ハンドクリームの化粧品と医薬部外品の違い。表示の読み方と化粧品の危害の相談2,847件 2026-10-20 公開・2026-10-21 更新
この記事の要点
ハンドクリームの化粧品と医薬部外品の違いは、まず薬機法の別々の条文で決まる区分です(化粧品は第2条第3項、医薬部外品は第2条第2項)。見分けるには、容器に「医薬部外品」の文字があるかを見ます。
表示してよい効き目の範囲が違います。化粧品は「肌荒れを防ぐ」「皮膚を保護する」などの 56 項目までで、この中に「ひび」「あかぎれ」はありません。薬用のクリームは「ひび・あかぎれ…を防ぐ」、ひび・あかぎれ用剤は「改善を目的とする外用剤(軟膏剤に限る)」です。
公式の数字を並べると、化粧品の危害の相談は2023年度から毎年減って2025年度は2,847件なのに、同じ2025年度の危害情報13,432件の上位3商品・役務等には化粧品が入っています。調べて分かった意外な点です。
成分の書き方も違います。化粧品は原則として全部の成分を書きます。医薬部外品は、厚生労働大臣の指定する物について有効成分の名称と分量を書き(第59条第7号)、厚生労働大臣の指定する成分を含む物はその成分の名称を書きます。外箱やタグなどが無い 50g・50mL 以下の化粧品は、添付する文書に書いてもよいことになっています。
この記事の目次(8) 結論: 違いは「法律の区分」「表示してよい効き目」「成分の書き方」の 3 つ 仕組み: 薬機法での化粧品・医薬部外品の決め方 データで見る: 化粧品の相談件数の推移と、表示の調査 研究で分かっていること: 審査の資料の集計と、成分の名前の違いの症例 整理の表: 3 つの区分を条文で並べた表と、容器を見る手順 自分のハンドクリームで確かめるチェック表 よくある質問 出典
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結論: 違いは「法律の区分」「表示してよい効き目」「成分の書き方」の 3 つ
ハンドクリームの化粧品と医薬部外品の違いは、大きく 3 つに分けられます。1 つ目は法律の区分で、容器に「医薬部外品」の文字があるかで見分けられます。2 つ目は表示してよい効き目の範囲で、「防ぐ」までの物と「改善」まで書ける物があります。
3 つ目は成分の書き方です。全成分表示の決まりは化粧品の決まりです。医薬部外品で条文が求めているのは、厚生労働大臣の指定する物について有効成分の名称と分量を書くこと(薬機法 第59条第7号)と、厚生労働大臣の指定する成分の名称を書くこと(第8号)です。
仕組み: 薬機法での化粧品・医薬部外品の決め方
薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品などの品質や表示を決めている法律です。化粧品と医薬部外品は、この法律の第2条で別々に定められています。どちらにも「人体に対する作用が緩和なもの」という言葉が入っています。
化粧品の定義の原文は次のとおりです。「この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。」(薬機法 第2条第3項)
医薬部外品の定義は「この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。」で始まります。同じ項の第3号には、「厚生労働大臣が指定するもの」という定めがあります。どの品目がこの指定に当たるかは告示で決まります。この記事では告示の本文を照らし合わせていないので、個別の品目までは書きません。
薬用化粧品は、医薬部外品の中で化粧品に近い使い方をする物です。品目ごとに承認の審査を受けます。PMDA(医薬品医療機器総合機構・国の審査を担う機関)の職員による論文でも、承認された薬用化粧品の申請の資料が調べられています。
データで見る: 化粧品の相談件数の推移と、表示の調査
PIO-NET は、全国の消費生活センターに寄せられた相談を集めた、国民生活センターのデータベースです。この中の化粧品の危害の相談は、2023 年度から 2025 年度まで毎年減っています。2025 年度は 2,847 件で、前の年度より 152 件少なくなりました(2,847 − 2,999 = −152 件)。
出典: 国民生活センター『化粧品の危害』(2026-10-21 撮影)
化粧品の危害の相談件数
この件数には注があります。原文は「相談件数は2026年5月31日現在(消費生活センター等からの経由相談は含まれていません)」「※本件数にはシャンプーなどの「頭髪用化粧品」や、歯磨き粉などの「他の化粧品」も含みます。」です。ハンドクリームだけの件数ではありません。
同じページの冒頭には、お試しの品に関わる原文があります。「化粧品に関連した危害情報には、お試しのつもりで購入した化粧品を使用したところ、皮膚障害が生じたので解約を申し出たら、定期購入が条件だったとわかり、解約には高額な支払いが必要と言われたなどの相談が多く寄せられています。」(国民生活センター『化粧品の危害』)。お試しセットを申し込む前に、表示と一緒に購入の条件も読む理由がここにあります。
