,600名に送り、239通が戻りました(回収率14.9%)。回答者のうち歯科技工士として就業していない人は38.5%で、この人たちの離職の理由は「給与・待遇の面」が57.6%で最も多く、「仕事内容への不安」45.7%、「健康面」34.8%が続きました。

同じ調査では、歯科技工士として就業していない人の79.4%が20代で離職し、そのうち51.1%が20〜25歳未満で離職していました。回答は本人の申告で、回収239通(回収率14.9%)のうち歯科技工士として就業していない人(38.5%)についての数字です。

歯科技工所で働く男性が「40-44歳→50-54歳」までの層で100%を上回ったという結果と、辞めた人の多くが20代という結果は、両方とも示されています。前者は全国の人数の統計、後者は辞めた卒業生の回答で、調べた対象が違います。そのため、2つは矛盾しません。

残業については、赤川ほか(平成29年度)の歯科技工所に勤める歯科技工士の調査が、同じ検討会資料に載っています。1か月の残業時間は「ほとんどない」が30.7%で最も多く、「45時間未満」15.0%、「45時間以上」13.2%、「80時間以上」9.7%、「100時間以上」18.8%でした。資料自身が「速報値である点に留意」と書いています。

森本ほか(2020年)は、学術大会の企画セッションの論文で、歯科技工士の職場の労働衛生管理を紹介しています。歯科技工の職場ではコバルト、クロム、クリストバライト、インジウムなど有害性の高い化学物質も使われていると述べています。粉じん障害防止規則で粉じん職場には挙げられていないものの、じん肺の発症が報告されており、粉じんの管理を十分に広める必要があるとしています。この論文は新しいデータを集めた研究ではなく、年収は扱っていません。

ここで挙げた研究は、どれも観察・調査か解説の論文です。待遇や働き方を変える取り組みを、ランダム化した試験で確かめた研究ではありません。

自分で確かめる表:中央値の読み方・年齢の計算・勤務と自営

表A 第17表で中央値を読む手順

e-Statで賃金構造基本統計調査の第17表を開き、歯科技工士の欄の中位数を読み、賞与と残業代が入らないことを確かめ、男女と経験年数は別の表で見る手順の図
中央値の確かめ方

第17表の「歯科技工士」の欄には、次の5つの値があります(企業規模計(10人以上)・厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』第17表)。どれも月の所定内給与額で、単位は千円です。

名前 何の値か 歯科技工士の値(千円)
第1・十分位数 低い方から数えて10%の位置にいる人の月の所定内給与 198.4
第1・四分位数 低い方から数えて25%の位置にいる人の月の所定内給与 254.0
中位数 ちょうど真ん中(50%)の位置にいる人の月の所定内給与 280.6
第3・四分位数 低い方から数えて75%の位置にいる人の月の所定内給与 343.3
第9・十分位数 低い方から数えて90%の位置にいる人の月の所定内給与 438.8

求人に書かれた月給を、この5つの値のどこに入るかで見ると、全体の中での位置がつかめます。たとえば所定内給与で月30万円なら、中位数(280.6千円)と第3・四分位数(343.3千円)の間です。そのときは、求人の額に残業代や深夜・休日の手当が入っていないかを先にそろえます。男女別の値は第1表、経験年数別の値は第14表で見られます。

表B 年齢の層ごとの人数の変化(自前の計算)

計算のもと:衛生行政報告例の平成16年と令和6年の人数を、引き算・割り算した表です。

区分 平成16年 令和6年 変化と式
50歳未満 26,172人(35,668−9,496) 13,974人(31,733−17,759) 26,172−13,974=−12,198人。12,198÷26,172=約46.6%減
50〜59歳 6,597人 7,499人 7,499−6,597=+902人
60歳以上 2,899人(2,899÷35,668=約8.1%) 10,260人(10,260÷31,733=約32.3%) 10,260÷2,899=約3.5倍
合計 35,668人 31,733人 35,668−31,733=−3,935人。3,935÷35,668=約11.0%減

20年で、50歳未満の人数はほぼ半分になりました。60歳以上は約3.5倍に増えています。

表C 勤めている人と自営の人の数字は別物

区分 見る数字 出典と中身
勤めている人 第17表「中位数」280.6千円(月の所定内給与) 賃金構造基本統計調査 令和7年。企業規模10人以上で雇われている一般労働者の賃金で、賞与と残業代は入らない
歯科技工所を開いた人 可処分所得 300万円以下が39%、500万円以下が65% 保団連 2024年の調査、2,002件。団体の調査で、回答者は無作為に選ばれていない。回答者の76%が個人立、65%が歯科技工士1人だけの技工所

