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ICLの保険適用の条件、よく見る「21〜45歳・強い近視」は保険ではなく学会の手術の目安

ICLの保険適用の条件、よく見る「21〜45歳・強い近視」は保険ではなく学会の手術の目安
2026-10-22 更新

この記事の要点

  • ICLの保険適用の条件としてよく見る「21〜45歳」「6D以上の近視」は、日本眼科学会が手術を考える目安で、公的な健康保険の条件ではありません。
  • 保険の一部を使える「先進医療」の一覧(令和8年10月現在)には「眼内レンズ」「近視」の語がありません。保険診療で受けられるかどうかは、医師が説明することになっている項目です。
  • 国税庁のQ&Aで、医療費控除の対象と名前を挙げて答えているのは「レーシック手術」と「オルソケラトロジー治療」です。ICLの名前はありません。
この記事の目次(7)
  1. 結論:保険の条件と手術の目安は、決める所が違う
  2. 仕組み:保険と組み合わせられる2つの制度
  3. データで見る:カナダでは保険の対象にしていなかった(2008年時点)
  4. 研究で分かっていること:カナダの医療技術評価
  5. 自分の場合を書き込む確認表
  6. よくある質問
  7. 出典

保険が使えるか分からないとき、次に気になるのは自分の場合の総額と申し込みまでの流れです。それをまとめた記事: 費用と申し込みの流れをまとめた記事

結論:保険の条件と手術の目安は、決める所が違う

ICLに公的な健康保険が使えるかを決めるのは国の制度です。「21〜45歳」「6D以上」は日本眼科学会が手術を考えるときの目安です。この2つは別の物なので、目安に当てはまっても、それだけで保険が使えることにはなりません。

保険で受けられるか、手術を考える目安、医療費控除の対象かについて、決める所・資料の中身・確かめる相手を並べた表
3つの「条件」を決める所

国民生活センターは、医師が丁寧に説明すべき項目として、保険診療で受けられるかどうかを挙げています。同じ項目には、費用、解約の条件、副作用と合併症も入っています。そのため自分の場合は、初回の検査で医師に聞くのが確かめる近道です。

仕組み:保険と組み合わせられる2つの制度

保険の外の診療と保険診療を一緒に受けられる仕組みを「保険外併用療養」といいます。この中に先進医療と選定療養があります。厚生労働省は選定療養を、「将来的な保険導入を前提としない」仕組みと説明しています。患者が自分で選び、特別の料金を払って保険の診療と組み合わせる形です。

先進医療については、厚生労働省が対象の技術の一覧を出しています。令和8年10月現在の一覧で「眼内レンズ」「近視」の語を確かめたところ、どちらも載っていませんでした。

比べるための参考として、白内障の例があります。白内障の手術で使う多焦点眼内レンズは、2020年3月で先進医療の対象から外れました。同じ年の4月からは、全額自費ではない選定療養の形を取れるようになっています。ただしこれは白内障の手術の話で、ICLが同じ扱いになるかはこの資料からは言えません。

医療費控除:Q&Aにレーシック手術はあるが、ICLの名前は無い

国税庁のQ&Aでは、視力回復レーザー手術(レーシック手術)の費用を医療費控除の対象と答えています。ICLの名前はありません。医療費控除とは、その年に払った医療費をもとに、税の計算で所得から差し引ける仕組みです。

国税庁が挙げる理由は、この手術が「眼の機能それ自体を医学的な方法で正常な状態に回復させる」ものだからです。公式の資料を並べてみると、税の扱いでは名前が挙がっている手術とそうでない手術がある、というのは意外な点でした。ICLにも同じ理由が当てはまるかは、税務署に確かめる点です。

控除の額は国税庁の計算式で決まり、上限は200万円です。

国税庁の式で、支払った医療費の合計から(1)と(2)の金額を引き、上限200万円で控除の額が決まる流れ
医療費控除の額の出し方

手術を考える目安:学会のガイドライン

日本眼科学会のガイドライン第8版によると、手術を考えるのは、眼鏡やコンタクトレンズを着けるのが難しい場合や、医学的などの理由がある場合です。Dは近視の強さを表す単位で、数字が大きいほど近視が強いことを示します。

  • 年齢:原則として21〜45歳
  • 近視の強さ:6D以上。3D以上6D未満と、15Dを超える強い近視には慎重に対応する
  • 手術をしてはいけない人(禁忌)に加えられているもの:前房(角膜と虹彩の間のすき間)が浅い人、角膜の内側の細胞(角膜内皮)に障害がある人

どれも手術の目安で、保険が使えるかどうかを決めるものではありません。

データで見る:カナダでは保険の対象にしていなかった(2008年時点)

オンタリオ州保健省の評価部門が2009年にまとめた報告によると、2008年3月時点のカナダでは、オンタリオ州もほかの州と準州も、有水晶体眼内レンズを公的な保険の対象にしていませんでした。有水晶体眼内レンズとは、ICLのように、目の水晶体を残したまま入れるレンズのことです。州の一覧には、まだ回答が無い州もあります。

同じ報告の州の一覧では、プリンスエドワードアイランド州が、保険の対象にしない理由を「considered a cosmetic procedure」(美容の手術と見なす)と答えています。これはカナダの制度の話で、日本の扱いを示すものではありません。