全体の数で見ると、2025 年度の危害・危険情報は 15,899 件で、前の年度より 5.3%増えました。危害情報は 13,432 件で、原文は「上位3商品・役務等は「 化粧品 」「 医療サービス 」「 健康食品 」でした。」です。危害情報は 2024 年度より 624 件増えたとされ、2024 年度は逆算で 12,808 件になります(13,432 − 624)。この 12,808 件は計算した値で、公表された数字ではありません。
2025年度の危害・危険情報
医薬部外品の国内の生産金額は 1兆4,347億円で、前の年より 99億円(0.7%)増えました。化粧品はこの統計に入っていません。
表示そのものの調査もあります。東京都の令和7年度第3回の調査では、調査員 99 名のうち 90 名(90.9%)が回答し、問題と思われる表示が「有」は 76 件、「無」は 14 件でした。理由は効果・性能の表示 39 件、比較の表示 13 件、根拠のあいまいな認定・認証 17 件などです。紙の広告だけを対象に、調査員が選んだ広告を数えたもので、広告全体の割合ではありません。
研究で分かっていること: 審査の資料の集計と、成分の名前の違いの症例
ここで取り上げる 2 本は、効き目の研究ではありません。制度と表示に関わる研究です。2 本とも要旨の範囲で書いています。
薬用化粧品の承認の資料を数えた研究
Sekiguchi ほか(2026 年)が、日本で 2020〜2024 年度に承認された薬用化粧品 25 品目の安全性の資料を調べた研究では、115 試験のうち 22 試験、25 品目のうち 10 品目で NAMs が使われていました。NAMs は、動物を使わずに安全性を調べる試験の方法です。原文は「NAMs were used in 22 of 115 tests and in 10 of 25 products.」です。
この研究には限界が 3 つあります。対象は 25 品目だけです。調べたのは安全性の試験の方法で、製品どうしの効き目や安全性を比べた研究ではありません。著者は 7 人とも審査をする側の PMDA の職員です。副作用やリスクについては、要旨に個別の記載はありません。
成分の名前の違いに触れた症例報告
症例報告は、1 人の患者の経過をくわしく書いた論文です。Iijima ほか(2022 年)は、シャンプーと液体ボディソープでアレルギー性接触皮膚炎が出た、日本の 64 歳の女性 1 人を報告しました。アレルギー性接触皮膚炎は、肌に触れた物質へのアレルギーで起きる皮膚の炎症です。
パッチテストは陽性でした。パッチテストは、疑わしい物質を肌に貼って反応を見る検査です。原因と考えられた成分を含まない製品に替えると、発疹は消えました(原文「The rashes resolved completely after we instructed her to use products without CAPB and LAPB.」)。
著者は「When issuing such instructions, clinicians should have correct knowledge about surfactants, such as the differences between cosmetic ingredient names and quasi-drug ingredient names.」と書いています。化粧品の成分名と医薬部外品の成分名に違いがある、という意味です。ただし 1 人だけの例で、ほかの人に当てはまるかは確かめられていません。ハンドクリームの研究でもありません。
整理の表: 3 つの区分を条文で並べた表と、容器を見る手順
この表は、法律の区分どうしを並べたものです。製品やメーカーを比べる表ではありません。表示してよい効き目は、平成19年版の手引きと大阪府による通知の抜粋の言葉です。今の通知の本文とは照らし合わせていないので、言い回しが変わっている場合があります。
3つの区分を条文で整理
表を読むときの要は、効き目の段階です。化粧品は「肌荒れを防ぐ」「皮膚に乾燥を防ぐ」「爪にうるおいを与える」など、56 項目の範囲までです。薬用のクリームは「ひび・あかぎれ…を防ぐ」という予防で、ひび・あかぎれ用剤は「改善」まで書けます。
容器を手に取ったときは、次の順に見ます。
容器の表示を見る順番
自分のハンドクリームで確かめるチェック表
使い方: 自分のハンドクリームの容器や箱を見て、右の欄に「はい」か「いいえ」を入れて、上から順に確かめます。
確かめる所
「はい」のときの読み方
自分の答え
直接の容器か被包に「医薬部外品」の文字がある
医薬部外品の表示として読みます。無いときは、化粧品の欄の決まりで読みます
効き目の言葉に「ひび」「あかぎれ」がある
化粧品の56項目には無い言葉なので、医薬部外品の欄を見ます
効き目の言葉が「ひび・あかぎれ…を防ぐ」の形で書いてある
手引き(平成19年版)で薬用のクリームとされる、予防の書き方です
有効成分の名称と分量が書いてある
厚生労働大臣の指定する医薬部外品の書き方です
内容量が50g・50mL以下の容器か、小容器の見本品である
化粧品なら、成分は添付する文書(同封の紙など)を見ます
例: 容器に「医薬部外品」の文字があり、効き目が「ひび・あかぎれ…を防ぐ」とあれば、1行目と3行目が「はい」で、手引き(平成19年版)で薬用のクリームとされる予防の書き方です。
よくある質問
「薬用」と書いてあれば医薬部外品ですか?
