マウスピース矯正の値段は平均ではなく、追加費用込みの最低〜最高の幅で読む。厚生労働省の広告の決まりと同じ物差し 2026-10-22 公開・2026-10-23 更新
この記事の要点
マウスピース矯正の値段は医院ごとに決まり、厚生労働省の医療施設の統計が数えているのは診療所の数で、値段の平均ではありません。見積もりは平均と比べるのではなく、その見積もりの総額で読みます。
厚生労働省の医療広告のガイドライン(ホームページなどの広告の決まり)は、標準的な費用がはっきりしない時に、よく起きる追加費用を含めた最低から最高までの幅で示すよう求めています。見積もりにも同じ物差しを当てると、「〜円から」の下限だけでは足りません。
歯列矯正が必要と認められる場合の費用は医療費控除の対象ですが、見た目を整えるための費用は対象外です。歯科ローンの金利と手数料も対象外です。
この記事の目次(7) 結論: マウスピース矯正の値段は医院ごとに決まるので、平均ではなく見積もりの総額で読む 値段が医院ごとに違う仕組みと、費用の表示の決まり データで見る: 矯正歯科を掲げる歯科診療所の数(令和2年→令和5年) 研究と裁判例で分かっていること: 費用は選び方にどう関わるか、追加のマウスピースは何と関係するか 持ち帰れる道具: 見積もりの総額を書き出す表 よくある質問 出典
自分の場合にいくら払うことになり、申し込みまでに何をするのかを知りたい時は、費用と申し込みの流れをまとめた記事: 費用と申し込みの流れをまとめた記事
結論: マウスピース矯正の値段は医院ごとに決まるので、平均ではなく見積もりの総額で読む
マウスピース矯正の値段について、厚生労働省の医療施設の統計が数えているのは矯正歯科を掲げる診療所の数までで、値段の平均は載っていません。矯正歯科を掲げる歯科診療所は全国に 2 万 6 千か所を超え、値段はそれぞれの医院が決めています。そのため、このノートでは、国の医療広告の決まりにある費用の示し方を、見積もりを読む物差しとして使います。
知りたいこと
公式の資料で確かめた答え
値段の平均
厚生労働省の医療施設の統計には載っていない(数えているのは診療所の数)
矯正歯科を掲げる歯科診療所
26,194 か所(歯科診療所全体の 39.2%・2023 年)
見積もりの読み方
よく起きる追加費用を含めた最低〜最高の幅と、別料金を含めた総額の目安で読む(広告の決まりの示し方を当てはめた読み方)
医療費控除
矯正が必要と認められれば対象、見た目を整える目的なら対象外
値段が医院ごとに違う仕組みと、費用の表示の決まり
値段が医院ごとに違うのは、矯正の費用をそれぞれの医院が決めているからです。これだけ多くの医院が別々に値段を決めると、1 つの平均が出にくくなります。これはこのノートの読み取りです。
厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、費用の示し方を細かく決めています。「5 万〜5 万 5 千円」のような幅や「約○円程度」で示すことは認められていて、窓口で払うことになる標準的な費用がすぐ分かる形にする必要があります。麻酔管理料や指導料などが別にかかる時は、それを含めた総額の目安も書くよう求めていて、この項の具体例には歯列矯正が入っています。
標準的な費用がはっきりしない時は、最低金額から最高金額までの幅で示すことになっています。医療広告等ガイドラインは、その最高金額に「発生頻度の高い追加費用」を含めるとしています。「〜円から」の下限だけでは、この示し方に足りません。
見積もりで確かめる4つの点
医療費控除では、同じ歯列矯正でも目的によって扱いが分かれます。国税庁は、年齢や矯正の目的から見て矯正が必要と認められる費用は対象とし、見た目を整える(容ぼうを美化する)ための費用は対象外としています。対象になるかどうかは、矯正の目的について歯科医師に確かめておく点です。
データで見る: 矯正歯科を掲げる歯科診療所の数(令和2年→令和5年)
矯正歯科を掲げる歯科診療所は、令和 2 年から令和 5 年の 3 年で 739 か所増えました。矯正歯科を掲げる診療所は 25,455 か所から 26,194 か所になり、増え方は 2.9% です。歯科診療所全体は 67,874 か所から 66,818 か所へ 1,056 か所減りました(67,874 − 66,818 = 1,056)。そのため、矯正歯科を掲げる診療所の割合は上がっています。
矯正歯科を掲げる診療所の数
1 つの診療所が複数の診療科目を掲げることもあるため、この数は科目ごとに重ねて数えたものです。矯正歯科を掲げていても、マウスピース矯正を扱っているかどうかまでは、この統計では分かりません。
研究と裁判例で分かっていること: 費用は選び方にどう関わるか、追加のマウスピースは何と関係するか
論文の調査では、歯科医院を通さない通販型を選ぶと答えた人の多くが費用を理由に挙げていました。一方で、副作用の重さのために歯科医を受診した人もいます。追加のマウスピースは、歯並びの難しさなどと関係している可能性が示されました。通販型とは、歯科医院を通さずに消費者へ直接売る方式のことです。