2つは中身の違う数字なので、同じ「年収」として比べることはできません。保団連は、保険診療の予算の枠を増やすよう求めている団体です。

残業時間、化学物質と粉じんの管理、提示額に賞与や残業代が入るか、自営なら開設後10日以内の届け出、の4点を並べたチェックリスト
職場を選ぶ前に確かめる点

自分の月給で位置を確かめる表

使い方: 自分の求人や明細の月の所定内給与を右の欄に入れて、上から順に確かめます。

確かめる点 比べる数字(歯科技工士・令和7年・企業規模10人以上の一般労働者・月の所定内給与) 自分の数字
月給から残業代・深夜勤務手当・休日出勤手当を引いた額(所定内給与) 下の行と比べるのはこの額  
第1・四分位数(254.0千円)より上か 254.0千円  
中位数(280.6千円)との差 280.6千円  
所定内給与の平均(301.0千円)との差 301.0千円  
第3・四分位数(343.3千円)まであといくらか 343.3千円  

式: 自分の所定内給与(千円)− 280.6千円 = 中位数との差

例: 所定内給与が月30万円なら 300.0 − 280.6 = 19.4千円で中位数より高く、第3・四分位数には 343.3 − 300.0 = 43.3千円届きません。

よくある質問

独立・自営の歯科技工士の所得はどれくらい?

保団連の調査では、歯科技工所を開いた人の1年の可処分所得は、300万円以下が39%、500万円以下が65%でした(全国保険医団体連合会 2024年の調査、2,002件)。これは団体の調査の可処分所得で、回答者は無作為に選ばれていません。同じ調査では、週60時間以上働く人が49.9%でした。

歯科技工所を開いた人は、開設後10日以内に、開設の場所や管理者の氏名などを都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)に届け出る必要があります。

50代の歯科技工士はどれくらいいる?

令和6年は、50〜59歳が7,499人です。50歳以上をまとめると17,759人で、就業者全体の56.0%にあたります。

歯科技工士の年収が低いと言われるのはなぜ?

厚生労働省の検討会資料(平成30年)の調査では、歯科技工士として就業していない人が仕事を辞めた理由で最も多かったのが「給与・待遇の面」の57.6%でした(回収239通・回収率14.9%のうち就業していない人38.5%についての数字)。令和7年の検討会資料も「歯科技工士の離職防止対策は喫緊の課題であり、労働環境や勤務環境改善の取組みが必要である」と書いています。

女性の歯科技工士は働き続けやすい?

大島ほか(令和元〜2年度報告)は、近年は歯科技工士の免許登録者に占める女性の割合が増える傾向にあると述べています。そのうえで、特に歯科技工所について、女性が働きやすい環境づくりを含めた検討が要るとしています。賃金構造基本統計調査の第1表では、歯科技工士の所定内給与額の平均は、男性が308.7千円、女性が281.9千円でした(令和7年・企業規模10人以上)。

次に読む

このサイトで次に調べる候補: 歯科技工士 年収 独立(勤めるのをやめて歯科技工所を開いたときの所得と手続きを知りたい人向け)

出典

この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。

  1. 厚生労働省『令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』令和7年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/gaikyo.pdf
  2. 厚生労働省『第5回歯科技工士の業務のあり方等に関する検討会 資料1』令和7年. https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/001535401.pdf
  3. 厚生労働省『歯科技工士の勤務状況等(第4回歯科技工士の養成・確保に関する検討会 資料1)』平成30年. https://www.mhlw.go.jp/content/10804000/000404472.pdf
  4. 全国保険医団体連合会『全国歯科技工所アンケート 2024』2025年. https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/250424gikou.pdf
  5. 厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 第17表 職種(小分類)、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(産業計)』令和7年. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421132&fileKind=4
  6. 大島克郎・三浦宏子・福田英輝・田野ルミ・則武加奈子(令和元年度~令和2年度)「政府統計を用いた歯科技工士の継続就業状況に関する分析」厚生労働科学研究費 地域医療基盤開発推進研究事業「歯科医療従事者の働き方と今後の需給等に関する調査研究」総合研究報告書. https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202022019B-buntan5.pdf
  7. 須田英明(平成30年度)「歯科衛生士及び歯科技工士の就業状況等に基づく安定供給方策に関する研究」厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業 総括研究報告書. https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2018/183011/201821006A_upload/201821006A0003.pdf
  8. 森本泰夫・和泉弘人・友永泰介・西田千夏(2020)「歯科技工士の職場における労働衛生管理」日本補綴歯科学会誌 12巻3号 pp.227-233. https://doi.org/10.2186/ajps.12.227
  9. 歯科技工士法(昭和三十年法律第百六十八号). https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/330AC0000000168
  10. 厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)』令和7年(e-Stat の一覧での表名は「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」). https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421116&fileKind=4
  11. 厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況:主な用語の定義』令和7年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/yougo.html

この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。

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