手術の前の説明と手術の後の検査については、日本の消費者庁の注意喚起に参考になる数字があります。ただし、これはレーシックの数字で、ICLの数字ではありません。

消費者庁がレーシック手術について出した、危害の情報の件数、説明を理解したと答えた割合、術後の検査を受けていない割合、きっかけの情報の割合
レーシックの数字(ICLとは別)

消費者庁の調べでは、4人に1人ほどが「説明を受けて理解した」と答えていません。保険で受けられるかどうかも含めて、聞くことを先に決めておくと役に立ちます。

研究で分かっていること:カナダの医療技術評価

オンタリオ州保健省の評価部門が2009年にまとめた医療技術評価は、カナダの外の例として、米国の主な保険者が有水晶体眼内レンズを医学的に必要な物とは見なしていない、と紹介しています。一方で、この評価では、根拠の質そのものを「low to very low quality」(低い〜とても低い)としています。また、目の奥側(後房)に入れる型では、白内障が目の9.6%に起きていて、重いリスクだとしています。これはカナダの、しかも2008年ごろの制度の話です。日本の保険で受けられるかを考える人には直接は当てはまらず、「公的な保険がこの手術をどう見てきたか」を知る材料になります。

研究の読み方

研究 調べ方 対象と人数 分かったこと 限界とリスク
オンタリオ州保健省の評価部門(2009年) 医療技術評価(系統的な文献検索で30研究を集めた) 2003年1月〜2009年1月に出た文献。保険の扱いはカナダの州と準州の2008年3月時点 州の保険の対象外(2008年3月時点) 古い資料で、日本の制度ではない。根拠の質は「low to very low quality」。後房型では白内障が目の9.6%に起きた
岩西・雑賀(2020年) 総説 白内障の手術に使う眼内レンズ 多焦点眼内レンズが先進医療から選定療養へ移った 白内障の話で、ICLには当てはめられない

自分の場合を書き込む確認表

使い方: 「自分の場合」の列に、聞いた答えや自分の検査の結果を書き込みます。保険・税・手術の目安を、決める所ごとに分けて確かめるための表です。

式と例: 医療費控除の額=(実際に支払った医療費の合計額−(1)の金額)−(2)の金額(上限200万円)。総所得金額等が200万円未満の人なら、(2)の金額は10万円未満です(200万円×5%=10万円が上の端)。

確かめること 決める所 確かめる所・聞く相手 自分の場合
公的な保険で受けられるか 国の制度 初回の検査で医師に聞く □
先進医療に入っているか 厚生労働省 先進医療の一覧(令和8年10月現在は「眼内レンズ」「近視」の語なし) □
医療費控除の対象か 国税庁 税務署(Q&Aで名前が挙がっているのはレーシック手術とオルソケラトロジー治療。ICLの名前は無い) □
控除の額 国税庁の式 国税庁の計算式のページ 支払った額__円
年齢が21〜45歳か 学会のガイドライン(手術の目安で、保険の条件ではない) 医師 □
近視が6D以上か(3〜6D未満・15D超は慎重) 学会のガイドライン 検査の結果 □
前房が浅くないか・角膜内皮に障害が無いか 学会のガイドライン 検査の結果 □
費用・解約の条件・副作用と合併症 医療機関の説明 初回の検査で聞く □
民間の医療保険の給付金 契約している保険会社 契約先に確かめる □

よくある質問

民間の医療保険から給付金は出ますか? 出るかどうかは、加入している保険の契約によって決まります。公的な資料で決まる話ではないので、契約先に、手術の名前を伝えて確かめてください。

将来、ICLに保険が使えるようになりますか? 今回の資料からは言えません。選定療養は「将来的な保険導入を前提としない」仕組みです。また、令和8年10月現在の先進医療の一覧には「眼内レンズ」「近視」の語がありません。

「6D以上」に当てはまれば保険が使えますか? いいえ。6D以上は、日本眼科学会が手術を考えるときの目安で、保険の条件ではありません。

高額療養費は使えますか? 加入している健康保険に確かめてください。そのとき、手術を保険診療で行うかどうかを先に医師に聞いておくと、問い合わせの材料になります。

このサイトで次に調べる候補: ICLの医療費控除の申告に要る書類

出典

  1. 国税庁 タックスアンサー No.1122 医療費控除の対象となる医療費(令和8年4月1日現在の法令による). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122_qa.htm
  2. 国税庁 タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
  3. 日本眼科学会「屈折矯正手術のガイドライン(第8版)」日眼会誌128巻2号(令和6年2月10日). https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/refractivesurgery_8.pdf
  4. 厚生労働省『先進医療の各技術の概要』令和8年10月現在. https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html
  5. 厚生労働省 保険外併用療養費制度. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index_00007.html
  6. 国民生活センター(令和3年5月13日). https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20210513_1.pdf
  7. 消費者庁消費者安全課『レーシック手術を安易に受けることは避け、リスクの説明を十分受けましょう!』平成25年(日本眼科学会が載せている写し). https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/news/044.pdf
  8. Medical Advisory Secretariat(2009)「Phakic intraocular lenses for the treatment of refractive errors: an evidence-based analysis.」Ont Health Technol Assess Ser. 9(14):1-120. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3377525/
  9. 岩西宏樹・雑賀司珠也(2020)「眼内レンズ」人工臓器 49巻3号. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsao/49/3/49_154/_pdf/-char/ja

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