論文の調査で答えた割合
Okuda ほか(2021 年)がネットで集めた人を調べた研究では、32.2% が従来の矯正より通販型を選ぶと答え、子どもには通販型を選ぶと答えた人は 10.8% でした。通販型を選ぶと答えた人の 73% が、費用を理由に挙げました。ネットで集めた人なので偏りがあります。また、選ぶつもりを聞いた調査で、実際に受診したかどうかは調べていません。
Wexler ほか(2020 年)が通販型の利用者を調べた研究では、87.5% が満足と答えた一方、6.6% は副作用の重さのために歯科医を受診していました。従来の歯科での治療を望みながら、費用と便利さで通販型を選んだ人も多くいました。SNS と掲示板で集めた人なので、利用者全体を表してはいません。
Jiang ほか(2026 年)が 17 か国の一般の人を調べた研究をまとめたレビューでは、通販型を好むのは少数で、低い費用と関係がありました。大人は見た目の目立たない装置を好み、より多く払うと答えていました。一般の人には、一般の歯科医と矯正歯科医の区別があいまいで、通販型の安全性と効果を高く見積もりすぎる思い込みがありました。ただし質問票の研究が中心で、要旨では費用の額は示されていません。
Nogueira Matos ほか(2026 年)の系統的レビューでは、1 回目のマウスピースを使い終えた後の追加のマウスピースは、歯並びの難しさ・抜歯・IPR・大きなすき間などと関係している可能性が示されました。IPR は、歯と歯の間をわずかに削ってすき間を作る処置です。歯のねじれ(回転)や歯を沈める動き(圧下)などは計画どおりに動くかの予測が当たりにくい一方、追加の割合をまとめた数字は出ておらず、費用も調べていません。
国民生活センターがまとめた 2019 年の東京地裁の判決では、矯正の契約を途中で解除した人に、未治療分にあたる治療費を返すよう命じました。ただし、歯科技工料が矯正施術料の 30% であることは、不当に高いとまでは認めませんでした。途中でやめた時に戻る額は、契約書の精算の決まりで変わります。
研究の読み方
研究
調べ方
対象と人数
分かったこと
限界とリスク
Jiang ほか(2026 年)
スコーピングレビュー(研究を広く集めて整理する方法)
56 本の研究・17 か国の一般の人 16,271 人
通販型は少数に好まれ、低い費用と関係があった
質問票の研究が中心。要旨では費用の額は示されていない。日本の研究が入っているかは不明。通販型の安全性と効果を高く見積もる思い込みがあった
Okuda ほか(2021 年)
ネットでの横断調査
1,573 人
通販型を選ぶと答えた人の多くが費用を理由に挙げた
ネットで集めた人。選ぶつもりの調査で、実際の受診は調べていない。国は要旨に記載なし(著者は米国・カナダ)
Wexler ほか(2020 年)
24 問のオンライン調査
自宅で使うマウスピースの利用者 470 人
多くが満足と答えた
副作用の重さで受診した人がいた。SNS で集めた人で、白人の女性の 20〜30 代が多い。国は要旨に記載なし
Nogueira Matos ほか(2026 年)
系統的レビュー(決まった手順で研究を集めてまとめる方法・数字をまとめる統合はしていない)
20 本の臨床研究
追加のマウスピースは歯並びの難しさや処置の種類と関係している可能性が示された
追加の定義が研究ごとに違い、まとめた数字が無い。費用は調べていない
どの研究も「関係があった」「答えた割合」までで、原因と結果までは分かりません。
持ち帰れる道具: 見積もりの総額を書き出す表
見積もり 1 枚ごとにこの表へ書き写すと、書かれていない費用と、医療費控除に入る額が分かります。見積もりが複数ある時は、1 枚ずつ別の表に書きます。
使い方: 手元の見積もり 1 枚の内容を、行ごとに「書かれているか」と「金額」に書き写します。
確かめる行
書かれているか(○/×)
金額(自分で記入)
医療費控除に入るか
標準的な費用
矯正が必要と認められれば入る。見た目を整える目的なら入らない
最低〜最高の幅
〜
上と同じ
よく起きる追加費用(例: 追加のマウスピースの料金)
上と同じ
別にかかる料金(指導料など)
上と同じ
途中で解約した時の精算の仕方(未治療分の扱い・技工料の割合)
―
支払い方法(現金の分割か歯科ローンか)
現金の分割は払った年ごと。歯科ローンは立替払をした年(ローン契約が成立した時)に立替分
ローンの金利・手数料
入らない
式: 控除額 =(その年に払った医療費 − 保険金などの補てん)− 10 万円。その年の総所得金額等(所得の合計)が 200 万円未満の人は、10 万円の代わりにその 5% を引きます。上限は 200 万円です。
例: 総所得金額等が 200 万円以上の人で、補てんが無く、その年に払った医療費が 10 万円なら、控除額は 0 円です(10 − 10 = 0)。
医療費控除の額の出し方