この記事で引いた条文で区分を示すのは、「医薬部外品」の文字です。医薬部外品は、直接の容器か直接の被包にこの文字を書くことになっています。区分を確かめるときは、「薬用」の言葉だけでなく、「医薬部外品」の文字を探してください。
指定医薬部外品と薬用化粧品はどう違いますか?
手引き(平成19年版)では、薬用のクリームは「ひび・あかぎれ…を防ぐ」、ひび・あかぎれ用剤は「ひび、あかぎれ等の改善を目的とする外用剤(軟膏剤に限る)」とされています。違いは、予防までか改善までか、という段階です。古い版の言葉で、今の通知と告示の本文とは照らし合わせていません。
成分表示の決まりは同じですか?同じ成分で名前が違うことは?
全成分表示は、化粧品の決まりです。医薬部外品で条文が求めているのは、厚生労働大臣の指定する物について有効成分の名称と分量を書くこと(第59条第7号)と、厚生労働大臣の指定する成分の名称を書くこと(第8号)です。名前については、Iijima ほか(2022 年)の著者が、化粧品の成分名と医薬部外品の成分名の違いを知っておくよう書いています。1 例の報告の中の文です。
お試しサイズや見本品では、成分はどこに書いてありますか?
外箱やタグなどが無い、内容量が 50g・50mL 以下の化粧品と、小容器の見本品は、添付する文書に書けばよいことになっています。小さい容器に成分が見当たらないときは、箱や同封の紙を見てください。この条文は化粧品の定めです。
このサイトで次に調べる候補: 医薬部外品 化粧品 違い 見分け方(ハンドクリーム以外の品でも、容器の表示から区分を見分けたい人向け)
出典 この記事の数字と事実の出どころは、下の一覧にまとめています。
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)第2条・第59条・第61条. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/335AC0000000145
薬機法施行規則 第221条の2. https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/336M50000100001
厚生省医薬安全局長『化粧品規制緩和に係る薬事法施行規則の一部改正等について』医薬発第990号(平成12年9月29日). https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/files/k_yakuji/i-sinsa/cosmetics/tsuuchi/200009290929.pdf
大阪府 化粧品の効能効果の範囲. https://www.pref.osaka.lg.jp/o100100/yakumu/shinsa/hyou1-4.html
厚生労働省 試験問題の作成に関する手引き(平成19年8月). https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/shikent.pdf
国民生活センター『化粧品の危害』2026年7月31日更新. https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/cosmetic_harm.html
国民生活センター『2025年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより-』2026年9月16日公表. https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_4.html
厚生労働省『令和6年 薬事工業生産動態統計年報』令和7年12月24日公表. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67099.html
東京都『化粧品及び医薬部外品に関する広告調査』令和7年度第3回. https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/chousa/t_chosain/documents/r7b3_kekka.pdf
Sekiguchi M, Ogawa T, Mimura A, Maruo H, Hatamura Y, Takahashi A, Sato J(2026)「Utilization of New Approach Methodologies (NAMs) in regulatory submissions for medicated cosmetics in Japan」Regul Toxicol Pharmacol. https://doi.org/10.1016/j.yrtph.2026.106188
Iijima S, Murayama K, Takayama N, Akiyama T, Sugiyama M, Matsunaga K(2022)「A CASE OF ALLERGIC CONTACT DERMATITIS CAUSED BY DETERGENTS CONTAINING COCAMIDOPROPYL BETAINE IN WHICH AN IMPURITY WAS THE POSSIBLE CAUSATIVE AGENT」Arerugi. https://doi.org/10.15036/arerugi.71.1136
この記事は、AI で下書きし、公式の資料と論文で確かめてから公開しています。