よくある質問
マウスピース矯正は医療費控除の対象になりますか。
年齢や目的から見て矯正が必要と認められる場合は対象です。見た目を整えるための費用は対象になりません。
デンタルローンで払うと、どの年の控除になりますか。
信販会社が立替払をした年、つまりローン契約が成立した年に、立替分がまとめて対象になります。金利と手数料は対象外です。現金で払い、治療中に年をまたぐ時は、それぞれの年に払った額がその年の対象です。
途中でやめたら、払ったお金は返ってきますか。
未治療分の返還を命じた裁判例がある一方、技工料の割合は不当とまではされませんでした。東京都消費生活総合センターの資料で、特定商取引法の美容医療として挙がっている 5 つの方法(歯の漂白などを含む)に歯列矯正は入っていません。契約の前に、契約書の解約と精算の決まりを読んでおきます。
歯科医院を通さない通販型は安いのですか。
値段そのものを比べた研究は資料にありません。論文の調査では費用を理由に通販型を選んだ人が多い一方、副作用の重さで歯科医を受診した人もいて、安全性と効果を高く見積もりすぎる思い込みも報告されています。
このサイトで次に調べる候補: マウスピース矯正 前歯だけ 値段
出典
厚生労働省「医療広告等ガイドライン」. https://www.mhlw.go.jp/content/001683594.pdf
国税庁 タックスアンサー No.1128「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1128.htm
国税庁 タックスアンサー No.1120. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
厚生労働省『令和5(2023)年 医療施設(静態・動態)調査 結果の概要(施設の部)』表6「診療所の診療科目別にみた施設数(重複計上)」2023年. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/dl/02sisetu05.pdf
国民生活センター『消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例等』(報道発表資料・令和2年12月10日)2020年. https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20201210_1.pdf
東京都消費生活総合センター「美容医療」の資料. https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/trouble/documents/trouble71-biyouiryou.pdf
Jiang L, Chan AS, Meade MJ, Freer E, Mohammed H(2026)「Determinants of public preference for orthodontic appliances and treatment providers: a scoping review.」Prog Orthod. https://doi.org/10.1186/s40510-026-00644-z
Okuda BC, Tabbaa S, Edmonds M, Toubouti Y, Saltaji H(2021)「Direct to consumer orthodontics: Exploring patient demographic trends and preferences.」Am J Orthod Dentofacial Orthop. https://doi.org/10.1016/j.ajodo.2019.12.024
Wexler A, Nagappan A, Beswerchij A, Choi R(2020)「Direct-to-consumer orthodontics: surveying the user experience.」J Am Dent Assoc. https://doi.org/10.1016/j.adaj.2020.02.025
Nogueira Matos K, Belline da Silva T, Matos de Faria Almeida L, de Faria Almeida M, Dos Santos Dantas Guimarães HH(2026)「Clinical, biomechanical, and digital factors associated with refinement after the first series of clear aligners: A systematic review.」Int Orthod. https://doi.org/10.1016/j.ortho.2026.101211
この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。